第37夜:停電の町にて
2010年 夢日記
『サイレントヒル』の最新版を手に入れた。
嫁が不在だが、ちょっとだけプレイしてみよう。ディスクをセットして、電源を入れる。オープニングムービーはけっこう怖かった。
階段で主人公と戦っているのは、黒いローブをまとった男。映画『スクリーム』に出てくる脅迫者のような白い仮面をかぶっている。裾から触手が伸びているから、人間ではなさそう。こーゆーのと戦うのか。
タイトルが表示されて、GAME START──。
町が停電して、何日が経つだろう?
ふつうの停電ではない。なぜって電話も通じないし、乾電池のラジオも聞こえないし、車のエンジンもかからないのだ。なにか目に見えない力が、町を沈黙させている。
とにかく怖いのはパニックだ。町の住民は小学校に避難した。しかし待てど暮らせど灯りは戻らないし、救援隊も来ない。歩いて助けを呼びに行った人もいるらしいが、どうなったんだ?
この町がおかしいのか、それとも世界全体が?
ふと、いつまでも夜が明けないことに気づく。
時計が止まっているから、正確な時刻はわからないが、もう朝になっていいはず。そういえば、最後に食事をしたのはいつだ? なんで腹が空かない? 住民たちも静かすぎる。なんかヘンだぞ!
イントロが終わって、主人公を操作できるようになった。
真っ暗な教室にいる。懐中電灯で照らしながら探索するが、アイテムは落ちてない。教室を出ようとすると、住民に止められた。
「落ち着いて、じっとしてましょう」
「こういうとき、騒いじゃいけないわ」
同じセリフを繰り返すのはゲームだから?
試しに攻撃してみると、当たった。のけぞる住民を押しのけ、暗い廊下に出る。歩いていくと、向こうから住民3体がやってきた。
「落ち着いて、じっとしてましょう」
「こういうとき、騒いじゃいけないわ」
「落ち着いて、じっとしてましょう」
「こういうとき、騒いじゃいけないわ」
うぅ、やりづらい。攻撃してこないので、攻撃していいものか迷う。
じりじりと教室に押し戻されていく。いやだ。あそこに戻りたくない。やめてぇ。
攻撃すると当たるし、倒れるのだが、死なない。1人を徹底的に攻撃してみるが、気絶もせず、むくっと起き上がって、
「落ち着いて、じっとしてましょう」
と繰り返す。うげぇ、怖いよ、こいつら。
階段で押し合っていると、誰かに手を引っ張られた。
「こっちへ!」
住民をまいて、建物の外に出る。助けてくれたのは、白い仮面をかぶった男だった。
「あなたは?」
「みんな、おかしくなっています。町を脱出しましょう!」
主人公は仮面の男についていく。
おいおい、待ってくれ。そいつはオープニングで触手を伸ばしていたぞ。それ以前に、仮面をかぶっているのはヘンだろ。顔を見せろよ。顔があるなら!
とはいえ、ついていくしかない。見た目は異常だが、まともに会話できるのはこいつだけだ。
試しに仮面の男を攻撃してみるが……当たらない。
「なにをするんです?」
「ふざけないでください」
ひらり、ひらりと避けられる。
あぁ、やな感じ。
死なない住民と、当たらない怪物(?)……。このゲームはストレスが高そうだ。
このへんで終了して、嫁の帰りを待つかな……。
◎
という夢を見た。
もちろん、『サイレントヒル』の最新版など持ってないし、なんの関係もない(と思う)。
しかし……おもしろそうな内容だった。つづきが気になる。嫁の帰りを待たず、もうちょっと進めておけばよかった。