[妄想] 仮面ライダーオーズ/OOO

2012年 妄想リメイク
[妄想] 仮面ライダーオーズ/OOO

最後まで欲望を突き詰めよう──

まえがき

 仮面ライダーオーズについて、思うところを書き留めておく。
 序盤のメダル争奪戦はよかったけど、中盤以降はがくっと失速した。いつまで経っても物語の中核となる謎が明かされないからだ。最大の謎は、鴻上の目的である。鴻上はなんのためにオーメダルを蒐集していたのか? グリード退治が目的なら、アンクと取引したり、バースをけしかける必要はなかったはず。「オーズの器」とか「真オーズ」とか、それっぽい言葉が踊っていたけど、よくわからないまま終わってしまった。
 映画『将軍と21のコアメダル』では、鴻上は800年前に錬金術師を滅ぼした王の子孫とほのめかされる。つまり鴻上は、先祖の不始末をあがなっていたのだろうか? それにしてはやぶ蛇が多い。
 まぁ、ダメ出ししてもつまらないので、例によって私が期待した『オーズ』をまとめてみた。


1. メダル争奪戦

グリード復活

仮面ライダーオーズ/OOO

 ヨーロッパから運ばれてきたコンテナから、うめき声が聞こえる。「欲しい、欲しい」と。コンテナは鴻上ファウンデーションに運ばれる予定だったが、運送業者のミスでふたが開いてしまう。大量のメダルがこぼれ、集まって、怪人グリードが復活した。
 グリード4体は町中に出て、暴れまわった。なにかを探しているようだ。
 鴻上ファウンデーションの私設武装組織「ライドベンダー隊」が立ち向かうが、まるで歯が立たない。
 大惨事のさなか、アルバイト警備員の火野映司は、鳥系グリードのアンクと出会う。アンクは4体より先に目覚めたが、コアメダルが足りず、腕だけ復活していた。アンクは同梱されていたオーズドライバーと、ほかのコアメダル数枚を奪って逃走していた。グリードが暴れていたのは、アンクを探すためだった。
 アンクは自分の身を守るため、映司をオーズに変身させる。映司が変身したオーズは思いのほか強かった。アンクが苦々しい顔をする。800年前、初代オーズに封印された記憶がよみがえる。
 アンクは映司を利用しようとするが、映司は欲がないため取引が成立しない。おまけに馬鹿じゃないから、アンクを出し抜いてオーズで人助けをしてしまう。苛立つアンク。
「オーズの力を無駄に使うんじゃねぇ!」
「こういう力は、みんなのために使わないと!」
 無欲な映司と強欲なアンク。
 凸凹コンビのグリード退治(とメダル集め)がはじまった。

鴻上ファウンデーション

仮面ライダーオーズ/OOO

 映司とアンクは、鴻上ファウンデーションに呼び出され、鴻上会長から事件の背景を聞かされる。
 800年前──。
 3人の錬金術師が超常的な力を秘めたオーメダル(コアメダル)を鋳造した。オーメダルを集めると、奇跡を起こせると言われている。ところが10枚のうち1枚を抜くと、メダルに自我が生まれ、グリードが誕生した。5体のグリードは欲望の赴くまま、国を荒らしまわった。
「おまえ、悪いやつだったんだなぁ」
「おれは今も変わってねぇ」
 グリードに対抗するため、錬金術師たちはオーズを錬成し、これを勇気ある若者に託した。オーズは、メダルの力を集めるごとに強くなっていく。激戦の末、初代オーズは5体のグリードを封印することに成功した。
 ところが! そのとき若者の心に欲望が芽生えた。オーズは欲望を増幅する。ましてやすべてのメダルをそろえたオーズは火薬庫のようなものだった。若者はオーズに飲み込まれ、消滅してしまった。
「え? オーズって、そんなに危険なのか?」と映司。
「おれが封印されたあとの話だ。知るか!」とアンク。
 そして現代──。
 考古学者でもある鴻上は、オーメダルの伝承を知って、これを研究していた。「欲望による世界の再生」が、鴻上の、ひいては鴻上ファウンデーションのテーマであるという。ところが手違いで、グリードが復活してしまった。グリードがもたらす災害に、鴻上ファウンデーションは責任を感じている。なんとか秘密裏に解決したい。
「こういう事態に備えて、ライドベンダー隊を組織したのだが、グリードは思いのほか強かった。しかし、きみたちがいる。映司くんは無欲なので、オーメダルの毒にも当てられない。きみならオーメダルの力を最大限に引き出せるだろう!
 そこで取引だ。鴻上ファウンデーションはきみたちの探索を全面的に支援する。その代わり、回収したメダルの60%をゆずってほしい」
 アンクは猛反対したが、鴻上の支援は欠かせないため、やむなく合意する。
「やった。心強い味方を得ました!」と上機嫌の映司。しかしアンクは、
(おれのメダルが9枚そろったら、鴻上を殺して総取りだ)
 と考えていた。

