脳度計

2004年 哲学
脳度計

目が開いていても、脳も起きているとはかぎらない。

会話していても、考え事をしていても、車を運転していても、じつは脳が寝ていることがある。完全に寝ているわけではないが、冴えてもいない。
反応がにぶい。思慮が浅い。集中していない。
わけのわからない失言や事故を起こしてしまうのは、そんなときだ。

──脳の起き具合。
厄介なのは、自分でもわからないところだ。
なにせ、身体コンディションを把握する脳そのものがボケているのだ。
(あぅぅ。え? 起きてるよ。目が開いてるもん。大丈夫だよ。)
と、適当なことを言ってしまう。
自分が適当なことを言っていることにさえ、気づかない。

脳の起き具合によって、できることも変わってくるようだ。
たとえば、こんな感じ。

00%  反応する程度。ほとんど寝ている。
10%  どうでもいい会話。
20%  非情に単純な袋詰め。反復運動。
30%  宛名書き、簡単な仕分け。
40%  単調なゲーム。
50%  資料作成。
60%  ゆるやかな高速道路の運転。
70%  企画書を作る。シビアなメールを書く。
80%  アイデアを出す。言い訳をする。
90%  市街地の運転。プレゼン。
100%  哲学的思考。

※ボケているときのヒラメキ効果は無視する。
※脳リソースを、複数のタスクに振り分ける技術も無視する。
※サブ脳の代行作業についても無視する。

──自分でもわからない脳の起き具合。
きわめて致命的な情報なので、これを計るメーターが欲しい。

「む、40%しか起きていない。これじゃ運転は無理だね。」
「お、80%も起きてる。今のうちに企画ネタを考えよう!」

他人に対して使うと、こんな感じ。

「遅刻はしてないけど、30%しか起きてないなら、使い物にならないよ!」
「おぉ! フィギュアを飾ると10%も脳が起きるぞ!」

……などなど。

名付けて「脳度計」。
売れると思うんだけどなぁ。

※脳天に温度計を刺している写真を探したけど、なかった。
※なので、より目が覚めるゲージを添付しています。

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