第16夜:食の安全

2007年 夢日記
第16夜:食の安全

 食品の"自然度"表示が義務化された。

 "自然度"とは、その食品がどのくらい自然かを示す値。
 なにも手を加えず、野生の近い状態で育てられた野菜や果実、魚、肉などは高い自然度を示すが、農薬を使ったり、窮屈な厩舎で育てたりすると、自然度は低くなる。
 食の安全を考えるとき、自然度はトレーサビリティ以上に重視されている。

 たとえば、このキャベツを測ってみよう。
 バーコードリーダーのような装置で、自然度は計測できます。キャベツに走査線を当てると、ほら、1980。よい環境で育てられたキャベツですね。

 では、こちらの鰻はどうでしょう。
 自然度は420。養殖物としても低い。おそらく中国産で、成長ホルモンが投与されていますね。これはちょっと、食べたくありません。

 とまぁ、このように簡単に自然度を測れることで、私たちの食の安全は大きく改善しました……あっ!

 うっかりバーコードリーダーを落として、女性アナウンサーの腕に当たってしまった。ピコッと音が出て、自然度が表示される。

 12.4──。

(そ、そういえば、彼女はちょっと……)
 私がまじまじと見ていることに気づいた彼女は、にっこり笑って(いつも笑っているが)、こう言った。

「ご自分の自然度も測ってみては?」

 という夢を見た。
 ショートショートっぽい夢だけど、ちとストレートすぎるので、夢日記としてカウントする。私は考え事をしながら寝ているみたいだな。

 さておき実際には「自然であればすべてOK」というわけじゃない。
 やたらと自然をありがたがるのは、自然じゃないよね。