【ゆっくり文庫】横溝正史「犬神家の一族」パイロット版 The Inugami Clan (1972) by Yokomizo Seishi
2018年 ゆっくり文庫 ミステリー 日本文学 横溝正史
073 涙さえ燃えている──
犬神佐兵衛の莫大な遺産を相続したのは、血縁のない野々宮珠世だった。佐兵衛の3人の孫たちは珠世を我が物にしようと企むが、連続殺人事件に発展する。
はじめに
このページを読んでいるあなたは、すでに動画を視聴し、いくつか疑問をお持ちだろう。なので編集後記を書く前に、答えを書いておく。
なぜパイロット版なのか?
クリエイター推奨プログラムを棄却される可能性があるからだ。制作したものに「アウト」と言われるのは、かなりしょげる。だからパイロット版で運営の反応を見たい。
もちろん、視聴者の反応も気になる。コレ、おもしろいですか?
【ゆっくり文庫】の基本方針として、やはりパブリック・ドメインでない作品は手がけたくない。すでにクリスティーやアシモフを例外的に投稿しているが、だからといって解禁されたわけじゃない。
お金を稼ぐことができれば、権利者に許諾をとったり、収益を分配することもできる。払うものは払って、気持ちよく動画制作したいが、いかんせん、その道筋が見えない。
本編を作る気はあるのか?
クレームがつくかもしれない作品に、労力を費やすことはできない。同じリスクを負うなら、「ミス・マープル」を優先したい。だからパイロット版のみで終わるつもりで制作した。
しかし作ってみると、完成させたくなった。必要な素材はあらかた作ったし、私なりのオリジナル展開も考えた。このまま寝かせてしまうのは惜しい。
どうしたものか。
どう応援すればいい?
再生数、マイリス数、フォロワー数、広告を求めているわけじゃない。なにをやっても、運営から「アウト」と言われたら終了。これは1-2ヶ月しないと確定しない。
まぁ、いつものように感想ツイートを楽しみにしています。
原作について

横溝正史
(1902-1981)
金田一耕助は、日本を代表する名探偵のひとり。明智小五郎、神津恭介と並んで「日本の三大名探偵」と称される。あいにく私は神津恭介を読んでないから、明智と金田一が双璧だ。
しかし金田一耕助にまつわる印象は、「殺人を食い止められない探偵」であろう。ある雑誌の調査によると、金田一耕助の殺人防御率(探偵が事件に関与してから解決するまでに起きた殺人件数の平均値)が、世界の著名な名探偵のなかで、もっとも低かったそうだ。もちろん調査対象が連続殺人を扱った長編ばかりだから、成績が悪くなるのは仕方ない。
しかし金田一の場合、真相解明を優先するあまり、被害を食い止めたり、犯人逮捕をおざなりにしているフシがある。また犯人の自殺を見逃すケースも少なくない。等々力警部はこれを「金田一耕助流のヒューマニズム」と述べているが、要するに「金田一耕助に一般的な正義感を期待するな」という意味だ。
※「謎は必ず解くけれど、解けたときには、関係者はみんな死んでしまっている。それでついたあだ名が、絶望探偵」俗・絶望先生#11a「黒い十二人の絶望少女」より
ヒーローじゃない
初期の明智小五郎はボサボサ髪で、ひょうひょうとした風体だったが、やがてダンディに変貌する。横溝正史はエッセイで、「明智が変わってしまったから金田一をやる気になった」と述べている。その気持ち、わかるなぁ。
ちなみに横溝は、江戸川乱歩に才能を見出されて小説家になった。師匠のあとを追わず、師匠が追ったものを追ったことで、金田一耕助は明智小五郎と双璧をなすキャラクターになったと思うと感慨深い。
ゆえに金田一耕助は、スマートであってはならない。イケメンにあらず。特殊な知識や技能もない。運動能力は低く、体格は貧相。洋装が似合わず、フケ症で、どもりがち。生活力は皆無。親しい人への気配りもダメ。事件がないときは死体同然。初対面の相手にはほぼ例外なく侮られるが、それゆえ、いろんなことを聞き出してしまう。また女性に好かれるタイプだが、彼自身の恋は実らない。
