旧田中銀行博物館 / 風通しのよい擬洋風建築
2009年 山梨県 建物:近代遺産コース上に旧田中銀行博物館があった。
明治時代の洋風建築で、きちんと保存されている。こんな建物があるとは知らなかった。近代遺産の「ちょうどいいリスト」はなかなかないね。
この建物は風通しがよく、空気が心地よかった。洋風建築の重厚さがない。それにボランティアのおじいさん、おばあさんもほがらかで、いろいろ細かく教えてくれた。冷たいお茶もおいしかった。とても素敵な時間を過ごせたように思う。
※旧田中銀行博物館:フェンスに「田中」の字があしらわれている
※ボランティアの方々が出迎えてくれた
100年の歴史
この建物は、明治30年頃、勝沼郵便電信局舎として建設された。1920年(大正9年)に山梨田中銀行社屋として使われるが、世界恐慌で破綻。戦時中は北白川宮関係者が疎開していた(だから葵の御紋がついた箪笥が残っている)。
その後、荒廃が進んでいたが、保存運動が高まって、今は無料開放の博物館になっている。
おじいさんも言っていたけど、この建物は勝沼町の近代をずっと見てきたんだね。
※旧田中銀行土蔵:珍しいレンガ造りの土蔵
日本の職人で造った疑似洋風
異国情緒ただよう建築物だが、実際は日本の職が「洋風」を見よう見まねで造ったものであり、厳密には洋風建築ではない。山梨県では、こうした擬洋風建築を藤村式建築と呼ぶんだって。
このあたり、調べてみると奥が深いが、まとめきれないので割愛する。
※1階は洋風だが
※2階は和風だった
予備知識がないと厳しい
ボランティアの方々の説明も興味深かったが、情報量が多すぎて吸収できなかった。地元の人は、なるべく珍しいところを強調しようとするが、ある程度の予備知識がないと理解できないのだ。
この日記を書くために勉強したので、今ならおじいさんの話をよく理解できるかも。ままならないね。
※細部もおもしろいが、紹介しきれない
※階段にて
■旧田中銀行博物館
[所在地] 山梨県東山梨郡勝沼町勝沼3130-1
[連絡先] 0553-44-3755
[建設年] 明治30年代(1897~1918年)以降
[構造] 土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積20m2
[開館日] 4~10月(水~日)、11月~3月(土日)
その後、原茂ワインのCafe Casa Da Nomaで食事をとって、泉勝院から勝沼ぶどう郷駅までの長い坂道で体力を使い果たした。