11月18日(土木の日)は、湯西川ダム(工事中)を見学してきた。
mixiの「社会科見学に行こう!」コミュニティに参加募集トピックが立ったので、即座に申し込んだ。私は5人目。同コミュ関連のイベントは、神田川取水施設と初台の首都高トンネルに参加して以来、じつに4年ぶり。
今回訪れる湯西川(ゆにしがわ)ダムは2011年竣工予定。ダムはあちこち見てきてるけど、工事中のダムは初めて。楽しみ♪

※大型バスの送迎付き
なんて豪勢な見学ツアー
湯西川ダムは栃木県の奥地にある。現地集合でも文句なく出かけるが、なんと東京駅から大型バスで送迎してくれるそうだ。お弁当、冷たい飲み物、温かい飲み物、使い捨てカイロ、分厚いパンフレット、マジックペンまで用意されていた。
これで参加費無料とは信じられない!

※豪勢な弁当!
湯西川ダムまでは片道3時間。その間、ダムに関するDVDが上映された。行きは『佐久間ダム』、『九頭竜川に築く 長野ロックフィルダム』。帰りは『パッテンライ!! ~南の島の水ものがたり~』と『崩れ 大地のいとなみと私たち』。どれも渋すぎる内容。『黒部の太陽』や『ホワイトアウト』が邪道に思えてしまう。
なんて無慈悲な見学ツアー
しかしイイことばかりじゃない。タイムテーブルを書き起こすとわかるが、往復6時間もかけたのに、現場見学は30分しかない。湯西川ダムの周囲には「いいダム」がいっぱいあるけど、全部スルー。湯西川ダムに行って帰ってくるだけ。パーキング休憩も10分のみで、お土産を買う時間さえなかった。あまりにも素っ気ない。
- 09:30 – 東京駅に集合。
- 09:45 – 大型バス2台で出発。
- 12:50 – 道の駅・湯西川で休憩。
- 13:00 – 湯西川ダム本体建設工事現場 到着
- 13:10~14:10 – 参加者200万人達成記念イベント
- 14:20~14:50 – 現場見学
- 15:00 – 質疑応答
- 15:30 – 現場出発
- 19:00 – 東京駅八重洲南口 鍛冶橋駐車場にて解散
- 19:20 – 有志の飲み会

※川治ダム!(ちょっとバスを止めてぇ)

※五十里ダム!(ちょっとスピードを落としてぇ)
参加者にとっての目玉は現場見学だが、主催者にとっての目玉は「100万人の市民現場見学会」の200万人達成記念イベントだったようだ。国土交通省の人が挨拶して、「100万人の市民現場見学会」の足跡などが紹介されたが、私たちは早く現場を見たくて仕方なかった。
(イベント時間を省けば、もっと長く見学できるのに!)
まぁ、こうしたイベントのおかげで工事現場を見られるし、参加費無料だから文句は言えないけどさ。ある意味、私たちはイベントのエキストラとして呼集されたのかもしれない?

※湯西川ダム本体建設工事現場
バッチャープラントへ
記念撮影したら、ふたたびバスに乗ってダム打設現場へ。砂利の山を抜けて、ベルトコンベアに沿って大型バスが登坂していく。そこかしこに珍しい設備があるのに、よく見えない。

※バスの窓からじゃよく見えない! 歩かせてくれ!

※ここが見学現場

※ベルトコンベアの先にある赤茶色の塔はバッチャープラントかな

※ダムの右岸だった

※打設中のダム堤体
コンクリートを作れ、運べ、積み上げろ
打設現場にコンクリートを運ぶ行程は自動化されている。山を砕いたときに発生した砂利が、ベルトコンベアでバッチャープラントに放り込まれ、コンクリートが製造される。これをバケット台車、ゴンドラを経由して、打設現場に下ろされる。回りくどい印象を受けるが、これが最善の行程なのだろう。

※バケット台車にコンクリートを注ぐ

※バンカー線上をバケット台車が動いて

※バケット台車からゴンドラに注がれる

※ゴンドラが堤体へ移動して

※コンクリートを落とす

※工事車両で、厚さ1mに敷き詰めていく

※オモチャのようだ

※残っている体積
なるほど重力式コンクリートダムは、こうやって造られるのか。
湯西川ダムの堤高は119mになる。それを1mずつ埋めていくのだから、気が遠くなる。とはいえ、高さはすでに2/3に達している。下の方ほど広かったはずだから、作業は終わりに近づいている。
しかし天端と同じ高さからの見学だから、大きさが把握しづらい。打設現場とは言わないが、下流側から見上げてみたかった。見学できる時間も場所も制限されていて、めまぐるしかった。