味わいあるキャラクターだ。
先行作品による肉付け
上演 | 区分 | タイトル | 金田一耕助役 |
---|---|---|---|
1950 | 原作 | 犬神家の一族 | - |
1954 | 映画 | 犬神家の謎 悪魔は踊る | 片岡千恵蔵 |
1970 | ドラマ | 蒼いけものたち | なし |
1976 | 映画 | 犬神家の一族 | 石坂浩二 |
1977 | ドラマ | 横溝正史シリーズI・犬神家の一族 | 古谷一行 |
1990 | ドラマ | 横溝正史傑作サスペンス・犬神家の一族 | 中井貴一 |
1994 | ドラマ | 横溝正史シリーズ5・犬神家の一族 | 片岡鶴太郎 |
2004 | ドラマ | 金田一耕助シリーズ・犬神家の一族 | 稲垣吾郎 |
2006 | 映画 | 犬神家の一族 | 石坂浩二 |
2009 | ゲーム | 犬神家の一族 (DS) | - |
「金田一耕助」シリーズは繰り返し映像化されており、そのたび翻案されてきた。原作にない描写、設定、シーンがおもしろく、定着した例も多い。なので私は、「シャーロック・ホームズ」シリーズと同じく、原作に忠実であることより、どのようにアレンジされるかを楽しみにしている。
こういうシリーズが日本にあることを、うれしく思う。
私にとっては、やはり石坂浩二のイメージが強い。現地に知り合いがおらず、ふらっと去ってしまうマレビトであることがたまらない。豊川悦司の異質さ、上川隆也の魔性も好き。稲垣吾郎の脚本はよかったが、演出が噛み合っていなかった。このあたりは話すと長くなるので割愛する。
【ゆっくり文庫】で取り上げた経緯
ホームズ、マープル、ポワロ、ヘンリーを紹介したことで、金田一耕助をリクエストする声があった。そのとき、ぱっと思いついたのはきめぇ丸だった。みんなに馬鹿にされるが、愛されている。これ以上の配役はない。
金田一(きめぇ丸)と、等々力警部(魔理沙)の掛け合いをイメージすると、楽しくなった。するとそのイメージを具現化して、みんなの反応を見たくなる。私の妄想は、果たして多くの人と共有できるだろうか?
※ゆっくり金田一耕助
どの作品を取り上げようか。短編でないと作れないが、長編でないと魅力を引き出せない。パブリック・ドメインでないことも相まって、まじめに作ることはあきらめ、作品の魅力をざっくり紹介する「パイロット版」を思いつく。好評なら予算をつけてもらえるだろう。
パイロット版なら、長編でもかまわない。トリックの完成度、ドラマの魅力より、知名度がもっとも高い「犬神家の一族」をやってみよう。
コメンタリー
例によって物語の進行に合わせ、各パートの翻案や演出意図を解説する。
以下は原作小説を読んだか、映画を見て、ストーリーを知っている前提で書かれています。
金田一、登場
小説は佐兵衛の生い立ちから、映画は佐兵衛の臨終からスタートする。私は、あっちこっちに視点が飛ぶ構成は好きじゃないため、金田一の登場からはじめる。視聴者は金田一と同じく部外者であり、犬神家のことはなんにも知らない。
※金田一のフケ症も押さえておく。
若林の毒殺、逮捕、釈放、依頼
沈みゆくボートから珠世を救うシーンは不可欠だが、テンポを優先して割愛した。正式版ではちゃんと作る。
毒殺された若林を見て、金田一は宿代の心配をする。これは私の翻案で、金田一のズレを演出したかった。小説では自分の依頼人が殺されたことに激しく怒っている(自分との面会を阻止された、と思い込む)。
留置場で等々力警部、古舘弁護士が登場。この3人を物語の主軸に据える。原作小説で事件を担当するのは橘署長であるが、署長が現場をうろつくのも変なので警部とした。等々力大志は、原作における金田一耕助の大親友。今回は、その出会いと解釈してほしい。
