大人の見る繪本 生れてはみたけれど I Was Born, But...

1932年 日本映画 2ツ星 主人公は子ども 社会人

父親への幻滅、それから?

第9回キネマ旬報ベスト・テン第1位。小津監督のサイレント期を代表する傑作・・・らしいが、詳しくはWikipedia参照。
2022年に鑑賞。活弁のおかげで取り残されることはなかったが、映像だけでストーリーを理解するのは一苦労だろう。「わかりやすさ」は日進月歩で、古い作品はどんどん食べにくくなってしまう。

家庭では絶対の権力者である父が、会社では上司に平伏し、愛想笑いを浮かべる。子どもが落胆するのも仕方ないが、「偉くなればいい」「空腹には代え難い」が結論になる。ストレートだし、それが現実とは思うが、「映画」のファンタジーがないのは驚きだ。まぁ、これも持ち味か。

真珠湾攻撃の9年前。背景になにもないのは、焼け野原だからじゃない。子供同士の序列が、バーンと指銃で撃たれて倒れるかどうかで決めるところがおもしろい。
子どもたちはすぐ暴力を振るうが、あまり陰湿じゃないように見える。実際はちがうのかもしれないが、健全に見えた。

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