出光美術館 / 乾山の芸術と光琳
2007年 東京都:都心部 美術館知人から美術館のチケットをもらった。
出光美術館の『乾山の芸術と光琳』だ。チケットから察するに陶芸らしい。私にはさっぱりわからない世界だが、行ってみることにした。
※尾形乾山は江戸時代の陶工で、光琳はその兄。
出光美術館
出光美術館は、丸の内・帝国劇場の9階にある私立の美術館。帝国劇場に来るのも初めてだが、こんなところに美術館があったのか。専用エレベータを下りると、照明の落とされたロビーのようなところに出た。クロークやロッカーもある。落ち着いた大人向けの空間だった。これが、個人の蒐集に基づく美術館とは驚かされる。
※ 眺めのいい展望ロビー
展示スペースは思ったより広くて、雰囲気のよいところだった。照明がさらに落とされ、暗がりに美術品が浮かび上がるようだ。こういうのを「シック」と形容するのだろうか? 空気がちがうよ。
※ロビーからの眺め
乾山の芸術
展示を見ながら、乾山について学んだ。ざっくりまとめておく。
尾形乾山 (おがた けんざん 1663~1743)
- 江戸時代の絵師、陶工。
- 京都の呉服商の三男として産まれる。
- 兄・光琳(画家)と対照的に内省的で、書物を愛し隠遁を好んだという。
- 若くして隠遁生活をはじめるものの、37歳で窯を開く。
- 陶芸には無縁だったことから、それまでの常識にとらわれない発想で新しい美を創造する。
- 老いては、通好みの作風から大衆に喜ばれるものに変化。
- 個人の釜でありながら、ブランドになった最初の例とも言われる。
37歳にして、まったく新しい世界に飛び込めちゃうのか。私もあと2ヶ月で37歳になる。このタイミングで展示を見られたのは、感慨深かった。
※作品はお見せできない
美は心を豊かにするもの
陶芸の世界はさっぱりわからんが、けっこう楽しめた。こんな器で食事をしたら、感性が磨かれるだろうなぁ。ちゃんと料理を盛った写真が展示されていたのは嬉しかった。今のように工業、印刷技術がなかった時代に、こういう器で食事をするのは、どんな気持ちなんだろう。
※フロア内には茶室もある
一方、光琳の絵画はあまり心が騒がなかった。
平面と立体では感じ方がちがうのだろうか? 今後の研究課題だな。
ともあれ、思いのほか楽しめる美術館見学だった。