第36夜:電池がない
2010年 夢日記
(なにか......なにか手はないか?)
荷物をあさりながら、私は必死に考えた。カメラの電池がないのだ。一眼レフだけでなく、コンパクトカメラも、iPhoneも電池切れ。電池がなければ、写真を撮れない。
(久々の海外旅行なのに、とってもいい景色なのに! 記念撮影ができないなんて!!)
リュックサックの中をひっくり返したが、解決につながる道具は見つからなかった。お手上げだ。今回の旅行は写真なしだ。
電池がなくなっても、荷物は軽くならない。むしろ重くなった。カメラ本体や替えのレンズはデッドウェイトになったが、かといって捨てるわけにはいかない。電池さえあれば使えるのだから。なにより高価な機材を易々と捨てることなど、できるはずもない。
(どこかで電池を買えるだろうか?)
これまで歩いた道のりや、これからのスケジュールを思い描いてみるが、希望は見つからなかった。なんせ外国の山をハイキングしているのだ。ジュースの販売機さえ見あたらない。ふもとに下りても、カメラの電池を売っている店があるだろうか?
あれこれ考えていると、景色を見る余裕がなくなった。というか、けっこうハードな登山コースだぞ。斜面がきつくて、手をついて登っていくのだが、足下の土がぽろぽろ崩れていく。すべる。身体が重い。遠い。重い。すべる。どうしよう......。
◎
という夢を見た。
原因はわかってる。ネットブックが故障したせいだ。やれやれ。ハードウェアの故障は、自分で考える以上に憂鬱みたいだ。しかしネットブックは復旧できたので、同じ夢はもう見ないだろう。
まぁ、同じ夢を見ることはまれだが。