イカゲーム (全9話) Ojing-eo Geim

2021年 海外ドラマ 4ツ星 バトルロワイヤル 社会派

地獄と韓国の境界がない。

話題になっているので視聴した。なるほど、おもしろい。ぐいぐい引き込まれた。
しかし終わってみると白けた気持ちになった。テーマと言うか、人間性と言うか、カタルシスと言うか、物語の根幹をなすものが抜けている。美味しいのに栄養がない感じ。

とはいえ、本作の完成度は図抜けている。これほどおもしろいドラマも類を見ない。本当に素晴らしい。そんな作品にケチをつけるのは躊躇するが、思ったことを書き留めておく。
ネタバレ全開、ご注意。


1. だるまさんがころんだ日

第1ゲーム『だるまさんが転んだ』。韓国映画の主人公は共感できないことが多い。スタート時は駄目で、ドラマを経て成長するんだろうか?
脱落者を銃弾で排除するのは驚き。非効率だし、殺戮がストレスを高める。映画『バトルランナー』のチョーカー爆弾ならスマートなのに。まぁ、これも持ち味か。


※Neck Choker Bomb (The Running Man)

2. 地獄

まさかのゲーム終了。まさかの再挑戦。おもしろい。
ひきかえに、ゲームと韓国社会が区別できなくなった。外国人労働者や脱北者が迫害されることは当たり前で、だれも驚かない。情も描かれるが、長続きしないだろう。だけど韓国に住んでない人にとっては、おもしろい。

3. 傘をさした男

第2ゲーム『カタヌキ』。第2とカウントされるのは「再開」だから? 天井のお金もたまってる。第1ゲームの死者にお金は支払われていないようだ。
ゲームの勝利条件はなんだ? 生き残れるのがただ1人なら、参加者は、自分以外の全員を殺す覚悟で集まったのか? そうは思えない。
刑事ジュノがいきなりスタッフ(29番)を殺した。殺しのライセンスをもっているのか? 29番にも弟がいたかもしれない...とは考えないのか。
スタッフ視点がおもしろい。スタッフを監視するスタッフとか最高

4. チーム分け

参加者同士の殺し合いが許容されるのか。もはや戦争だな。
第3ゲーム『綱引き』。そんなコツで勝てるとは思わないが、おもしろい。

5. 平等な世の中

刑事が殺した29番は、溺れかけた仲間を助ける人物だった。しかし刑事にためらいはない。搬送スタッフも射殺。それでいいの? 内蔵摘出はゲームの目的じゃなかった。医者が前回から参加してるなら、賞金はどうなった? 疑問がよぎる。
「平等」を掲げたゲームで、スタッフも参加者も、刑事もルールを守らない。どこまでいっても韓国。ギフンは工場のストを思い出す。戦争に等しいストって、地獄だなぁ。

6. カンブ

第4ゲーム『ビー玉遊び』。『綱引き』の次にこれは絶妙。うるさいオバサンが脱落して安堵。240番かっこいい。ギフンはまた1つ信念を失った。こいつ、勝利しても駄目そう。

7. VIPたち

VIPが安っぽい。こんなものと言えばこんなものだろうが、アリキタリじゃない? セックスに興奮できるなら、こんなゲームを見に来ないだろう。
第5ゲーム『飛び石ゲーム』。うるさいオバサンの無理心中は、正義でも因果応報でもなく、「自分の死によって相手がトクすることが許せない心理」であろう。

フロントマンは「平等」が大事と言うが、ガラス職人が経験を駆使するのは駄目だった。それじゃ筋力ある人間が優位になる殺し合いをさせるなよ。韓国式平等はわからない


※安全であることの愉悦。

8. フロントマン

仮面の下の正体とか、肩を撃って崖下に転落とか、ベッタベタの展開に驚く。何人も殺した刑事ジュノが、いまさら公権力の介入を期待することも驚き。彼は兄の行方を負っていたのであって、組織犯罪を憎んでいる様子はなかった。

脱北者(067)が死んだ。サンウに殺されたわけだが、彼女は負傷を隠していた。勝利をあきらめたとしか思えない。なぜか? 240番を死なせたことで、他者を蹴落として生き残る気力を失ったのか?
2/3でキャンセルしても、その時点で生存者の彼女に報酬はない。ギフンとサンウ、どちらかに家族を託すしかないが、行動が遅かった。仕方ないけど。

ギフンにサンウを責める資格があるか? ギフンならガラス職人の判断を待って、最後尾を犠牲にしたか? 殺し合いがイヤなら、どうして参加した? 信念も覚悟もない。ギフンはサンウを憎悪することで、自分は正しいと思いたいようだ。こーゆーの、きらい。

9. 運のいい日 最終ゲーム 『イカゲーム』

まさかの幼馴染対決。そしてただの殺し合い。決着もベッタベタ。いまさらゲームを中断してどうする? ただサンウを苦しめただけ。ギフンは優柔不断で、偽善的で、短慮。第一話から成長していない

ゲームを終えてからも情けない。賞金に手を付けないことが、なんの贖罪になる? いの一番に脱北者(067)の弟に会いに行けよ!
ギフンは「馬じゃない」と憤るが、それは「人間として丁重に扱え」という要求である。しかし彼は他者を尊重しただろうか?

問題はゲームじゃなくて、ゲームにしか希望を見いだせない韓国社会にある。
しかしギフンには社会を変えるつもりも、ゲーム参加者を減らす努力もしない。生活を建て直す気配もない。生き残った責任から目を逸らしている

フロントマンやスタッフたちの事情が明かされなかったのは残念。ふつうなら気にしないが、本作は踏み込んでくれると期待したから。

おもしろかった

と、ケチをつけてみたが、おもしろかった。
なぜヒットしたか? その理由を考えてみたが、よくわからない。シンプルなストーリー、ビビットな色彩設計、わかりやすいキャラクター、刑事の潜入によってサスペンス要素が高まった...などなど。どれも決定的ではないが、高いレベルで要件を満たしている。
私は映像制作者ではないが、まねしづらい成功作品だと思う。

おもしろかった。
それはまちがいない。

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