無欲の男

仮面ライダーオーズ/OOO

 グリードとの戦いの中で、映司の素性が明らかになっていく。映司は世界中を旅する好青年だが、あるとき内戦に巻き込まれ、人間の欲望がもたらす悲劇を見せつけられる。ひどいショックを受けた映司は、度を超した自己犠牲精神をもつようになる。社会生活は送れないが、オーメダルの毒に冒されないという側面もあった。
 アンクは映司の代替えとして、ライドベンダー隊の後藤にオーズを装着させる。後藤オーズは強力だったが、「正義を行いたい」という欲望によって暴走してしまった。さいわいメダルが少なかったので、後藤オーズは解除された。
「くそっ、やっぱり、ふつうの人間にオーズは扱えない。そもそも繰り返しオーズに変身できる映司の方が異常なんだ。おもしろくないが、今は映司の力を借りるしかないか」
 実験結果を吟味するアンク。
 後藤は反省し、「欲望のない正義」を目指すようになる。

強欲の男

仮面ライダーオーズ/OOO

「グリードってすごいよな。不滅だし、強いし、超能力もある」
 映司は素直に感心するが、アンクは不愉快そうに切り捨てた。
「はっ、グリードなんて不完全な《モノ》でしかない!」
 800年前、アンクは仲間たちを裏切って初代オーズに味方した。オーズと新たな王国を作るつもりだった。ところがコアメダルが揃うとオーズは錬金術師たちを殺して、アンクも封印してしまった。オーズがこれほど強く、自分がこれほど脆かったとは。
「初代オーズって、どんな人だった?」
「それが......よく思い出せない。メダルが足りていないせいだ!」
 復活したアンクはすべてのコアメダルを集めようとしていた。9枚のメダルで以前の身体を再生することは、最終目的ではない。しょせんグリードは欲望に駆られた存在であり、なにをやっても満足しない。喜びを感じる「いのち」を得ること。それがアンクの目的だった。

2. 奪い合いの果て

研究所の地下

仮面ライダーオーズ/OOO

「それにつけても足りない!」アンクは考える。
 場に出ているメダルが少ない中で、グリードたちと奪い合っても意味がない。メダルを隠匿しているヤツがいるとすれば......鴻上だ。あいつほど怪しい人間はいない。アンクは鴻上ファウンデーションの研究所に潜入した。
 地上は近代的な研究所だったが、地下は錬金術師の実験室になっていた。800年前に見た書籍や器具が並んでいる。ここまで完璧に保管されているとは思わなかった。
 アンクはそこで何者かに襲われた。
 目が覚めると、アンクは一日分の記憶を失っていた。
「それにつけても足りない! 残りのメダルはどこにあるんだ?」

グリードたち

仮面ライダーオーズ/OOO

 4体のグリードたち──猫系のカザリ、昆虫系のウヴァ、水棲系のメズール、重量系のガメル──は、それぞれ個性があり、欲望も異なっていた。しかし今は基礎体力が足りないため、もっぱらセルメダル集めにいそしんでいる。
「それにつけても......アンクの行動は不可解だ」とカザリ。
「アンクは自分のメダルだけでなく、すべてのメダルを集めようとしている。すべてのメダルを集めると、なにが起こるんだ? わからない。わからないけど、あれほど必死なアンクは見たことがない。よし。出し抜いてやろう。アンクにメダルを探させ、それを奪ってやる」
 ウヴァをそそのかしたり、メズールとガメルで実験したことで、カザリはコアメダルの恐ろしさを知る。
「これは......ぼくの力じゃ制御できないね。専門家の協力がいるな」
 カガリは、研究所の真木所長に接触した。
 真木はオーメダル研究の第一人者。メダルの毒気に当てられたのか、もともとそういう人物だったのか、世界の終末を望んでいた。カザリと真木は結託して、オーメダルの収集と実験を繰り返す。その中でウヴァ、メズール、ガメルは封印されてしまった。

