創作  2011年09月30日(金)に書いた 妄想リメイク

[妄想] 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-

[妄想] 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-

イオリア計画、その真の目的とは──

まえがき

『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』は、2010年公開のアニメーション映画。『機動戦士ガンダム00 セカンドシーズン』の後日談であり、『00』シリーズの完結編。
『00』の設定は魅力的だが、脚本は乱暴で、かなり消化不良だった。劇場版では、そうした問題が解消されるかと期待したが、これまた乱暴な脚本でがっかりした。
そこで『00』シリーズを総括する作品として、私が期待したストーリーをまとめてみることにした。

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

序章 / 2081年 木星

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

木星を周回するプラントで、若き日のイオリアは太陽炉の実験に成功する。実験機は全長数十キロにおよぶ巨大な施設だが、200年の自動運転によって小型化できる算段がついた。イオリアは科学の進歩を喜んだが、同僚のレイは太陽炉の軍事利用を懸念していた。レイは太陽炉の近くにずっといたせいか、神経過敏になっていた。

そのとき、木星の重力場に異常が発生。量子テレポートで宇宙起源生物(ELS)が顕在化した。太陽炉が人間の脳量子波を増幅し、ELSを引き寄せたのである。外宇宙からの来訪者に恐怖するクルーたち。しかし武装はない。
(ELSに地球の存在を知られてはならない!)
イオリアは太陽炉をつぶして、ELSごと自爆しようと考えるが、思考を読み取ったレイに制止される。
「駄目だ。彼らは敵じゃない!」
よろけるレイを抱え上げると、その光彩が輝いていた。

軌跡 / 2307年-2314年

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

西暦2307年。人類はいまだ1つになりきれずにいた──
太陽光発電システムを所有する3つの巨大国家が、互いの威信と繁栄のため、果てしないゼロサム・ゲームをつづけていた。
そんな世界に、「武力による戦争の根絶」を掲げる私設武装組織・ソレスタルビーイングが介入する。彼らの武器は3つ。200年前に他界した天才科学者イオリア・シュヘンベルグが遺した「イオリア計画」、量子コンピュータ「ヴェーダ」、そして太陽炉を搭載した機動兵器「ガンダム」である。
ガンダムの武力介入によって、世界の勢力図は大きく変化した。だが、監視者アレハンドロ・コーナーの背信によって、太陽炉のノウハウが流出。さらにヴェーダを掌握されたことで計画は狂いはじめる。

西暦2312年。世界の歪みは消えていなかった──
各国家群は地球連邦として統一を果たす。しかしその裏では、独立治安維持部隊「アロウズ」による非人道的な弾圧や虐殺が行われていた。活動を再開したソレスタルビーイングは、イノベイドによる人類統治を画策するリボンズの存在を察知する。
激しい戦いのさなか、刹那は真のイノベイターとして覚醒。リボンズを打ち破る。アロウズは解体され、世界は再編成された連邦軍の下、ようやく真の平和へ向けて歩み始めたのだった。

そして西暦2314年──
「来るべき対話」まで残された時間は、あまりに短かった。

1. 発端 / エウロパの帰還

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

連邦軍は地球に接近する船影を確認する。それは130年前に廃船となった木星探査船「エウロパ」だった。エウロパに生体反応が無かったが、地球への突入を避けるため破壊することが決まった。しかしエウロパは蒸発せず、受けた攻撃をそのまま返してきた。連邦軍が応戦したことで戦闘となるが、エウロパはダメージを受けていないようだった。

艦長は、イノベイターであるデカルト・シャーマン大尉に出撃を命令する。連邦軍はイノベイターをパイロット特性として認識していた。艦長はデカルト少尉を嫌っているのか、その接し方は高圧的だった。
「こいつは機械じゃない!」
エウロパに再接近したデカルト少尉は、それが巨大な鉱物生命体であることに気づく。

そのとき艦橋が照明が落ちて、見たこともないアラートメッセージがパネルを埋め尽くした。「ELS」と書かれている。
「なんだ? なにが起こったんだ!」
「わ、わかりません。メインフレーム基底部に隠されていた強制コマンドです」
「全攻撃オプションが沈黙。操作を受け付けません!」
全パネルにビデオが再生された。

《私はイオリア・シュヘンベルグ。
 このメッセージは、ELSと接触したときに再生されるようにプログラムされています。
 どうか落ち着いてください。いま、あなた方が遭遇したのは敵ではありません。
 外宇宙からの来訪者──ELSです》

