D-秋葉原テンポラリー / 廃校舎の再生
2005年 東京都:都心部 博物館 美術館そこは......廃校した中学校だった。
コンクリートの古びた外観に、カラフルな横段幕がかかっている。
友人が、デザイン展を見に行くというので連れてきてもらった。唐突に決めたので、事前情報はまったくない。というか、話を聞いてなかった。なので、「自分がなにを見たのか」は、家に帰って調べて、ようやく理解できた。
D-秋葉原テンポラリー
秋葉原を国際デザイン拠点としての秋葉原を再構築する『D-AKIHABARA PROJECT』の一環として作られたデザイン展示施設。廃校した千代田区立錬成中学校(いい名前だね!)を再生利用している。来年はさらに『デザイン・ミュージアム秋葉原(仮称)』としてリニューアルされるらしい。
※D-秋葉原テンポラリー
廃校施設を再利用する話はよく聞く。
宿泊研修施設、コミュニティセンター、記念館、博物館、庁舎...。最近では「大田区創業支援施設」や「世田谷ものづくり学校」などが有名だろう。そういう施設があることは知っていたが、実際に訪れたのは初めてだった。
学校独特の雰囲気
入場料を払って、校内に入っていく。
いやぁ、中学校ですよ。13~15歳を過ごしたところです。リノウム貼りの床、素っ気ないコンクリートの壁、水飲み場、放送スピーカー。これで上履きを履いていたら、さらに気分が盛り上がっただろうね。よく見ると、コンピュータ室なんてのもある。時代がちがうなぁ。
建物だけでも楽しめる。
秋葉原にこんなものがあるとは思わなかったよ。
スモール&ビューティフル:スイス・デザインの現在展
友人目的はデザイン展だというので、ついていった。友人は、こーゆーデザイン展をよく見に来るらしい。私の方はさっぱりだ。デザインとかアートには、からきし弱い。なじみのない世界である。
- スモール&ビューティフル:スイス・デザインの現在展
- 会場:D-秋葉原テンポラリー(旧千代田区練成中学校)
期間:2005年9月27日(火) - 10月23日(日)
入場料:一般500円
工夫された展示
ギャラリー施設の方が十二分に個性的なので、その中身となるデザイン展は退屈だろうと思っていたが、そうでもなかった。
よく考えられている。
教室の後部から入って、前へと移動していくレイアウト。教壇の上では説明ビデオが流れている。「先生」というイメージなのだろう。ところどころに残された生徒用の机や椅子も、素朴な雰囲気をつくっている。これは、スイスの工業デザインのコンセプトに、見事に融合する。
ギャラリー内は撮影禁止なので、コトバで説明するしかないのが惜しい。
※作品はお見せできない
展示用クレート(木箱)もよかった。
コンテナのような木箱の中に、展示物が収納されているのだ。クレート底面にはローラーがついていて移動可能。ごろごろ運んできて、パカパカと木箱を開けば、すぐに展示を開始できるというものだ。もちろん、この状態のまま飛行機で運んできたとは思えない。しかし、そういう雰囲気に演出されている。これもまた、合理性、機能性を追求するスイスデザインを彷彿させる。
本当によく考えられている。
だてにデザイン展の看板を出しちゃいない。
立地条件に負けるどころか、みずからの一部として活用し、むしろこのギャラリーはこのデザイン展のためにあるような印象を与えている。
額縁に負けるような絵は描かないといったところか。
◎
友人は、こういうデザイン展を見ることで、よい刺激を受けて、デザイナーとしてのセンスを磨いているそうだ。私にはマネのできないことだ。しかし、よい刺激を受けたことは事実だ。そこは認める。
私はデザインやアートが大好きだけど、苦手なのだ。そのへんの話もまたいずれ。
※楽しかった
まったくの偶然から、いい経験をさせてもらった。
やっぱり手でさわれるモノはいい。