※魚眼で撮影する

※木を刈り込んだところまで水がたまるのだろう

※まだ水を堰き止めてない

※見学風景

※メモリアルストーン:名前を書いた石が堤体打設に使われる
駆け足じゃもったいない
「もう時間がありませーん」
と言われてバスに乗り込み、事務所までもどってくる。ここから質疑応答になるのだが、発注者(国土交通省)の所長さんが不在のため、質問の半分が空振りになってしまった。多くの参加者は施工と運用の区別がついていないようだが、一般市民が対象だから無理もない。

※質疑応答:温かい飲み物が配られた
イベントの挨拶にもあったが、いま、土木業界は逆風にさらされている。日本土木工業協会は、「無駄なもの」「利権の温床」「旧態依然」といったマイナスイメージを払拭するため、こうした市民参加の見学会を開催しているわけだが、今ひとつツメが弱い気がする。パンフレットは立派だし、ツアーも金がかかっている。しかしどれほどの参加者が、湯西川ダムの必要性を理解しただろう? 工事費用を圧縮する工夫に気づいただろう?
「駆け足の見学会」という印象で終わってしまうのは、あまりにも惜しい。
1つのアイデアは、私たちのような土木ファンを活用することだ。土木ファンは熱心に情報発信するので、効率よく一般市民に情報を伝えられる。現在の社会科見学ブームも、一部のマニアによって牽引された。
だから、もっと見せてほしい……と思うのは我田引水かな?
道の駅・湯西川
事務所を出発したら、あとは帰るだけ。道の駅・湯西川(湯の郷・湯西川観光センター)の写真も載せておこう。鬼怒川ダム群も見たいので、湯西川ダムが完成したらまた来よう。

※野岩線湯西川橋梁(架橋:1983年)

※水陸両用バス:湯西川ダムが完成したら、あれに乗ろう

※足湯に浮くカッパ:カッパは湯西川のシンボルらしい
有志の飲み会
東京に着いたのは19時すぎ。ここで解散だが、「社会科見学に行こう!」コミュの関係者で飲んでいくことに。私も参加させてもらって、計13人。バスや現場ではしゃべれなかった本音トークをぶちまける。ドボドルとか、DKB48とか、コンクリートミルクとか……下品で、くっだらない話ばかりだけど、おもしろかった。
平日のイベントに参加できるだけあって、ひと癖もふた癖もある人ばかり。職業を2つもってる人が多いことに驚く。1つは食べるため、1つは楽しむためだ。

※個別の13人

※かんぱーい♪

※湯西川で買ってきたカッパを見せてもらう
ダム見学もよかったが、最後の飲み会がいちばん楽しかった。人数が多いし、酔っていたので、顔と名前が一致しないけど、これからも見学をつづけていれば顔なじみが増えるかもしれない。
なんだかワクワクしてきた。
関連:ダム
- 小河内ダム – G – 148.0m – 1957年 – 小河内貯水池 / 奥多摩湖
- 御母衣ダム – R – 131.0m – 1961年 – 御母衣湖
- 九頭竜ダム – R – 128.0m – 1968年 – 九頭竜湖
- 布引五本松ダム – G – 33.3m – 1900年 – 布引貯水池 (ダム湖百選)
- 宮ヶ瀬ダム – G – 156.0m – 2000年 – 宮ヶ瀬湖 (ダム湖百選)
- 石小屋ダム – G – 34.5m – 2000年 – 石小屋湖
- 城山ダム – G – 75.0m – 1965年 – 津久井湖
- 羽鳥ダム – A – 37.1m – 1956年 – 羽鳥湖 (ダム湖百選)
- 浦山ダム – G – 156.0m – 1998年 – 秩父さくら湖
- 浅瀬石川ダム – G – 91.0m – 1988年 – 虹の湖
- 御所ダム – GF – 52.5m – 1981年 – 御所湖 (ダム湖百選)
※G=重力式コンクリートダム, R=傾斜土質遮水壁型ロックフィルダム, A=アースダム, MA=マルチプルアーチダム, GF=コンバインダム