といっても市川崑&石坂浩二の金田一は、映画ごとに人間関係がリセットされる。加藤武が演じる警察関係者は、名前、容姿、性格が同じでも、すべて金田一と初対面なのだ。
等々力と古館は、出会ったばかりの金田一をなんとなく侮ってしまう。等々力は露骨だが、古舘もふとしたはずみに本音がこぼれる。金田一のペースである。
※この構図が楽しい
犬神家の一族を紹介する
遺言が公開される前に、登場人物を紹介する。竹子の夫(寅之助)、梅子の夫(幸吉)、佐武の妹(小夜子)、犬神奉公会の人は省略。ちなみに小夜子にとって静馬は叔父(三親等)だから結婚できない。珠世と佐清は従兄弟(四親等)で結婚できる。だから小夜子は遺言状でまったく言及されない。
※家系図を少しずつ説明する
映像化された珠世は、その時代ごとの美女が演じるわけだが、つねに善良そうに見えるため、「ひょっとしたら?」と疑う余地が乏しい。佐清が身を捨てて守る相手は、母親だけでなく珠世もありえるのだから、最後まで容疑者であるべきだ。
なので、ちょっと妖しい目つきにした。珠世の本心が見えないところが、本作の魅力になるだろう。
ついでに青沼親子も説明しておく。謎の失踪を遂げたわけだが、どう考えても犬神家の一族に消されている。古館がそれを明言しないあたり、犬神家の支配力の強さが伺える。
小説では、犬神家が那須市の実質的な支配者と称されるが、そう実感できる映像作品はない。
強大な権力をもつがゆえの慢心。過去の暴挙を咎められなかったことが、松子夫人を油断させている。
遺言公開
小説だと、遺言の条件設定は細かい。「3ヶ月以内に結婚を決める」「3ヶ月以内に静馬の消息をつかむ」「珠世が遺言公開前に死んでいた場合」といった条項は、ほとんどの映像作品で割愛されており、私も倣った。
小説は金田一のモノローグによって解説されていくが、映像作品だとテンポが悪くなる。よって解説は後回しにして、あっさり流した。
佐清(静馬)は、自分の名が出たことに戸惑う。松子夫人の気性を知らないため、怒鳴ったことに驚く。
また竹子(レミリア)と佐武(フラン)、梅子(らん)と佐智(ちぇん)の表情や動きをそろえ、親子関係を強調しておいた。
※珠世は遺言を知っていたのか?
よく見ると、珠代の態度がおかしい。まるで遺言の内容をすでに知っていたような落ち着きぶり。彼女は佐清を目で追っており、次のことを考えている。
推理を話す金田一
ホテルに戻って、金田一が「予想される事態」を説明する。ここで整理しておかないと、物語に没入できない。
視聴者は金田一と同じく部外者だから、殺人事件が起こることを疑わない。しかし古館と等々力は那須の人間であり、犬神家の影響下にあるから、「度が過ぎる嫌がらせ」くらいに認識しており、緊張感がない。
このギャップは、のちのち重大な意味をもつ。
※金田一は手札を明かさない探偵だが、それじゃ【ゆっくり文庫】らしくない
単調になるのを防ぐため、古舘と等々力は味噌煎餅とおやきを食べる。信州名物なんだけど、わかっただろうか? 原作の金田一も少食で、等々力警部ばかり食べている。
オリジナル要素として、はると警部を親子にした。
金田一は、自分が好きになった女性以外にモテる。はるは「東京の探偵」にあこがれ、つきまとう。その後ろから鉈をもった警部が追いかけてくる。
※短時間で親しまれる金田一
斧琴菊の見立て殺人
パイロット版は、佐武が殺されるところで終了するつもりだった。しかし3人の孫が殺されることは、映画の予告編でも明かされる。なので3つの見立て殺人と、犯人が逮捕されるところまで描いた。
佐清の死亡シーン(湖から突き出た足)は有名だが、あれは1976年版映画の翻案である。ゆっくりキャラに足はないため、原作に準拠させた。
