シナボン アクアシティお台場店 / 強烈なシナボン効果
2000年 東京都:都心部 スイーツ パン 洋菓子ふと、甘いシナモンのにおいが鼻孔をくすぐった。
誘われるように足を運ぶと「シナボン」という店がある。甘いにおいは、店名と同じ「シナボン」というお菓子(シナモンロール)が放っていた。「AQUA CITY」内を歩いているときのことだった。
これまで生きてきた中で、もっとも甘い食べ物
興味を覚えた私は注文してみることにした。
ノーマルシナボンと、ピーナッツシナボン(名前はうろ覚え)、それからオプションでシュガークリーム、ホイップたっぷりのコーヒーフロート。このほか、お持ち帰り用のミニボンも9個入りを買った。
甘い! 甘すぎる! 甘すぎて死ぬぅ! ウボァ...
冷たいもので頭が痛くなることはあるが、甘さも極まると偏頭痛を引き起こすようだ。
シロップは砂糖がジャリジャリしているし、生地にも甘さがしみこんでいる。シュガークリームにいたっては、同じ重さの砂糖を食べるよりも甘い。
どこを食べてもギンギンに甘い。
※殺人的な甘さだ
これがアメリカの味なのか?
この「シナボン」という店は、アメリカ・シアトルで発祥した有名チェーン店らしい。世界で約400店舗を展開し、ちょっとしたモールや空港には必ずあるほどの人気だそうな。
まったくアメリカ人の味覚はどうなっているのか。
いや、ここは日本だ。日本人の味覚はどうなったのか?
一過性のブームなのか、それとも日本人も超甘党になったというのか?
──そこで、ふと気づく。
「シナボン」が普通のおいしさなら、私は話題にしただろうか?
※すごいものを注文しちゃったなぁ
強烈なインパクトが客を呼ぶ
脳髄に刻み込まれるような、強烈なインパクトがあったればこそ、記憶され、話題となる。
話題を耳にした何割かは関心をもち、注文してしまう。
「どれほど甘いんだろうか? 試してみよう」
実際に食べた人は記憶して、また話題にする。
そのうち何割かは、常連客となる。
そう考えると、この「シナボン」はよく考えられたメニューかもしれない。
そして、この極端さには類型がある。
やたらと塩っぽい中華料理、
脂ギトギトの豚骨ラーメン、
炎症を起こしそうな辛さのカレー...。
あなたにも思いあたる店があるはず。
とても一般人を対象にしているとは思えない味付け。
個性的といえば、あまりにも個性的なメニュー。
ハンパに美味しい店は潰れていくのに、こうした極端な味の店は、なぜか長生きしてしまう。
私はこれを、「シナボン効果」と呼ぶことにする。