第33夜:全校同窓会

第33夜:全校同窓会 夢日記
第33夜:全校同窓会
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 全校同窓会の招待状が届いた。

 なんと高校3学年の全生徒、全教師が、校舎を借り切って、一堂に会するらしい。体育館の立食パーティのあとは、自分の教室でホームルームを受講するそうだ。誰が考えたか知らないが、すさまじいイベントだ。
 しかし私は仕事の都合から、途中参加になってしまう。校舎は文化祭のように装飾されていた。体育館の立食パーティも終盤に入っており、食べ物も残り少ない。もっと早くに来たかったのに。ネクタイを締めるか、ゆるめるか、迷ってしまう。
 紙コップでビールを飲みながら、知ってる顔を探す。
 卒業して20年も経つと、当時の面影なんか消し飛んでいる。太ったヤツ、剥げたヤツ、やさぐれたヤツ……って、私のことか。もともと私は人の顔を覚えるのが苦手なので、ここが本当に自分の同窓会なのかどうかも怪しい。
「もしかして、ヒラくん?」
 声をかけてくれたのは、元クラスメートの女子だった。
 あぁ、女の子はこんな風に変わるんだな。変わったけど、変わってない。紺色のブレザーを着ていた当時の面影がよみがえってくる。
 うはぁ、なつかしい。私は大喜びで、彼女と談笑した。


 こんなに人が多いのに、知っている顔が見つからない。
 なので、ずっと彼女と話してしまう。あんまり拘束しても悪いのだが、切り上げるタイミングがつかめない。彼女も、友だちの誘いを断って、私のそばにいてくれる。
 うれしいけど、これでいいのだろうか。
(ひょっとして? いや、まさか……)
 淡い期待がわいてくる。その可能性に気づいてしまうと、もう無視できない。
 困ったことに、彼女も「そのつもり」に見える。そう見せているのか、そう見えているだけか? お互い、いいオトナになった。よく知っているような、知らないような、不思議な距離感がたまらない。一歩、踏み込めば、あのころとちがった展開になるかもしれない。
 そんなとき、【緊急】メールが届いた。
 仕事でトラブルがあったらしい。急いでPCがあるところへ行かなければならない。冷水を浴びせられて、気持ちがぺしゃんこになる。メールを読んでしまった以上、ふわふわモードには戻れない。悔しくて、切なくて、やるせない。
「また、会いましょう」
 私の状況を察したのか、彼女が切り上げを宣言する。すっくと席を立つ彼女は、えらく遠くに見えた。次に会うときも、このテンションを維持できるだろうか……。無理だろうな。
 つかみかけた蝶が、ひらりと手をすり抜けていく。


 ……という夢を見た。
 枕元にあったiPhoneでメールをチェックするが、仕事のトラブルなど起きていなかった。がくっと脱力する。いま布団で寝ていることが信じられない。
 だが、それ以上にショックだったのは、「彼女」なんていなかったことだ。
 どんなに好意的に解釈しても、私とあのような関係になる女生徒はいなかった。20年前の思い出も含め、すべて、私の幻想だったのだ。

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