「イオリア? ガンダムを作った男か!」
艦長の脳裏に2年前の戦争の記憶がよみがえる。彼にとってガンダムは恐怖の対象だった。

《2081年、私たちは木星軌道上でELSと接触しました。
 彼らは敵ではありません。
 外部からの干渉を反復することで、コミュニケーションを取ろうとしているのです。
 ですから攻撃すれば、攻撃を返されます。応戦すれば、どちらかが滅びるまで戦うことになるでしょう。
 どうか落ち着いてください。ELSへの攻撃は自殺行為です。
 覚醒したイノベイターは、ELSと対話できます
 未来の人類が、愚かな選択をしないことを祈っています》

ビデオメッセージがリピート再生する。
当惑するクルーたちは、艦長が冷静さを欠いていることに気づかなかった。

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

「攻撃? 本気ですか?」コックピットでデカルト少尉が驚く。
「おまえのMSはメインフレームから切り離されている。イノベイターなら攻撃できる。
 やるんだ。一撃で消滅させれば問題ない。
 やらねば命令無視でおまえを撃つ!」
艦長の剣幕は異常だった。
「......了解」

デカルト少尉は粒子砲でエウロパの中心部を撃ち抜き、消滅させた。ELS消滅によって、戦艦のシステムが回復する。
「役に立つじゃないか、イノベイター。帰投せよ」
エウロパの破片は燃え尽きず、地球各地に落着した。

2. 恐慌 / 未成熟な人類

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

地球連邦はELSの分析をはじめた。その性質は、イオリアの遭遇記録と合致した。
233年前の遭遇では、E.A.レイという研究員がELSと脳量子波による交信に成功、武力衝突は避けられた。しかしレイは負荷に耐えきれず死亡している。地球帰還後、イオリアはELSとの「来るべき対話」に備えるよう訴えるが、政府は無視した。そこでイオリアは私財をつぎ込んで「イオリア計画」をスタートさせた。

「しかし本当に、イノベイターはELSと対話できるのか?」
「対話できなかったら、ELSとの戦闘は避けられない。人類の未来を、一兵卒に任せていいはずがない」
地球連邦の高官は確信を持てなかった。そこで武力行使の可能性を除外せず、様子を見ることになった。初戦の勝利が、政府の判断を惑わしていた。
「アロウズのような情報操作はしたくないが、まだ発表できる段階じゃない」
地球連邦は、ELSとの遭遇を秘匿した。

時を同じくして、地球各地で怪事件が頻発していた。無人の乗り物が暴走したり、たくさんの人が頭痛を訴えたり、人間が金属に侵食されたり......。それらの現場でリボンズの姿が確認された。
ELSがレイの姿を擬態して物理的接触を試みているのだが、ふつうの人には襲撃にしか見えなかった。

やがて情報が不完全なかたちで漏れてしまう。
「外宇宙からの侵略者!」
「初戦は辛勝?」
「ELSの侵略はすでにはじまっている!」
「すでに多数の犠牲者が」
市民の不安は高まり、軍備増強が求められた。

3. 再結集 / ソレスタルビーイング

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

新たな戦いを予期したソレスタルビーイングメンバーが宇宙で合流する。
「ようやく人類同士の戦いを放棄できたのに」スメラギが眉をひそめる。
「時間が足りなかったんだ。イオリアの予測では、ELSの再訪は数世紀先だった」とティエリア。
「来るべき対話。そのための人類の意思統一。そのための戦争根絶......」とロックオン。
「これが、イオリア計画の本当の目的だったんだね」とアレルヤ。