3. 想定外

禁断のプトティラ

仮面ライダーオーズ/OOO

 真木は、絶滅した恐竜系のコアメダルを解放してしまう。真木の行動を黙認してきた鴻上も、これには驚き、怒りを露わにした。真木は、強大なモンスター(プトティラ)になってしまう。手に負えなくなったカザリは、アンクに協力を要請する。
「ふざけんな! 虫がよすぎるぞ」とアンク。
「ぼくは虫じゃないよ。それはともかく、放っておけないよね?」とカザリ。
「そうだよ、アンク。今は戦わないと!」と映司。
 なんとかプトティラを撃退すると、カザリは自分のコアメダルを盗んで逃げてしまった。
「これは報酬として、もらっていくよ♪」
 悔しがるアンク。
 一方、致命傷を逃れた真木を待っていたのは、鴻上の粛正だった。
「物事の終わりが見たいだって? きみは誕生の素晴らしさがわかっていない!
 私は人類の新たな誕生日を見るつもりだよ。その日は、近い!!」
 鴻上の魔力が真木を焼き尽くした。

隠されたコアメダル

仮面ライダーオーズ/OOO

 真木の死によって、その研究資料が明らかになった。
 それによると真木は、メダルのパワーを人間に移し替える実験をやっていたようだ。バースバスターでコアメダルを打ち込むと、適性のある人間はメダルを吸収してしまう。このとき、自覚症状はまったくない。時間が経つと、対象者は超常的な力を発揮するようになるが、やがてメダルの毒に冒され、モンスターになってしまう可能性があるという。
 データが削除されており、いつ、だれに、どのメダルを打ち込んだかはわからない。映司とアンクは、メダル保持者を捜すことになった。

 そして最後の5枚は身近なところにあった。
 泉比奈には重量系メダル(=怪力が出る)、泉信吾には鳥系メダル(=アンクと相性がいい)、後藤には昆虫系メダル(=感覚が鋭い)、伊達には猫系メダル(=生命力がある)、白石には水棲系メダル(=流行にめざとい)が埋め込まれていた。

「こんな偶然、あるわけない!」
 アンクは研究所の地下に潜入する。初めて忍び込んだはずなのに、強烈な既視感。
 削除されたはずのデータが見つかった。読んで驚くアンク。
 あの日のコンテナ事故も、コンテナにオーズドライバーが入っていたことも、その場に映司がいたことも、すべて仕組まれたことだった。本来は後藤がオーズ候補だったが、より適性ある映司が見つかったことで、計画が修正されている。なんだこれは?
 メダルの枚数が増えたアンクは、消された記憶を取り戻した。
「くそっ、おれを襲ったのは鴻上だ。あいつが黒幕なんだ!」
 驚愕する後藤、途方に暮れる映司。
 そこに、真カザリが襲ってきた。

カザリの最後

仮面ライダーオーズ/OOO

 猫系メダル9枚をそろえたカザリは、本来のパワーを取り戻した。真カザリは強かった。戦いのなか、カザリの気持ちに触れる。
 カザリはアンクに憧れていた。裏切られたことで憎しみに変わったが、オーズを倒せばアンクを手下(仲間)にできると思っていた。カザリが欲しかったのは、「友だち」だった。
 オーズが敗れそうになったとき、鴻上がカザリに10枚目のメダルを投入した。コアメダルが10枚そろうと、グリードは不活性になる。カザリはメダルに還元されてしまった。
「き、きさまーッ!」
 カザリをモノ扱いしたことで、アンクの怒りが爆発した。

