2軒のラーメン屋
2007年 東京都:池袋副都心 ラーメン通りに面して2軒のラーメン屋が並んでいた。
ラーメン屋が近いのではなく、隣りあっている。
しかも2軒は似て非なるラーメン屋だった。
一方は古めかしい和風の造り。うまそうな写真が大きく貼られている。メニューもうまそうな雰囲気。
こちらを「うまそうなA」と呼ぶ。
もう一方はひと昔前の食堂みたい。蝋細工のサンプルがケースに入っている。どこにでもありそうなメニュー。
こちらを「地味なB」と呼ぶ。
──さて、どっちで食べるか?
私と友人は「うまそうなA」に入ることにした。
※対照的なラーメン屋が並んでいた
「限定スペシャル」と題されたラーメンが2種類あったので、それを注文。値段はどちらも1,000円。「地味なB」のジャンボラーメンが500円だから、倍の差があるな。
限定塩スペシャル(しそ風味)
視界を覆い隠すような大判の海苔がすごい。ゴージャスな盛りつけだ。
スープをすすると、かなーり濃厚。切り餅のようなバターが溶け出すと、さらにこってりしてくる。背脂のないスープでこれだけ濃いのも珍しい。しそ風味が感じられたのは最初だけで、すぐわからなくなった。
※3種類の厳選された塩をブレンドしているとか
限定スペシャル(熟成醤油味)
友人は醤油味を注文した。
味見させてもらったが、こちらも濃厚じゃ~。
※トッピング全部入りだな
──食べ終わって店を出る。
ふたりとも出てきた感想は「いまいち」だった。
濃厚なスープ、堅めのちぢれ麺、大判の海苔、味のしみた半熟卵、柔らかいチャーシュー、香ばしい揚げ葱、しそやバターの風味……。
味的にも、見た目的にも、コトバのひびき的にもうまそうな要素がたくさん詰まっているのに、完成したのは凡庸なラーメンだった。味が濃いのに物足りないってのは珍しいけどね。
「地味なB」のラーメンはどんな味だったのだろう?
なんだか無性に気になってしまった。