マスターズ・オブ・ホラー26本を一気に鑑賞した

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 ニコ生上映会で『マスターズ・オブ・ホラー』全28本を一気鑑賞したので、感想を残しておく。

マスターズ・オブ・ホラー

 『マスターズ・オブ・ホラー』(Masters of Horror)は、13人のホラー映画監督によって制作されたテレビドラマシリーズ。第1期は2005年、第2期は2006年に放送された。
 日本でのリリースは混乱した。2話セットで全話リリースされなかったり、シリーズ外の作品がセットになったり、第2期だけ『13 thirteen』というタイトルにされたり。なのでニコ生上映会で制覇できたのは僥倖だった。スプラッター26本の視聴はヘビーだったけど。

料理から料理人がわかるか?

 『マスターズ・オブ・ホラー』にはダリオ・アルジェントやジョン・カーペンター、ジョー・ダンテなど巨匠だけでなく、馴染みのない俊英も参加している。日本からは第1期に三池崇史、第2期に鶴田法男が参加している。正直、わかるのは数名だけ。映画を見ても、監督まで覚えないからだ。
 このシリーズの醍醐味は、「監督ごとの演出スタイルのちがいを楽しむこと」だろう。たしかにスタイルはちがうんだけど、それを見て「○×監督らしい」と言えるほど、私はツウじゃなかった。さすが有名な監督は演出がうまく、なにげないシーンが怖い。しかし名監督は名作家ではないのか、オチが弱い作品も多かった。あるいはオチなんて気にしないのも、巨匠の持ち味かもしれない。

香辛料が強すぎる

 ほとんどの作品にゴア表現が入っている。昔はスプラッター映画などと言っていたが、昨今はもっとリアルに、もっと神経に触るように、痛々しい描写(ゴア表現)を盛り込むことが主流らしい。私はホラー好きだが、痛々しいのは苦手だ。それは激辛スパイスのように料理の風味をぶち壊してしまう。映画を見たあとに思い出すのが怖さではなく嫌悪感になるのは避けたい。しかし世の趨勢は逆だった。
 ホラー映画の巨匠が集まって、似たような話が連続しないように企画されたシリーズなのに、これだけゴア表現が多くなるのは、むしろゴア表現こそがホラー映画の醍醐味であって、ストーリーやモンスターの方がオマケなのかもしれない。これはアメリカ特有の文化なんだろうか? ホラー映画ファンが残酷とはかぎらないが、ちょっと不安になる。

レビュー

 個別のレビューはブログに書いたので、あらすじを付記する。
 ★★★はお気に入り。★★はアイデアはいいけどオチが弱い。★は圏外。
 レビューを書くとき、いろんなブログを見て回ったんだけど、傑作/駄作の評価が反転する例が多くて驚いた。私の「くっだらねー」が「笑えるwwww」に、私の「奥が深いなぁ」が「わけわかめ」になってると、ちょっと凹む。感動ってのは共有しがたいものだ。

マスターズ・オブ・ホラー:第1期
好み タイトル 監督
★★- ムーンフェイス ドン・コスカレリ
特別な訓練を受けた女性が、殺人鬼に追いかけられる。
★★★ 魔女の棲む館 スチュアート・ゴードン
壁の向こうにいる怪物に支配される。
★-- ダンス・オブ・ザ・デッド トビー・フーパー
文明が崩壊して、モラルも崩壊した。
★★★ 愛しのジェニファー ダリオ・アルジェント
怪物美女に恋した刑事の末路。
★-- チョコレート ミック・ギャリス
見知らぬ美女の五感にシンクロした男の錯覚。
★★- ゾンビの帰郷 ジョー・ダンテ
戦死者が復活して投票所に集まった。
★-- ディア・ウーマン ジョン・ランディス
怪物美女の連続殺人を止めろ。
★★- 世界の終り ジョン・カーペンター
封印された映画フィルムを探せ。
★-- 閉ざされた場所 ウィリアム・マローン
誘拐された女子高生が屋敷から脱出する。
★-- 虫おんな ラッキー・マッキー
虫好きのレズビアンが理想の相手を見つけた。
★-- ハンティング ラリー・コーエン
2人の殺人鬼に理由なく追われる女性の不幸。
★-- ヘッケルの死霊 ジョン・マクノートン
森に住む美女は魔術で蘇った死体とまぐわっていた。
★★- インプリント ~ぼっけえ、きょうてえ~ 三池崇史
明治初期の日本でアメリカ人が遭遇した妖怪奇談。
マスターズ・オブ・ホラー:第2期
好み タイトル 監督
★-- 災厄の街 トビー・フーパー
街を襲った正体不明のなにかと戦う。
★★- 言葉なき隣人 ジョン・ランディス
殺人鬼の視点でつづる平穏な日常。
★-- Vの伝染 アーネスト・ディッカーソン
ゲーム好きの少年2名が吸血鬼に噛まれた。
★★- ノイズ ブラッド・アンダーソン
超人的な聴力に悩まされる中年サラリーマン。
★★- グッバイベイビー ジョン・カーペンター
神の声を聞いた父親が娘の中絶に反対する。
★★- 愛と欲望の毛皮 ダリオ・アルジェント
毛皮販売に関わった人たちが呪われる。
★★★ 男が女を殺すとき ジョー・ダンテ
謎の感染症によって男性が女性を殺しはじめた。
★★- ヴァレリーの誘惑 ミック・ギャリス
壁の向こうにいる美女に支配される。
★★- 妻の死の価値 ロブ・シュミット
事故で重傷を負った妻を安楽死させるか否か。
★-- アイスクリーム殺人事件 トム・ホランド
ピエロが襲ってくる。
★-- 黒猫 スチュアート・ゴードン
アルコール中毒の作家が黒猫に八つ当たりする。
★-- ワシントン・コード ピーター・メダック
ワシントンの秘密を知ってしまった夫婦を襲う恐怖。
★-- ドリーム・クルーズ 鶴田法男
前妻の呪いが海上で吹き荒れる。

巨匠と無名、どちらがいいか?

 繰り返しになるが、さすが巨匠が撮っているだけあって演出は素晴らしい。しかし私はストーリー中毒者なので、演出だけじゃ満足できない。
 『世にも奇妙な物語』がスタートしたときは方向性が定まらず、若手監督がいろいろなアイデアや表現を試した結果、魅力的なエピソードが多かった。近ごろは量産体制が整ってしまい、尖った作品はめったにお目にかかれない。このシリーズも若手に任せたら尖った作品ができただろうか? リスクが大きいか。私も「ホラー映画の巨匠が競演している」という宣伝がなければ見なかっただろうしね。
 個人的にはもっとSFホラーを見たいが、需要ないのかな。

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