日本郵船氷川丸 / よく働き、よく愛された船

2009年 神奈川県 交通:船 博物館
[WGS84] 35.44666, 139.651255 - Google Earthで開く(kml)

「日本郵船歴史博物館」と「日本郵船氷川丸」の無料チケットをもらったので、見に行ってきた。

まず氷川丸から見学しよう。元町・中華街駅を下りて、山下公園に向かう。昨年、ワールドフェスタ・ヨコハマ2008で訪れたところだ。あのときは屋台と人でよく見えなかった桟橋に、氷川丸は係留されていた。

戦前・戦中・戦後を生き抜いた貨客船・氷川丸

氷川丸をひと言で説明するのは難しい。
世界的には珍しくない中級サイズの貨客船だが、その接客設備とサービスの優秀さによって多くの人々に愛された。太平洋戦争では三度機雷に接触するも沈没をまぬがれ、1960年(昭和35)まで運航した。
──太平洋を横断すること254回、船客数は2万5千余名。
竣工から79年を経て現存している船は珍しいそうだ。

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※氷川丸桟橋に係留された氷川丸

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※白灯台:現存する横浜最古の灯台

狭くても豪華な船内

1925年(大正14)、パリ万博でアール・デコ洋式(左右対称の幾何学的デザイン)が発表された。その5年後である1930年(昭和5)に建造された氷川丸には、当時の最先端であるこのデザインが取り入れられた。
しかしアール・デコの流行は短く、建物の多くは残っていない。そのため東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)や氷川丸のアール・デコ装飾は文化的に貴重なんだって。

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※一等社交室

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※見上げる天上はまさにアール・デコ

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※一等食堂:料理が並べられている

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※一等客室:現代の感覚では狭い

コースは一筆書き

順路は一本道で、迷うところがない。スムースと言えばスムースだが、行ったり来たりはできないので、しっかり見学しなければならない。それと、エントランスロビーで上映されている歴史紹介ビデオは、見ておいた方がいい。20分と長いけど、船内を見る目が変わるよ。

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※野外デッキ:病院船だったころはどんな景色が見えたのだろう?

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※舳先からの眺め:もう船出することはない

氷川丸は氷川神社から

氷川丸の船名は、大宮の氷川神社から授かったものなんだって。ちなみに、姉妹船である日枝丸、平安丸も神社から名前を授かっている。両船ともに戦没している。

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※階段、手すりの氷川神社の紋章

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※ブリッジにある神棚

大きな機関室

コース後半に出てくる機関室は圧巻。巨大なディーゼルエンジンは、デンマークのB&W(バーマイスター&ウェイン)製。一部がガラス張りになっていて、クランクシャフトが見えるようになっている。

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※機関室:階段で下へ下へと降りていく

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※今は静かだが、航行中の騒音はすごかっただろうな

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※計器類:使いこなすのは大変そうだ

■日本郵船氷川丸
[住所] 神奈川県横浜市中区山下町山下公園地先
[連絡先] 045-641-4362
[開館時間] 10:00-17:00
[定休日] 月曜日、臨時休館業有(祝日の場合は開館、翌日休館)
[料金] 200円
[URL] https://www.nykline.co.jp/rekishi/exhibitions/hikawa.htm

日本郵船氷川丸 - よく働き、よく愛された船
※ひび割れた船窓

「ただの古い船」と思っていたが、歴史やエピソードを知ると親しみがわいてくる。建物と同じで、在りし日の姿を想像しながら歩くのも一興だ。私たちはこのあと、海沿いに歩いて日本郵船歴史博物館に向かった。途中、横浜税関に立ち寄ったりしたけど、そのへんは次の日記で。

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