創作 / ショートショート (100) 1,000文字でショートショートを書いてみよう
第40話:愛し方、愛され方
「やっぱり別れよう」 ケイスケさんは突然、切り出した。結婚して半年。これからと言うときに信じられない。 「やっぱり、ユリ姉さんのことが忘れられないのね」 目 ...more
第39話:予定があると安心する
「お客さんは、フランスの哲学者ジャン・ギトンをご存じですか?」 窓の外をぼんやり見ていた私に、運転手が話しかけてきた。本当に話し好きな運ちゃんだな。浮かない声 ...more
第38話:恋する心臓
「恋をしてるのは、あたしの心臓かもしれません」 なぜここで恋の相談を? と思ったけど、サトコの表情がこわばっていたので、話を聞くことにした。胸をぎゅっと押さえ ...more
第37話:ホトケの舌
「どうなさいました? 部長」 ミカに声をかけられ、我に返った。 打ち合わせがてら食事をするため、レストランにやってきた。そこでグラスに入った水を飲んでいたん ...more
第36話:壁の向こう側
その国の端っこに、大きな"壁"があった。 壁の向こう側を見たものはいない。 より正確には、壁の向こう側を見たものは例外なく、こちらに戻ってこないのだ。だか ...more
第33話:裸の女王様
『裸の王様』ってさ、どうしてハダカになっちゃったのかな? いくら王様がバカでも、いきなり透明な服は着ないと思うんだよね。つまり、いくつかの段階を踏んでから、 ...more
第31話:読書する力
「カズユキ、今こそおまえの協力が必要なんだ!」 革命志士であるおれは、カズユキの家で机を叩いた。しかしカズユキは動かず、本を読みつづけている。今日という今日は ...more
第30話:アラン・スミシー
「えぇと、アラン・スミシーをご存じですか?」 私が黙っていると、電話の向こうの担当者はていねいに説明してくれた。 「アラン・スミシーは映画監督の名前です。 い ...more
第29話:ニートの王様
「おまえ、まだ働いてなかったのかッ!」 強い口調で叱咤したのに、アユミはテレビから目を離さず、「んー」とだけ答えた。布団に横たわって、細い足をぶらぶらさせている ...more
第27話:舞踏会の手帖
「で、爺さんはこんな田舎まで、なにしに来たんだい?」 道を尋ねた青年とつい話し込んでしまったが、これもなにかの縁か。 バスが来るまであと1時間。 少し長く ...more
第26話:浮気の代償
夫が浮気している。それは、信じられないことだった。 夫のシンスケは大学の助教授で、私は元・教え子。プロポーズされたときは、正直迷った。年齢差もあったし、シン ...more
第24話:ウサギとカメと
あの2人を見てると、人生について考えてしまう。 タカシとヤスオ──。 2人は同じ年の春にやってきて、同じ仕事に着任した。2人とも若く、背格好も似ていたので ...more
第22話:私のヒーロー
「あの夜、ぼくはきみに姿を見せてしまった」 私は黙って、彼の話を聞いていた。 「あれはクリスマスパーティーの帰りだった。きみは、酔った男にからまれていた。そこ ...more
第21話:ファインダー越しの愛
「ねぇ、聞かせてちょうだい。どうして離婚しちゃったの?」 意を決し、私はユカに訊ねた。ぶすっとしたまま、ユカは紅茶を飲んだ。私は黙って、ユカの言葉を待った。 ...more
第20話:無駄のない仕事
「この世に無駄なものなんてないんだよ」 と課長は言った。だけどぼくはどうしても納得できなかった。 課長とぼくは画期的な新製品を開発した。長年の地道な研究が、 ...more
第19話:閉じこめられた2人
「私はイヤよ! こんなところで死ねない!」 リツコは叫んだ。叫ばずにはいられなかった。その声は地下道に反響して消えた。先を歩いているカズミは無視した。ずっと無 ...more
第16話:わかってない
「兄貴! ちょっと聞いてくれよ」 といって弟のノブヒコが部屋に入ってきた。 (コイツはまったくわかってない……) 兄とはいえ、他人の部屋に入るときはまずノッ ...more
第15話:危険な行為
「あなた! どうしたの?」 家に帰ってきた主人の背広は破れ、顔には青アザができていた。 「いや、ちょっとね……」 心配させまいと、にっこり笑ってくれる。私は ...more