殺人のあいだに、さまざまなイベントが起こっている。話が飛ぶから面食らうかもしれないが、まぁ、パイロット版だからやむなし。
※「よし、わかった!」は外せない
金田一耕助シリーズをやるなら、「よし、わかった!」は外せない。 粉薬でゲホゲホする演技も素晴らしい。これらは加藤武のアドリブなんだけど、めちゃくちゃ浸透している。
「そうか」と閃き、「よし」と手の甲で手のひらを打って、「わかった」と右手を差し出す。一連の動きはゆっくりキャラじゃ表現できない。いや、加藤武にしか出せない味わいだが、表面的にマネさせてもらった。正式版では、得意気に推理を話すシーンが追加されるだろう。
映画では、3回の「よし、わかった」があるが、3回目はネタバレになってしまうため、伏せた。
復員服の男を逮捕する
1976年版の映画だと、復員服の男(佐清)は珠世のもとを訪ね、別れを告げ、去っていく。これを猿蔵が尾行して、犬神家旧邸で対決。なぜか警察が突入して、佐清は逮捕される。
【ゆっくり文庫】では、下記のように展開する。
金田一は、佐清が珠世を部屋にやってくると予測して、猿蔵といっしょに隠れていた。案の定、佐清がやってきて、珠世に別れを告げ、去っていく。尾行する2人。そこに、金田一を追ってきたはるが合流する。
佐清は犬神家の旧邸に入っていった。ここで取り逃すわけにはいかないと、金田一ははるを警察にやって、応援を喚んでもらう。
ところが猿蔵は単独で突入。佐清と殴り合いをはじめてしまった。
※知らないところで娘が冒険してる
佐清と静馬
《目星》に成功した人は、佐清と静馬のちがいに気づいただろう。しかし2人を見分けることができても、事件の全貌を把握するのは困難だ。
※逮捕されたのはだれか?
※左兵衛の孫(佐清)と息子(静馬)
構成
【ゆっくり文庫】版「犬神家の一族」は、おそらく全4話になるだろう。以下、映画に準拠した区分を書いておくが、このとおり展開するわけじゃない。
第一話「佐兵衛翁の遺言」
- 金田一が那須に到着。沈みかけるボートから珠世を救出。若林が毒殺され、金田一が逮捕される。古館から依頼される。
- 佐清が復員。佐清=ゴムマスク
- 遺言公開。金田一は珠世を疑う。
- 珠世が佐清に時計を触らせ、指紋をとる。松子夫人が手形の照合を拒否。同時刻、復員服の男が柏屋に到着。ゴムマスク≠復員服の男。
第二話「ふたつの仮面」
- 佐武殺害。珠世のブローチ発見され、佐武に襲われたと証言するが、時計は見つからず、等々力警部は珠世と猿蔵を疑う。
- 佐清が手形合わせに応じる。ゴムマスク=佐清
- 死体を処理したボートが発見され、近隣の柏屋に滞在した《復員服の男》が捜査線上に浮かぶ。
- 夜。小夜子が珠世をなじる。復員服の男が屋敷に潜入し、佐清を殴って去った。ゴムマスク≠復員服の男
- 翌朝、佐武の死体が浮かび上がり、2つの凶器が使われたと判明する。
- 珠世が佐智に眠らされ、レイプされそうになるが、復員服の男に助け出される。若林の死因が判明する。佐智が帰らない。
第三話「呪い住みし館」
- 佐智の死体が発見される。「菊」「琴」が連続したことで、三姉妹が青沼親子を放逐した過去を告白する。復員服の男=青沼静馬として指名手配。
- 金田一は大山神官から、大弐と佐兵衛が男色関係にあったこと、佐兵衛と晴世夫人が愛し合っていたこと、珠世がじつの孫であったことを聞き出す。
- 珠世が佐清を拒絶。静馬が松子夫人に正体を明かす。暗転。
第四話「湖影」
- 佐清殺害。指紋と手形が一致しない。逆立ち死体=静馬
- 復員服の男(佐清)が珠世に別れを告げる。尾行した猿蔵が佐清を取り押さえる。珠世が金田一に告白文を渡す。
- 金田一が佐清、松子夫人を詰問。一族に謎解きする。松子夫人が自殺。解決。
- 金田一、那須を去る。
翻案:珠世は知っていたか?
