【ゆっくり文庫】オスカー・ワイルド「幸福な王子」 The Happy Prince (1888) by Oscar Wilde
2013年 ゆっくり文庫 民話・童話
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【ゆっくり文庫S2】オスカー・ワイルド「幸福な王子」をご覧ください。
011 あなたの知らない幸福──
ツバメは王子の像にたのまれ、不幸な人々へのほどこしを手伝う。ツバメは呆れつつも、不思議な高揚感にひたる。気がつくと冬になっていた。
原作について

オスカー・ワイルド
(1854-1900)
人知れず「いいこと」をして天国に召される物語は、いかにも童話的なんだけど、あらためて原文を読み返すと、なんだか様子がおかしい。
人間は宝石や金を与えるだけで、ホイホイ幸福になる。そのくせ町の自慢だったはずの王子を、たやすく撤去してしまう。ツバメは♂なのに、王子にキスしたいと言う。天国の神さまも、「天国の庭園でこの小さな鳥は永遠に歌い、黄金の都でこの幸福の王子は私を賛美するだろう」と、魂をもてあそぶようなことを言う。
人々は金ピカの王子を見て、これぞ幸福だと言う。しかし王子本人は悲しんでいる。ツバメが行き来することで人間は欲望を満たし、すべてを失った王子は真の幸福を得る。
口当たりのいい童話コーティングされているけど、中身はけっこうビターだ。
王子は純然たる善人だけど、アクが強い。自分のお願いは無理強いするくせに、ツバメの自慢話はスルー。非常識で、ツバメを死に至らしめた張本人だ。一方、ツバメは平凡な常識人だったのに、王子に振り回されておかしくなった。どう考えても悲劇なのに、ツバメがかわいそうに見えないから不思議だ。
オスカー・ワイルドの人生を透かして読むと、さらに深みが増す。投獄されたワイルドが王子で、獄中書簡をまとめたロスがツバメとも読めるが、私はツバメこそワイルドの分身のように思える。ワイルドはロスに出会い、ボジー(アルフレッド・ダグラス)に出会い、妻子を失うが、後悔はなかったのだろう。まるで自分の運命を予言したような物語だ。
この世には2つの悲劇がある。
In this world there are only two tragedies.
望むものが手に入らない悲劇と、それを手に入れたことによる悲劇だ。
One is not getting what one wants, and the other is getting it. ──オスカー・ワイルド
動画制作について
金ピカの王子やツバメをどうするか? 宝石を運んだり、キスする動きをどう表現するか?
王子の顔を大きくしたり、ツバメを会話モードと飛行モードで分けるといった工夫をこらしたけど、なんとかなった。やればできるもんだ。
今回はキャラクターをよく移動させた。やはり動くとわかりやすくなるが、ゆっくり文庫はアニメじゃないので、やりすぎに注意したい。
また「ゆっくりMovieMaker」のバージョンアップによってキャラクターが登場/退場するときのエフェクトが無効になってしまい、AviUtlでフェードを付け直すことになった。動画制作の手間が増えていく。かっこいい動画を作るテクニックは先達たちに勝てないので、私は物語を練り込むことに集中したい。しかし「演出」もまたゆっくり動画の魅力だろうから、手を抜くことはできない。ていねいに、しかしスピーディに作業できるようにしなければ。
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ゆっくり実況単発祭【冬】というイベントがあるので、参加してみた。どうなることやら。
次回は有島武郎「一房の葡萄」をお届けする予定。