4. ゲームマスター

急転

仮面ライダーオーズ/OOO

 アンクは、自分も本来のパワーを取り戻そうとしたが、鴻上が10枚目をもっているため、うかつに動けない。代わってオーズが立ち向かうが、鴻上が用意した魔方陣によって気絶させられる。鴻上はそのまま映司を連れ去ってしまった。
 鴻上の戦いを見て、アンクの記憶がよみがえる。鴻上こそは、800年前にグリードを封印した初代オーズだった。
「どういうことだ? 初代オーズは死んだはずじゃ?」と後藤。
「いや、まちがいなく本人だ。どういうわけか知らんが、生きていたんだ。鴻上の話を信じすぎた」
「会長の目的はなんだ? どうしてメダルを残して、映司を連れ去ったんだ?」
「メダルなんてすぐ集められる。800年前もそうだった。オーズがスキャンすれば、そのメダルはオーズの所有物になる。どこにあっても、自在に呼び出せるんだ。映司は、すべてのメダルをスキャンした。おれの鳥系メダルも。
 くそっ、この記憶も消されていた!」
「すべてのメダルが揃うと......どうなるんだ?」
「真オーズを召還できる。
 もともとコアメダルは、奇跡を起こすために鋳造された。メダルを集めるだけじゃ駄目で、オーズによるスキャンが必要なんだ。鴻上は、映司にメダルをスキャンさせるために支援していたんだ。
 コアメダルが《門》で、オーズが《鍵》だ。
 真オーズが召還されれば、鴻上の欲望が叶えられる」
「会長の欲望?」
「わからん。800年前もアイツは心を読ませなかった。真オーズが召還されれば、世界を征服することも、作り替えることも自在だ。放っておけない!」
 そのとき、世界が歪んだ。
 ばたばた人が倒れていく。魂のようにメダルが抜けて、ぱちんと消える。むくりと起き上がった人は、無気力になっていた。目の前で人が傷ついても、気にしない。
「鴻上が儀式をはじめやがった! きっと研究所の地下だ。急ぐぞ!」
 この状況で動けるのは、怪人態アンクと、バースを装着した後藤だけだった。

初代オーズの欲望

仮面ライダーオーズ/OOO

 研究所の地下で、鴻上は儀式をはじめていた。そして思い出す。
 800年前、若き日の鴻上は錬金術師たちに選ばれ、オーズになった。その顔と性格は映司そっくりだった。
(私は果てしない戦争を憎んでいた。人々の欲望がもたらす災いを憎んでいた。
 オーズとしてグリードと戦う中で、私は気づいた。オーズの力を使えば、戦争をなくせると。
 すべてのメダルをスキャンしたとき、私は鬼になった。
 錬金術師を殺して、アンクも封印する。これで邪魔者はいない。戦争をなくすため、すべての人間から欲望を消し去ってやる!
 そう思ったとき、私はオーズに拒絶された。オーズが私自身を封じてしまったのだ。
 あれから800年──。
 オーズの封印が解け、私は目覚めた。世の中はすっかり変わっていたが、欲望がうずまく醜さは変わらない。今こそ、真オーズを召還しなければ。私は錬金術を学び、コアメダルを収集した。計画を進めるため、会社も興した。さいわい、無欲な青年(映司)も見つかった。私自身はオーズになれないから、映司くんにメダルを収集してもらおう......)
 鴻上が立ち上がる。
「そして今、すべての条件がそろった!」

研究所へ

仮面ライダーオーズ/OOO

「わかった。鴻上の目的は、全人類の欲望を消し去ることだ」
 アンクが見抜いた。鴻上は欲望を肯定していたが、じつは真逆の思想の持ち主だった。欲望が消えれば、世界は平和になるが、そこに喜びはあるだろうか? 「欲望のない正義」を求めていた後藤は悩む。
「欲望とは、正義とは......なんだろう?」と後藤。
「知ったことか!」
「いやアンクは正義を知ってるよ。アンクは怒りと悲しみと優しさを知っている。以前のようなモンスターじゃない。アンクは仲間だ」
「恥ずかしいセリフを真顔で言うんじゃねぇ!」
 2人は地下へ降りていく。不意にアンクが言った。
「おまえ、映司は無欲だって、言ってたけど、それはちがう。あいつは、とんでもない強欲だ。おれは、おれのことしか考えられないが、あいつは地球全体のことを考えている。欲望が大きすぎるんだ。
 あんな大馬鹿野郎はやがて絶滅する。だから、おれが保護してやらんとな」
 後藤が笑う。

