赤坂・濱寿司 / まわらない寿司
2006年 東京都:都心部 和食 寿司自慢じゃないが、私は回転しない寿司屋に入ったことがない。
子どものころはあったかもしれないが、それにしたってお座敷で盛り合わせを食べただけ。カウンターに座って、一貫ずつ注文し、店主と世間話をしながら寿司を楽しむなんて、生まれてこのかた経験したことがない。
なので、経験してみることにした。
西麻布で打ち合わせをした帰り道、N氏と2人で、『赤坂・濱寿司』の広尾店に立ち寄ってみた。
◎
N氏と並んでカウンターに座る。
おしぼりで手を拭いて、とりあえず生ビール。目の前に笹の葉がしかれる。
(さて、ここからどうする?)
「えー、じゃ、ヒラメとイカを」と私。
ふっ、この数年で寿司ネタはだいぶ勉強したのさ。
「へぃ、イカはヤリイカとスミイカ、どっちにします?」
うぐっ、いきなりつまずいた。
「すいません。寿司を食べ慣れてないんですけど、どう違いますか?」
すると店主は事情を察したらしく、言い直してくれた。
「イカは柔らかめと固め、どっちが好みです?」
「じゃ、柔らかめで」
「へぃ」
「ちなみにそれは……?」
「柔らかいのはスミイカです。スミイカってのはねぇ……」
ここの店主は話し上手だった。
※とりあえずヒラメ
私たちは店主と、あれこれ話しながら寿司を食べた。
海老、シメサバ、タコ、コハダ、ブリ、ウニ、カンパチ、キス、そして卵焼きで〆た。
寿司も美味しかったけど、店主の人柄もおもしろかった。こういうお店では、店員の魅力も欠くことのできない要素なんだろうな。
振り返ると、会話もせず、もくもくと寿司だけ喰うのは寂しい気もした。
※絶品の卵焼き
※トマトのシロップ漬け
最後に出てきた「トマトのシロップ漬け」がおいしかった。
甘さ控え目で、口の中がさっぱりする。
店主に作り方を聞いてきたので、今度試してみよう。