がす資料館(GAS MUSEUM) / ひょっとして消えゆく文化?

2011年 東京都:都下 博物館 建物:近代遺産
[WGS84] 35.741949, 139.500733 - Google Earthで開く(kml)

角上魚類小平店の帰り、がす資料館(GAS MUSEUM)に立ち寄った。

東京ガスのピーアール施設で入場無料。以前から存在は知っていたけど、なかなか訪れる機会がなかった。企業博物館だが、明治から現代までの歴史を振り返るおもしろさがあった。

パノラマ:ガスミュージアム

※パノラマ:ガスミュージアム(左がガス灯館、右がくらし館)

がす資料館の展示施設は2つある。1つはガス灯館で、明治42年建築の東京ガス本郷出張所を移設復元したもの。もう1つは「くらし館」で、明治45年建築の東京ガス千住工場計量器室を移設復元したもの。どちらも煉瓦造りの立派な建物で、外観だけでなく内装もほぼ当時のまま復元されていた。近代遺産の屋外展示場かと思うほどだ。

ガス灯館

まずはガス灯館を見学。こちらはガスの歴史が紹介されている。現代、ガスと言えば調理だが、明治期は照明だった。街灯も電気が当たり前だから、ガス灯なんて見たことがない。そういえば中庭にあったガス灯は全部本物で、現在も点灯するそうだ。

ガスマントル
※ガスマントル:ふだんの暮らしでは見たことも使ったこともない

点消方の装備(レプリカ)
※点消方(てんしょうかた)の装備(レプリカ)

2Fギャラリーでは「ガスミュージアム寄贈品展」が開催されていた。いつもは錦絵が展示されている。くらし館の展示と重複する部分もあるが、暮らしの道具を見るのは楽しかった。

ガスミュージアム寄贈品展
※ガスミュージアム寄贈品展

分離式ガスオーブン
※分離式ガスオーブン:オーブンとコンロが分離する

杉桝型火鉢
※杉桝型火鉢:機能上は必要ない灰が付属している。

くらし館

お次はくらし館。こちらは年代別にさまざまなガス器具が展示されている。当時の家庭の様子や宣伝に使われたポスター、CMもある。映像の古さ、キャッチコピーのセンスがたまらない。またガスオルガンやガスエンジンなど、暮らしに使われない器具も興味深かった。

パノラマ:くらし館

※パノラマ:くらし館

TG6号ガス自動炊飯器
※TG6号ガス自動炊飯器:記憶にないなぁ

食パン焼き器(四面式)
※食パン焼き器(四面式):ガスコンロの上でトーストが1度に4枚焼ける優れもの

点消方の仕事を再現した模型
※点消方の仕事を再現した模型

英国ホンスピー社製 3馬力ガスエンジン
※英国ホンスピー社製 3馬力ガスエンジン

■がす資料館(GAS MUSEUM)
[住所] 東京都小平市大沼町2丁目590
[電話] 042-342-1715
[料金] 無料
[URL] https://www.gasmuseum.jp/

コークガイド
※屋外展示のコークガイド(Coakguide):かまどから排出されるコークスを消火車に導く装置

1971年生まれの私にも、知らない器具がいっぱい。90年代に生まれた人は、もっと知らないだろうな。あと20年もしたら、ガスは「前世紀の遺物」と思われるかもしれない。
照明として、調理エネルギーとして利用されてきたガスは、発電システムとして生き残ろうとしている。オール電化の波は、人々の暮らしをどう変えるだろう。
ここは大人向けの資料館だね。お年を召された方ほど楽しめると思う。