 2人は突入したが、鴻上に読まれていた。
 バースは管理権限で強制停止され、アンクもメダルに還元された。鴻上は強く、賢かった。
「後藤くん。重いだろうが、バースの中にいたまえ。きみは観客だ。人類の新たな誕生日を、ともに祝おうではないか!」
 50枚のメダルがそろい、1枚ずつ映司に吸収されていく。

決戦

仮面ライダーオーズ/OOO

 映司は夢を見ていた──。
(欲望のない世界もいいかもしれない。それでみんなが......)
 真っ白な部屋で、ぼんやり考えていると、後ろからアンクに小突かれた。
「寝てる場合かっ!」
 振り返ると、グリード5人がそろっていた。おだやかな雰囲気。
「なんだ、おまえたち。欲望は消えたのか?」
「馬鹿か! おれたちは欲望そのものだ」とアンク。
カザリ「ぼくは友だちがほしい」
ウヴァ「おれは尊敬されたい」
メズール「私は愛したい」
ガメル「おれ、役に立ちたい」
「アンクは? アンクの欲しいものって、なんだ?」
「いのちだ」
「いのち?」
「人間はわかっていない。グリードは色も臭いも、味も感じられない。乾いているんだよ! いつも欲しがっていて、なにをやっても満たされない。こんな乾きが永遠に続くなんて、まっぴらごめんだ」
「アンク......」
「なぁ、映司。教えてくれ。欲望を捨てれば、満たされるのか? なんで欲望のないおまえが、どうしようもなく、まぶしいんだ?」
 グリードたちが映司を見つめる。困る映司。
「ちょ、ちょっと待ってくれ。おれにもわかんないよ。べつに欲望を捨てたつもりはないし、おれにも欲しいものはあるし......」
「なんだ?」
「それは、みんなが......」
「みんなが?」
「そうだよ。きっと、そうだ」
 かっと目を開ける映司。鴻上が驚く。
「みんな、いっしょだ。
 欲望は悪じゃない。でも、自分だけじゃ駄目だ。
 みんな、つながっている!
 そのつながりを、おれは守りたい!」
 映司の身体から、5枚のメダルが出てきた。

(タカ! クワガタ! ライオン! サイ! シャチ!)

 5枚のメダルがオーズの胸で星形を描く。巨大な翼に尻尾、ツノ、ツメの生えた姿は、ドラゴンに似ている。進化の体現者、真オーズ。
 鴻上も怪人になって戦うが、真オーズの敵ではなかった。

5. エピローグ

旅の途中

 1年後、クスクシエに関係者が集まった。
 比奈ちゃんは怪力を失ったが、明るく元気な性格は以前のまま。今日は比奈ちゃんのデザインが入賞した記念パーティだ。かたわらに兄・信吾さんがいる。いまは刑事に復職している。ブラコンの妹が自立して、嬉しいやら寂しいやら、複雑な心境らしい。アンクが取り憑いていたせいか、頭の回転が速くなったと比奈ちゃんが言っていた。
 鴻上ファウンデーションは、後藤と里中によって運営されていた。鴻上の遺書で、後藤が後継者に指名されたのだ。
(会長は、自分の死も計画していたのかもしれない)

 1年前の決戦を思い出す──。
 鴻上が消滅すると、真オーズの変身も解除された。気絶した映司の身体から、50枚のメダルが出てきて、空中に浮かんだ。それらは爆発したかのように、四方八方に散っていった。

 後藤は映司を抱えて脱出した。
(メダルの行方はわからない。グリードは死んだのか、散り散りになっただけなのか)
 映司はグリードを探す旅に出た。なので今日も来られない。伊達さんも戦場にもどった。みんな、地球のどこかでがんばっている。でも、みんな、つながっている。

 準備ができたので、白石さんが乾杯の音頭をとった。
「それでは比奈ちゃんの入賞を祝いまして、かんぱ~い」
「「かんぱ~い!!」」

仮面ライダーオーズ/OOO

 どこかの砂漠。休んでいた映司が立ち上がり、また歩きはじめた。
「さて、行こうか」
 その背後に、アンクの腕がふわふわ浮かんでいた。


あとがき

 とまぁ、こんな展開を期待していた。
 どう考えても、真木と伊達を引っ張りすぎ。視聴者の反応を見ながら修正するのはいいけど、それでストーリーの魅力が損なわれては意味がない。欲望とどう向き合うか? そのテーマが掘り下げられなかったのは残念でならない。