刹那は無言だった。
ロ「刹那。なにか聞こえるか?」
刹「わからない。彼らの声は小さい。しかし、たしかにいる」
ア「いる?」
ス「撃退できたんじゃないの?」
刹「彼らは消えてないし、去ってもいない」
ス「また接触したら......」
ア「戦闘になる可能性は高い。いや、戦うなという方が無理か」
ロ「だろうな。おれだってソレスタルビーイングに属してなけりゃ、敵を守れ! 故郷を守れ! って盛り上がっていただろうな。なんせ敵は人間じゃないんだ。引き金を引くのを、ためらったりしないぜ」
見えない銃を構えるロックオン。その先で、刹那がじーっと見据えていた。
ロ「おいおい。冗談だよ」
刹「わかってる」
また窓の外を見つめる刹那。「対話がほしいぜ」と肩をすくめるロックオン。気まずい空気が流れる。沈黙を破ったのはティエリアだった。
イノベイターに進化しても、人間は人間だ。聖人や超人になるわけじゃない。
 だからイオリア計画がある。
 その肉体を守るガンダム、その精神を支えるヴェーダ、対話の窓を開くクアンタムシステム......」
「それだ。00クアンタはロールアウトできたのか?」
「すまないが、調整に手間取っている」と総合整備士のイアン。
「00クアンタって?」巡礼の旅に出ていたアレルヤに、イアンが得意げに説明する。
「純粋種として覚醒した刹那のために設計された機体だ。ダブルオーライザーのトランザムバーストをはるかに上回る高濃度粒子領域を展開するクアンタムシステムが搭載される。人々との対話を求める刹那の願いが込められているんだ」
「でも、今はない。
 2年前の戦いで太陽炉が1つ失われたから、ダブルオーライザーのトランザムバーストはかぎられた空間、かぎられた時間しか使えないの」スメラギが現実を直視する。
「いま出撃するのはつらいね」とアレルヤ。
「準備不足でも戦力不足でも、ぼくらの使命は変わらない。
 ソレスタルビーイングは、あらゆる戦争行為に武力介入する!
ティエリアはあるべき道だけ見ていた。そのとき警報が鳴り響いた。

4. 敗退 / トランザムバースト

地球圏にふたたびエウロパが出現した。政府には慎重論もあったが、60億の生命を賭けた博打はできない。伝令によってニュアンスが変化し、デカルト少尉には「斥候任務」として伝えられた。
「いいか、イノベイター。ELSに脳量子波で干渉して、反応をうかがうんだ」
「了解」と言いつつ、
「わかってんのかよ。劣等種が!」と吐き捨てる。

デカルト少尉がイノベイターに覚醒したのは2年前。長らくモルモットとして扱われてきたため、性格がひねくれてしまった。
デカルト少尉は、ELSから精神干渉を「攻撃」と見なして発砲。戦端を開いてしまう。ELSの戦闘力は想像以上で、味方の艦隊が襲撃され、侵食されてしまう。デカルト少尉はふだんの鬱憤を晴らすように、味方の艦も攻撃する。
「やむを得ない」
ELSも、デカルト少尉のマネをしてほかの艦艇を攻撃する。
((ヤムヲエナイ、ヤムヲエナイ、ヤムヲエナイ))
ELSの精神干渉はますますひどくなり、やがてデカルト少尉は失神してしまった。

「戦闘行為をやめろ!」
ソレスタルビーイングが戦場に到着する。連邦軍は援軍が来たと喜ぶが、いきなり攻撃されて驚く。
「なぜ攻撃する? おまえらは宇宙人の手先か?
「ソレスタルビーイング! おまえたちの理念に共感したこともあったが、これは根絶すべき戦争じゃない。人類の生存がかかっているんだ!」
「かまわん。ガンダムも排除せよ!」

ELSは勢力を区別できないため、ガンダムにも襲いかかる。ガンダム各機は攻撃せず、ひたすら逃げまわる。。
「ちぃ、撃つより撃たない方が難しいぜ」とロックオン。
アレルヤとマリーは脳量子波が強いため、より多くのELSが集まってくる。
「私たちの犠牲で、なんとかなる状況じゃないわね!」
「捕まっちゃ駄目だ。もっと多く引き寄せるんだ!」

意識を取り戻したデカルト少尉は、ガンダム攻撃を命令される。デカルト少尉は怒りの矛先を刹那に向けた。
「イノベイター同士、優劣を付けようじゃないかぁ!」
刹那はデカルト少尉を無視して、エウロパに突っ込む。そしてトランザムバースト。GN粒子が少ないため、デカルト少尉だけ取り込まれた。
「これは? あのときの光?」
まばゆい光の世界で、刹那が呼びかける。

((ELS、おまえたちの声を聞かせろ。
 おれはここにいる。ここにいるぞ!))

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

意識が共有され、デカルト少尉は刹那の壮絶な半生を垣間見た。テロリストとして育てられたこと、神(ガンダム)との遭遇、ソレスタルビーイングへの参加、武力介入、希望、現実、裏切り、別れ。
((おまえ、こんな哀しみを、こんな怒りを、こんな優しさを抱えて、生きてきたのか......?))

