首都圏外郭放水路 / 巨大な地下神殿
2006年 埼玉県 治水・利水 洞窟・地下 社会見学首都圏外郭放水路を知ってるかい?
「首都圏を洪水から守る、巨大な地下神殿」と言えばかっこいいだろうか。
6月10日に完全通水の記念式典が開催されたんだけど、これには参加できなかった。しかし平常時も見学会をやっているので、こちらに行ってみることにした。
- 首都圏外郭放水路(しゅとけん・がいかく・ほうすいろ)
- 洪水を防止する施設なんだけど、そのスケールが大きい。
あふれそうになった河川の水を地下トンネルに取り込んで、江戸川に排水してしまうのだ。
詳しいことはホームページを見てほしい。イラストや動画による説明はとてもわかりやすいよ。
庄和排水機場:龍Q館
見学会は、放水路の末端にある庄和排水機場で行われている。
ここは市民ギャラリーなども兼ねた文化施設になっていて、「龍Q館」とも呼ばれている。
最寄り駅は東武野田線・南桜井駅。これがまた遠かった。
※庄和排水機場:龍Q館
見学会は事前予約制。所要時間は1時間30分ほど。
動画、模型、説明を織り交ぜた内容で、とてもよくできていた。
※地底体感シアター、設備の模型、ポンプ施設、排水口と江戸川
※いよいよ調圧水槽へ
地下神殿を思わせる調圧水槽
階段を下りていくと、むわっとした湿気に包まれた。
しかし暑くはない。涼しい蒸気だ。
そして、地下神殿がその全貌をあらわした!
※湿度は高いが、とても涼しい
※うおっ! ひ、広い!
水槽の床にはうっすら泥と水が残っていた。走れば、まちがいなく転ぶだろう。
運動靴はあっという間に浸水してしまったが、あまりに気にならなかった。涼しかったこともあるが、なにより私は興奮していた。
そりゃそうだ。
こんな場所に来て興奮しないヤツがいるか?
※地下神殿のような巨大空間
※この柱1本あたりの重量500トン×59本
※背後に見える空間は、第1立坑
※ここに洪水の水をためて、江戸川に放水するわけだ
とにかく湿度が高い!
おまけに暗いから、撮影は困難をきわめた。3脚をもってくればよかった。ホワイトバランスがうまく調整できず、色味が不揃いになっているけど、実際の現場はもっと暗かった。
※調圧水槽に隣接する第1立坑
※あの階段を下りて、トンネルを歩いてみたい
※地上へ還ろう
地上に戻ると、その暑さにのけぞった。
水槽内は湿度はあっても、とても涼しかったことがわかるよ。
特撮番組のロケに使用されるらしい
調圧水槽は、その巨大さと地下神殿のような雰囲気から、さまざまな映画やドラマのロケに使用されているらしい。やっぱり特撮が多くて、『映画版・鉄人28号』『ウルトラマン・ザ・ネクスト』『仮面ライダー555』『ウルトラQ』『マジレンジャー』など。知らなかったよ。
※『ウルトラマン・コスモス』では司令室となっていた操作室
圧巻だった
こんなにも巨大で、緻密に設計された施設を建造してしまうとは…….。
人間てのは、すごい生き物なんだなぁ。
地上からはまったく見えないし、昔から住んでいないと「洪水被害が減った」ことも実感できない。本当に、私たちの暮らしを見えないところで守ってくれている施設なんだね。
当たり前と思っていたふつうの暮らし(災害のない暮らし)が、いかに貴重なものか思い知らされる。
してみると、この見学会の意義は大きい。
こういう施設があることを知り、実際に見ておけば、安心して住むことができるし、郷土愛も深まるだろう。
ぜひ多くの人に見てもらいたいね。
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