第10夜:宴の終わり

第10夜:宴の終わり 夢日記
第10夜:宴の終わり
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「さて、そろそろ帰りましょうか」
 彼女はそう言って、席を立つ。そうだねと返事をして、私も店を出た。
 てくてく歩く。
 これといった話題も思いつかないので、無言のまま歩く。もうすぐ駅だ。駅に着いたらオワカレ。宴(うたげ)が終わる。
(もう少し話をしたいけど、このへんが引き際かもしれない……)
 宴はいつも、終わり方が難しい。おしゃべりな私は、ついつい話を引き延ばすクセがある。相手はもう帰りたがっているのに、それに気づかず、えんえん話しつづける。優しい人ほど調子を合わせてくれるので、なお気づかない。
 で、相手と別れたあとで我に返り、空気が読めない自分を呪うことになる。
(でも、もしかして……?)
 ごくまれに、相手も同じように思っている場合があるらしい。「もう少し話をしよう」と、私から声をかけられるのを待っている。しかし、そのサインに気づくのは難しい。

「それじゃ、ここで。今日はありがとう。楽しかった♪」
 そう言って、彼女は去っていった。
 結局、私は切り出せなかった。


 これでよかったのか、声をかけるべきだったのか?

 悶々と考え込みながら、私は自宅に向かう路線に向かった。そのとき背後から、大きな爆発音が轟いた。列車事故だった。人が多すぎて、現場がよく見えない。それに周囲の様子もおかしい。悲鳴や怒号に混じって、笑い声も聞こえてくる。いったいなにを見たら、あんな風に笑えるのだろう? わけがわからない。

 混乱する頭の中で、彼女のことが気になった。
(あれ? 彼女が乗った電車は……もう出発した?)
 確かめようにも、人の流れが激しくて近づけない。押し戻される。こりゃ、家に帰ってニュースを見た方が早いか? 馬鹿な。事故現場にいるんだぞ。

 いや、事実は(もし最悪の事実だったら)、家で(ニュースとして)みる方がいい。

 なんだそりゃ?
 それって、どういう意味で笑ってんの?
 なんか、まちがってる?


 という夢をみた。
 事故現場にいるのに、緊張感がないのが怖かった。
 彼女は無事だっただろうか?

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