日本郵船氷川丸 / よく働き、よく愛された船
2009年 神奈川県 交通:船 博物館「日本郵船歴史博物館」と「日本郵船氷川丸」の無料チケットをもらったので、見に行ってきた。
まず氷川丸から見学しよう。元町・中華街駅を下りて、山下公園に向かう。昨年、ワールドフェスタ・ヨコハマ2008で訪れたところだ。あのときは屋台と人でよく見えなかった桟橋に、氷川丸は係留されていた。
戦前・戦中・戦後を生き抜いた貨客船・氷川丸
氷川丸をひと言で説明するのは難しい。
世界的には珍しくない中級サイズの貨客船だが、その接客設備とサービスの優秀さによって多くの人々に愛された。太平洋戦争では三度機雷に接触するも沈没をまぬがれ、1960年(昭和35)まで運航した。
──太平洋を横断すること254回、船客数は2万5千余名。
竣工から79年を経て現存している船は珍しいそうだ。
※氷川丸桟橋に係留された氷川丸
※白灯台:現存する横浜最古の灯台
狭くても豪華な船内
1925年(大正14)、パリ万博でアール・デコ洋式(左右対称の幾何学的デザイン)が発表された。その5年後である1930年(昭和5)に建造された氷川丸には、当時の最先端であるこのデザインが取り入れられた。
しかしアール・デコの流行は短く、建物の多くは残っていない。そのため東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)や氷川丸のアール・デコ装飾は文化的に貴重なんだって。
※一等社交室
※見上げる天上はまさにアール・デコ
※一等食堂:料理が並べられている
※一等客室:現代の感覚では狭い
コースは一筆書き
順路は一本道で、迷うところがない。スムースと言えばスムースだが、行ったり来たりはできないので、しっかり見学しなければならない。それと、エントランスロビーで上映されている歴史紹介ビデオは、見ておいた方がいい。20分と長いけど、船内を見る目が変わるよ。
※野外デッキ:病院船だったころはどんな景色が見えたのだろう?
※舳先からの眺め:もう船出することはない
氷川丸は氷川神社から
氷川丸の船名は、大宮の氷川神社から授かったものなんだって。ちなみに、姉妹船である日枝丸、平安丸も神社から名前を授かっている。両船ともに戦没している。
※階段、手すりの氷川神社の紋章
※ブリッジにある神棚
大きな機関室
コース後半に出てくる機関室は圧巻。巨大なディーゼルエンジンは、デンマークのB&W(バーマイスター&ウェイン)製。一部がガラス張りになっていて、クランクシャフトが見えるようになっている。
※機関室:階段で下へ下へと降りていく
※今は静かだが、航行中の騒音はすごかっただろうな
※計器類:使いこなすのは大変そうだ
■日本郵船氷川丸
[住所] 神奈川県横浜市中区山下町山下公園地先
[連絡先] 045-641-4362
[開館時間] 10:00-17:00
[定休日] 月曜日、臨時休館業有(祝日の場合は開館、翌日休館)
[料金] 200円
[URL] https://www.nykline.co.jp/rekishi/exhibitions/hikawa.htm
※ひび割れた船窓
「ただの古い船」と思っていたが、歴史やエピソードを知ると親しみがわいてくる。建物と同じで、在りし日の姿を想像しながら歩くのも一興だ。私たちはこのあと、海沿いに歩いて日本郵船歴史博物館に向かった。途中、横浜税関に立ち寄ったりしたけど、そのへんは次の日記で。