御前埼灯台 / 太平洋を見渡す崖上の灯台
2010年 静岡県 #駿河湾ドライブ 日本の灯台50選 海辺 灯台本日、もう1つの目的地である御前埼灯台に到着する。
時刻は14時半。このあと浜岡原子力発電所を見学したいから、ここに滞在できるのは1時間くらい。そのくらいで十分だろうと思っていたし、灯台見学は十分だったが、眼下の海で遊んでしまって、思いのほか時間を使ってしまった。
※ヤシの木ロードを抜けた先が御前崎
なぜ灯台が好きなのか?
何度も言うが、私は灯台ファンである。灯台マニアと言いたいところだが、ホンモノは強烈すぎるので、肩を並べることはできない。
なぜ灯台が好きなのか? 灯台はたいてい岬に立っている。岬とは御崎──この世の端っこである。そんな岬に灯台があると、自分が世界の果てに来たって感じが強まるからだ。それに多くの灯台は明治期に建てられ、歴史的にも価値がある。さらに灯台守の孤独な物語にふれれば、感動しないわけにはいかない。わかってくれるよね?
ちなみに岬の名前は「御前崎」、灯台の名前は「御前埼」。これ、灯台ファンの常識。しかしATOKでも変換されない。哀しい。
※御前埼灯台と無料駐車場
大した崖ではないのだが...
御前埼灯台は隆起海食台地に立っている。周辺の海岸低地に比べれば高いが、これまで訪れた断崖絶壁の灯台を思えば、なんてことはない隆起だ。しかし灯台に至る坂道で息切れしてしまった。外出する機会が減ったので、身体がなまってる。ヒーヒー。
※登っていく
余談だが、「遠州」と言えば、カムイ外伝の『遠州』を思い出す。ここが、あの遠州の海なんだな。読んだのは中学生の時だったから、39歳になって訪れるとは思わなかった。
敷地前にあった石碑の詩を引用しよう。
おお 御前崎
ここの断崖で海は二つに切られている
駿河の光と
遠江の風に ──丸山薫
※ここは駿河湾と遠州灘の境目
レンガ造りの灯台
御前埼灯台は日本の灯台50選。また珍しいレンガ造りの灯台である。明治初期に建てられた様式灯台はレンガ造りが主流だったが、耐震性や製造上の問題から明治後期は衰退している。日本に現存しているレンガ造り灯台は10基あまり。私たちが訪れた中では、犬吠埼灯台もレンガ造りだった。
※なかなかいい顔してる
※このポッドは塔頂部かな?
※さぁ、登ろう
※そんなに高くない
塔頂部より
螺旋階段を登ると、塔頂部に出た。観音埼灯台と同じ水銀槽式回転機械に、第3等大型フレネル式レンズが乗っている。水銀槽式回転機械とは、重量物であるレンズを水銀に浮かべることで、効率よくまわす装置。その下にある免震装置が、3.2トンの水銀槽を支えている。
だんだん灯台の仕組みがわかってきた。
※水銀槽式回転機械
またまた余談だが、御前埼灯台は日本で初めて第1等フレネル式レンズ(フランス製)が設置されたところ。しかし第1等フレネル式レンズは犬吠埼の灯台資料展示館で見たけど、ものすごくデカい。あんなレンズが、この塔頂部に入るとは思えない。1949年(昭和24年)に再建されたときに、塔の大きさも変わったのだろうか。
※塔頂部に出た
※こちらは遠州灘
外に出ると、太平洋が一望できた。なかなか見晴らしがいい。見渡すかぎり水平線なので、地球が丸く見えると言われているが、魚眼レンズで見るような曲線はない。頭の中に駿河湾の地図を描いて、「端っこに来たな」と感じ入る。
※駿河湾に浮かぶ灯台:名前がわからない
※塀の部分にあるのは、私の影
※磯あそびが楽しそう
※海へ降りていく
■御前埼灯台
[住所] 静岡県御前崎市御前崎
[歴史] 1874年(明治7年)5月 1日初点灯
[料金] 200円
御前埼灯台下岩場で磯あそび
いまは満潮だが、干潮時には数十メートル沖合まで岩場が露出するそうだ。
嫁は磯あそびが好きで、グアムや福江島でも水に足をつけていた。泳ぐより、足をつける方が楽しいらしい。
遊泳禁止なので、泳いでいる人はいないが、どっぷり波に浸かっている人もいた。着替えをフルセット、用意してるのかな。岩場の苔で滑らないように注意しよう。
※ここでも磯あそび
※岩場に潜む魚
※痛い!:カニが指を挟んでる!
15時半になった。そろそろ行かなければ。
本日の最終目的地である浜岡原子力発電所は、まだ10kmほど離れている。遠州灘に沿って車を走らせた。