出る杭は打たれる

2005年 政治・経済
出る杭は打たれる

私はこれまで、2度、解雇された。
どちらも唐突な解雇だった。事前告知も、解雇理由の説明もない。
原因は……社長と対立したからだと思う。
まぁ、解雇された人はみな同じことを言うだろうけどね。

──出る杭は打たれる。「だから、頭を引っ込めろ」とつづく。
あぁ、わかっているともさ!
そもそも、対立を望んでいるわけじゃない。なるべく穏便に済ませたい。だけど、どうしても看過できないシーンはある。そういうときは言うしかない。やるしかない。頭を出すしかない。つまづいて、社長がすっころぶ。対立する……。その繰り返しだった。

いま思うと、私も若かった。相手(社長)の都合も考えずに、言いたい放題だった。狭い範囲しか見ていなかった。
ごめんなさい。>社長×2

解雇につぐ解雇、そして放浪の日々……。
気がつくと私は、『私がもっとも苦手とする存在』になっていた。理不尽な解雇が、私を鍛え、学ばせ、敏感にしたといえる。ふつーの会社に勤めていたら、話を聞いてくれる社長がいたら、自分が社長になろうなどとは夢にも思わなかっただろう。

火事で怖い思いをした子どもは、消防士になることが多いらしい。
ひとは、強いストレスを与えるものを無視できないようだ。

ともあれ、私は社長になった。
そんな私の前に杭が出ている。天に向かって、見事に屹立している。すでに幾度かすっころんでいる。
……さて、どうするか?

  A.理解ある社長として、出る杭を育ててみる。
  B.より大きな成長を期待して、思いっきり打ちのめす。

もう1つ、いえることがあった。
私は、手加減できない性格だった。

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