目覚めると、マンションの一室だった。
室内には、私のほかに数名の男女。みんな知らない人だ。私が目覚めたことに気づくと、彼らは状況を説明してくれた。それは、驚愕すべき状況だった──。
ここは建設中のマンション。広い敷地にはショッピングセンターから病院まである。まだ工事が終わっていないのか、通行できない箇所がある。オープン前だから、だれも住んでない。そして、このマンションから出られない。窓やテラスから「外」を見ることはできるのだが、通行人は見ない。もうずっと夜のまま。何日も。時間が停まっている。
ここにいるのは、みな殺人犯だった。
だれかを殺したあと、意識を失って、ここに運ばれてきたらしい。そう言われると、私もなんとなく、だれかを殺しているような気がしてきた。しばらくのあいだ、皆は協力してマンション内の探索などをしていたが、どういうわけか殺し合いに発展してしまう。
「互いに殺し合って、最後の1人になれば脱出できる」
と、だれかが言い出したのだ。
私は目覚めて半日だが、なかには1年近く閉じこめられていたヤツもいるそうだ。
(1年近く、ずっと夜のマンションから出られない)
そりゃ、精神もおかしくなる。
巨大マンション内で、かくれんぼがはじまった。命がけのかくれんぼだ。出会えば、そこで殺し合いになる。私は、女子高生に襲われていた。やたらと強い。凶悪な武器を繰り出してくる。だいぶ手傷を負ったが、最後は逆転して、無力化に成功した。
「殺せ! もう生きていたって意味がないんだ!
私は、彼を殺してしまったんだ!」
ぎゃーぎゃー騒ぐ女子高生。
やんぬるかな……。
そのとき、ふと思い出す。私はこの娘を知っている。ニュースでやってた。「痴情のもつれ」とか「高校生が殺人」という見出し。そうだ、この顔だ。この顔はニュースで見た。彼氏の返り討ちにあって殺された、被害者の女子高生だ。なんてこった。この娘は、すでに殺されている!
ああ、そうか。ここにいるのは殺人犯じゃない。殺意をもったまま殺された人が、運び込まれているんだ。つまり、このマンションは……
ここは、「あの世」だ──!
……という夢を見た。
布団の中にもどってこれた。まだ午前4時だ。
(ほへぇ)
とりあえず記憶がつながり、ひと安心だ。
(ほかの連中は、まだマンション内にいるのだろうか)
窓の外は、もうすぐ夜明けだった。