2006年に「犬神家の一族」がリメイクされたとき、下記のようなCMが放送された。あたかも珠世が犯人のように描かれているが、カットを入れ替えただけで、このようなシーンもニュアンスもない。大胆なアレンジがあると期待して劇場に足を運んだ人は、ひどく落胆し、CMを信用しなくなるだろう。じつに罪深い。
※「犬神家の一族」インチキCM
しかし着眼点はおもしろい。
原作では、珠世のボートに穴を開けたのは松子夫人となっているが、松子夫人は佐清を迎えるため2週間前から博多に出向いていた。穴の空いたボートが2週間も沈まなかったのは不自然だ。
松子夫人が遺言状を読んだとしても、動じることはない。珠世は佐清を慕っているのだから、放っておけば全財産が佐清のものになる。むしろ遺言公開前に珠世を殺すと、佐清1/5、静馬の2/5が確定してしまう。
おそらく松子夫人は、博多で変わり果てた佐清(じつは静馬)を見たことで、不安になったのだろう。珠世が心変わりして、佐武か佐智を選んだら、佐清の将来は真っ暗だ。しかしだとしても、珠世を殺す理由としては弱い。佐清も珠世を愛しているのだから。
当初の予想どおり、珠世の自作自演だったら?
その場合、珠世は遺言状の中身を知っていたことになる。どうやって知ったか? もちろん若林が持ってきたのだ。あるいは佐兵衛翁が話したかもしれない。
珠世は遺言状をどのように解釈し、どう行動したか?
※オリジナルの結末になるだろう
翻案:遺言の真意とは?
2009年、ニンテンドーDSソフト「犬神家の一族」が発売された。私はプレイしていないが、予告編を見て、その中に気になるセリフがあった。
「斧琴菊、三種の家宝に秘められた謎とは?」
斧琴菊は守り言葉で、秘められた謎なんてない。おそらく見立て殺人の真意(復讐)のことと思うが、もし佐兵衛翁が「斧琴菊」に意味を持たせていたら?
犬神佐兵衛の遺言は、珠世にはじまり、静馬に終わる。珠世が大事なら、無条件で相続させればいいのに、なぜ結婚を強要したのか? そのあたりを考察して気づいたことがあったので、これもオリジナル翻案に加えたい。
愛のバラード
大野雄二による主題曲「愛のバラード」は、もっとも好きなサントラの1つ。歌詞をつけたヴォーカルバージョンもあって、これはこれで好き。「涙さえ燃えている」は、歌詞の一節。この歌をテーマにするほど、珠世を描写してみたい。
ついでにもう1つ。
雑記
告白しよう。
「犬神家の一族」を最後まで仕上げてから投稿すると、モチベーションを失う恐れがあった。長編作品だから、どえらい手間がかかるし、投稿後に著作権違反と指摘される恐れがある。そもそも、コレはおもしろいのか? 悩みながら制作するのはつらい。
パイロット版は、私の精神衛生のため不可避の決断だった。
さて視聴者のみなさんは、私が「犬神家の一族」を最後まで作るかどうかが気がかりだろう。しかし私の興味は、ほかの中断している作品をパイロット版として公開するかどうかに向いている。発表しちゃえば、きっと楽になれるんだろうなぁ。
ニコニコ動画には、ダイジェスト版のような作品は多い。むしろ【ゆっくり文庫】のように、翻案して最後まで仕上げる作品はまれだ。もしダイジェスト版がアリなら、もっと多くの作品を紹介できる。続きが気になるなら、図書館へ行けばいい。
しかし翻案して最後まで仕上げることが【ゆっくり文庫】の魅力なら、ダイジェスト版は好ましくない。私のオリジナル翻案は、図書館で確かめられない。
はてさて、どうしたものか。
まぁ、パイロット版であることはともかく、【ゆっくり文庫】が妄想する金田一耕助はいかがだっただろうか? その冒険、推理、ドラマを見てみたいと思ってくれるだろうか? ホームズ、マープル、ポワロ、ヘンリーなど、外国の探偵ばかり紹介したが、日本にも名探偵がいる。
【ゆっくり文庫】の金田一耕助。
気に入っていただけたら、さいわいである。