加曽利貝塚 / 5000年前の知恵
2009年 千葉県 公園 博物館 建物:日本家屋「しょいか~ご」の近所に加曽利貝塚があるので、立ち寄ってみた。
私は小学5年から千葉に住んでいたので、「加曽利貝塚」のことは社会科の授業で学んだ。名前と概要は知っているが、実際に訪れたのは今日がはじめて。
あいにく加曽利貝塚博物館は休館中だったが、仕方がない。貝塚や野外施設を見ていこう。
※加曾利貝塚公園:台地の上にある
貝塚とはなにか?
貝塚=古代人が食べた貝殻を捨てた場所=ゴミ捨て場と思われがちだが、そう単純ではない。
縄文前期(今から9,000~5,000年前)に散らばっていた小型貝塚は、なるほど各家庭で食べた貝を捨てた場所だが、縄文後期(4,000~3,000年前)になると大型貝塚が急に発達しはじめる。それはなぜか?
干貝をつくる加工場だった
貝の消費量が急に増えたわけではない。そもそも、その日その日に食べた貝殻を集めても、小さな貝塚にもならない。
現在でも、ホタテやハマグリの水産加工場では大量の貝殻が堆積するように、海の幸に恵まれた「むら」は貝をむいて、保存食料(干貝)に加工していたのだ。
大型貝塚は、「むら(集落)」の共同作業場だったのである。
「むら」と「むら」の結びつき
千葉は、石器をつくるための石材に恵まれていなかった。なのに加曽利貝塚の周辺では、ないはずの石器が出土する。それらは、関東や中部地方から運ばれてきたことがわかっている。
つまり加曽利貝塚の縄文人は、干貝によって山地の石材を得ていたわけだ。
ただ自分たちが食べるだけでなく、交易のために漁や加工が行われていたのは驚きだ。
貝塚の消滅、そして
縄文晩期(3,000~2,500年前)になると、大型貝塚はにわかに消滅する。
塩づくりが発達したことで、貝の塩分を使わずとも保存食料を作れるようになったからだ。こうして人口の大移動がはじまり、弥生時代(2,000年前)へと移っていく。
うーん、すごいね人類。
北貝塚で土の中を見る
というわけで、加曽利貝塚である。
地図を見ると、ドーナツ型の北貝塚と馬蹄形の南貝塚がある。面積は約13ヘクタールで、世界最大規模。全域が国の史跡として保存されている。
北貝塚には2つの野外施設があり、無料で見学できる。ドアを開けると、むわっとカビ臭い。
こうやって貝塚の断面が見学できるのは、日本でも加曽利貝塚だけらしい。
※貝層断面観覧施設(北貝塚):びっしり貝が埋まっている
※竪穴住居群観覧施設(北貝塚):素人の私には、ただの穴に見える
※野外施設を出たところで、影遊び
南貝塚で復元住居を見る
休館中の加曽利貝塚博物館をパスして、南貝塚に出る。
教科書で見た竪穴式住居が復元されていた。雨つゆはしのげるけど、寒さや暑さはどうにもならない。どんな暮らしだったのだろう。
※復元集落
※貝や土器、草木を採取しないでください
※しかし字が読めないモグラは、貝を含んだ土を掘り返している
旧大須賀家住宅
加曽利博物館の裏手に、古民家が建っていた。
もとは幕張町にあった家屋を移築・保存しているようだ。土間は見学できるが、畳にはあがれない。縄文時代からのギャップがありすぎるな。
古民家の周囲には大小さまざまな埴輪が転がっていた。これも、出土品じゃないよね?
※旧大須賀家住宅の囲炉裏
※出土品じゃないのよね?
■加曽利貝塚
[所在地] 千葉市若葉区桜木町163
[連絡先] 043-231-0129
[開館時間] 9:00-16:30
[休館日] 毎週月曜日、祝日、年末年始
[入館料] 大人60円
[URL] https://www.city.chiba.jp/kyoiku/shogaigakushu/shogaigakushu/kasorikaizuka/top.html
加曽利貝塚博物館が休館だったので、縄文土器や犬の埋葬跡などの資料は見られなかったが、おもしろかった。よくわからんが、嫁も興奮している。よきかな。
陸上自衛隊下志津駐屯地 公報史料館は休み
日が暮れる前に、もう1つ立ち寄ってみたい。
加曽利貝塚の近くに陸上自衛隊の駐屯地があって、そこに史料館があるらしいのだ。しかし開館時間や入り口の場所など、詳しい情報はわからない。やむなく現地に行って、警備中の隊員に聞いてみた。すると高射学校の敷地内にあることが判明するが、今日は休みだという。
「ぜひ! 平日にまたお越しください!」
元気な声で言われるが、ぶらりと来られる距離じゃないんだよね。九六式25ミリ高角機銃などを見たかったが、やむなし。
※陸上自衛隊高射学校
■陸上自衛隊下志津駐屯地 公報史料館
[所在地] 千葉県千葉市若葉区若松町902
[連絡先] 043-422-0221
[開館] 平日のみ
※営業距離世界最長を誇る千葉モノレール
日が暮れていく中を、千葉港に向かって走る。
ついでに、千葉ポートタワーを見学していこう。