光の奧で、刹那の呼びかけにELSが応えた。しかしELSの脳量子波はあまりに強かった。

「いけない。このままでは刹那の脳が焼き切れてしまう!」
遠隔でモニターしていたティエリアが救援に向かうが、遠すぎる。間に合わないと思ったが、デカルト少尉がダメージを引き受けてくれた。戸惑う刹那に、デカルト少尉が語りかける。

((くそっ、せっかくわかりあえたのに、もう終わりかよ。
  だが後悔はないぜ。刹那、あとはたのむ。
  対話は可能だ!))

ダブルオーは撃沈された。ティエリアが刹那を回収するが、追い詰められて反撃する。
「ここで刹那を死なせるわけにはいかない。
 対話の窓を開くまで、戦って生き残るしかない」とティエリア。
「戦いたくないが、死にたくもねぇ!」とロックオンが反撃。
「なんて矛盾した世の中なんだ」とアレルヤ、目つきが変わって、
「だが戦って道を切り開くのは、嫌いじゃねぇ!」とハレルヤ。

攻撃によって、突破口が開けた。トランザムで帰投。連邦軍も撤退した。
だがELSは進化している。今回は足止めできたが、次は食い止められないだろう。どうすればいい?

5. 決戦前夜 / 止められない衝動

木星の大赤斑からELSの大群が出現した。その総数は、連邦軍艦艇の1万倍。彼らはまっすぐ地球を目指しており、各地の天文台からも観測された。
情報を小出しにした政府は信用を失っていた。イオリアのビデオメッセージも公開されたが、ソレスタルビーイングの反乱と、イノベイター(デカルト少尉)の戦死によって吹き飛んでしまった。代わって発言力を増したのは軍部だった。人々も軍部を支持した。もはや総力戦に異を唱える者はいない。徴兵局は行列ができ、非協力的な人間は敗北主義者として排斥された。

「落ち着け! どんなときも戦争は駄目だ!」と沙慈は訴えるが、
「馬鹿いうな! イノベイターもやられちまったじゃねぇか! 対話できるのは人間だけだ。あいつらはちがう!」と殴られてしまう。
口元の血をぬぐいながら、天空を見上げる。
「刹那。戦うしかないのか?」

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

宇宙では総力戦の準備が進められていた。しかしカティ准将の表情は暗かった。
(世界が主戦論に傾いている。傾きすぎている。
 戦争放棄で無用の長物と化した軍部にとっては、ELSの出現はむしろ歓迎すべきものだった。軍需産業は息を吹き返し、新型兵器が次々にロールアウトしている。兵士たちはみな、死ぬ覚悟を決めた。これほど士気が高まったことはない。
 だが、勝てるのか? 彼我の戦力差はあまりに大きく、作戦でどうこうなるレベルじゃない。
 まったく無駄な戦いだ。それでも戦うべきなのか?
ワイングラスを傾ける。秘蔵の1本を開けてしまったのだ。
(私は軍人。任務を全うするだけか。
 この戦いで私は死ぬだろう。連邦艦隊も全滅するだろう。
 そのあとでELSと講和できるなら、死ぬ価値もあるか......)

ソレスタルビーイングのレポートを読む。
(全軍にソレスタルビーイングへの攻撃を禁じたが、どれほど守られるかわからない。
 私にしても、ソレスタルビーイングが正しいと信じる根拠はない。
 それでも信じたい。
 ソレスタルビーイング、天上人たちを......)
「まぁ、なんとかなるでしょ」
いつの間にかコーラサワーがとなりに座っていた。
「わっ、な、なんだ、どこから? いつから? どうして?」
「いやぁ、寝室で待ってたんですけど、待ちきれなくなっちゃって♪」
屈託のないコーラサワーに、嘆息するカティ。
「おまえは本当にバカだな。しかし」と身を寄せて「おまえになら、震える私を見せてもいい」
「なに言ってんすか。震えてるのはオレっす!」
唇が重なった。

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

ソレスタルビーイングに00クアンタが届けられた。刹那は意識を失ったままだが、メンバーは復活を信じて準備を進める。ティエリアは自分の意識をヴェーダからクアンタに移し替えた。より近くで、一心同体となってサポートためだ。
「作戦目的を確認するわ。
 刹那が対話の窓を開く。そのための道を、武力で切り開く
 それが私たち、ソレスタルビーイングに課せられた最後の使命よ」

