創作  2008年10月03日(金)に書いた 夢日記

第23夜:タバコを吸う夢

第23夜:タバコを吸う夢

「あたしにも一本、ちょうだい」

 私は胸ポケットからタバコを取り出して、差し向けた。細い指がタバコを挟み、火を点ける。ふぅーと紫煙がたなびく。
(美人なのに、タバコを吸うなんて残念だな)

 ふと、自分もタバコを吸っていることに気がついた。
 いつ、どこで火を点けたのか、まったく覚えていない。そうか、私がタバコを吸っていたから、彼女は声をかけてきたのか。

「どしたん?」
 彼女はタバコを吸いながら、くちゃくちゃガムを噛んでいる。その味を想像すると、口の中が気持ち悪くなる。
 なんでもないよと答え、震える指でタバコをもみ消す。久しぶりのニコチンで身体が痺れている。あるいは禁煙を破ったことで動揺しているのか...。
 私はコーヒーを求めて、学生食堂に向かった。

 また、タバコを吸う夢を見た。
 禁煙して4年、1,653日も経つのに、まだ夢を見る。もう何回、タバコを吸う夢を見ただろう? 例によってタバコに火を点けるシーンはない。気がつくと吸っているんだから、回避しようがない。

 べつに実害はない。
 タバコを吸う夢を見たからと言って、日中、タバコが欲しくなったり、うっかり火を点けてしまうことはない。以前は、そんな夢を見る自分に後ろめたさもあったが、もう慣れてしまった。

 しかし気にならないと言えば、うそになる。
 身体の欲求は消えたが、精神は無意識に求めているのか。あるいはタバコを吸う習慣が脳に残っているのか。タバコを吸っていた事実が消せないように、この夢も一生、つづくんだろうか?

 余談だが、もし私が人を殺したら、その夢を何回も見るだろう。想像するだけで憂鬱になる。タバコを吸う夢なんて、かわいいもんだ。
 なので殺人は、できるかぎりしないようにしたい。

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