返校 Detention (PC) Detention

2017年 ゲーム 4ツ星 ホラー 学校 幽霊 歴史

おもしろいけど、難しい。

台湾発のマウスクリック型の探索アドベンチャーゲーム。返校は「学校へ帰る」、Detentionは「拘留」「居残り」といった意味。 モンスターと戦うことはできず、「息を止める」「視線を逸らす」といった行動でやり過ごす。
ストーリーは台湾の歴史・文化に根ざしている。字幕を読むだけではわからないことが多い。解説要素があれば、強力な文化発信になっただろう。

イントロダクション

戒厳令が敷かれていた1960年代の台湾。高校2年生のウェイが居眠りから目覚めると、校舎から人が消えていた。ウェイは見知らぬ女生徒レイと出会う。ふたりで帰ろうとするが、赤い濁流で橋が流されていた。ウェイは電話を探しに行くが、帰ってこない。
ここからレイを操作。学校を探索して、自分の罪(自分の影)と向き合う。

プロット

レイの家庭は崩壊していた。カウンセラーのチャン先生をたより、恋に落ちる。しかしチャン先生に冷たくされ、心の平衡を失う。
チャン先生はご法度の「読書会」を開催していた。レイとの関係をイン先生(♀)に咎められる。その話を盗み聞きしたレイは、イン先生が恋路を邪魔したと考え、読書会を政府に密告した。チャン先生は死刑、イン先生は海外に亡命。ウェイや他の生徒は懲役刑になってしまう。
ほかの生徒たちから密告者と責められたレイは飛び降り自殺した。レイは地縛霊となり、学校をさまよっている。そして記憶を取り戻し、密告を表彰された指令台に登壇するたび、首を吊っていた。

複雑な問題

  • 外省人は内省人を中国人にしようと思想統制した。
  • 中国国民党政府は反体制派を弾圧した。(白色テロ)
  • 台湾の古い妖怪文化(禁じられていたもの)が描かれている。
  • 当時は賄賂・汚職が横行しており、潔白ではいられなかった。
  • 読書会は反体制活動ではなかったが、結果として生徒たちを破滅させた。
  • 元凶であるイン先生は海外に亡命。活動家として評価される。
  • チャン先生は患者の女生徒レイに手を出した。(転移性恋愛)
  • レイはチャン先生に自由を教わるが、密告によって精神の死を迎えた。
  • レイは軽蔑する母親と同じ存在になった。母親は父親を密告した?
  • レイは罪の意識から、被害を大きく思いこんでいる。

(グッドエンド)
レイは罪を認める。
レイはチャン先生の霊と再会するが、結ばれることはない。
ウェイ視点で過去を総括する。
現在、恩赦によって釈放されたウェイは、廃墟となった学校に戻っていた。
ウェイは、レイと再会する。
ウェイの来校(返校)によって、レイが成仏できた。

おもしろいけど、難しい。

ウェイからレイへの主人公交代で、かなり混乱した。
ウェイを高校生として描いたことで、状況を理解できなくなった。
レイが「邪魔者」と呼んだのはだれか明示されない。
ペンダントを捨てるシーンが描かれない。

わかりにくい! もったいない!
ゲームの限界はあるが、もうちょいドラマ要素を充実させてほしかった。

Red Candle Gamesのロゴがかっこいい。

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