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

6. 来るべき対話 / クアンタムバースト

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

戦闘がはじまった。勇敢な兵士が次々に死んでいく。家族のため、地球のため、未来のために。それでもELSの猛攻を止められない。MSや巡洋艦の能力もコピーされ、GN粒子すら無効化されてしまった。
打つ手がない。みんな死ぬ。無意味に死んでいく。カティは泣きそうになっていた。

そのころ、地球では多くの人々が祈りを捧げていた。祈りはイノベイターによって中継、増幅された。その中心にいたのはルイスだった。
地球からの脳量子波を受けて、刹那が覚醒した。
スメラギが作戦開始を宣言した。

戦場にソレスタルビーイングが到着する。
カティ「勝機はあるのか?」
スメラギ「ないわ。でも、希望はある!

刹那の駆る00オークアンタがELSの中枢へ飛び込み、「クアンタムバースト」を発動。GN粒子は戦闘宙域だけでなく、地球をも包み込んだ。GN粒子によってイノベイターが覚醒していく。戦場の人々も意識が共有され、本当は戦いを望んでいないことに気づかされる。

((怖い! 死にたくない!))
((守りたい。戦いたいわけじゃない))
((戦わずに、わかり合えたなら))
((わかり合いたい))

人々の意識が刹那に集まった。

((ELS! おれたちはここだ!))

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

「クアンタム・バーストの出力が安定している。
 刹那に、人類の思いが集まっているんだ。
 いま人類は、ELSという他者と向き合うことで、1つになっている」

クアンタのコックピットでティエリアが驚き、喜ぶ。

人類は、ELSが助けを求めていたことを理解した。
ELSも、人類が"群"ではなく"個"を基準に成立していることを理解した。

((おれたちはこんなにもちがう。
 だけど、こんなにも、こんなにも、わかりあえる!))

刹那はさらなる相互理解のため、ELSの母星を訪れることを決意する。量子テレポートで窓を開くと、地球のイノベイターたちが刹那を呼び止めた。

((待って、まだ行かないで! 人類にはあなたが必要なの。
  あなたに教えてほしいことがたくさんある!))

刹那が無言で挨拶する。ルイスが代表して、声に出して答えた。

「わかったわ。行ってらっしゃい、刹那!

フェルトも感じるところがあったのか、オペレータ席で落涙した。すべてのELSが1点に集まって、大輪の花に変化した。それは人類とELSの友好の証だった。

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

エピローグ 未来

A wakening of the Trailblazer
(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

あれから50年が経ち、西暦2364年──
人類の4割がイノベイターに進化した。ELSの花は宇宙ステーションとして利用され、外宇宙への探査船が出航しようとしていた。地球は1つになっていた。

そんな中、ELSとの対話を終えた刹那が帰還し、マリナ・イスマイールを訪れた。お互いの歩んできた道が間違っていなかったことを認め合いながら抱擁する2人。彼方ではELSと融合した00クアンタが花々に包まれていた。
「これでぼくの役目も終わる。ロックオン。世界は変わったよ......」
00クアンタの内部で、ティエリアの意識が消滅する。

エピローグ 過去

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(c) 創通・サンライズ・毎日放送 2010

西暦2091年──
絶海の孤島で、イオリアが研究を続けていた。その背中にレイが語りかける。
「ではイオリア。きみは太陽光発電システムの理論は公開するけど、太陽炉やヴェーダは秘匿するんだね。ぼくたちが遭遇したELSのことも」
「いま公開しても信じてもらえない。それにきみが指摘するとおり、太陽炉は戦争に利用されるだけだろう。それではELSが再訪したとき、人類は滅びてしまう。だから私は、来るべき対話に備えた計画を発動する」
「イオリア計画というわけか」
振り返らずに黙々と作業をつづけるイオリア。レイは肩をすくめる。
「変わったな、イオリア。きみは人間嫌いじゃなかったのか?」
「変わった? 私が? ......そうかもしれない。いま私は信じている。以前は信じられなかったことを...」
「なんだい?」
「人類は変わる」
「なるほど」
 一呼吸あけて、
「ぼくも協力させてくれないか。きみの計画に」
「あぁ、きみの遺伝情報を監視者に使わせてくれ」
振り返ると、椅子は無人だった。
レイは、木星の接近遭遇で死亡していた。イオリアはずっと独りだった。

「見届けていてくれ。人類はきっと変わる!」

おわり

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思考回廊 創作
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