【ゆっくり文庫S2】オスカー・ワイルド「幸福な王子」 The Happy Prince (1888) by Oscar Wilde
2021年 ゆっくり文庫 イギリス文学 民話・童話
011 あなたの知らない幸福──
ツバメは王子の像にたのまれ、不幸な人々へのほどこしを手伝う。ツバメは呆れつつも、不思議な高揚感にひたる。気がつくと冬になっていた。
第二版について
『青い紅玉』の次に『幸福な王子』を投稿することに、深い意味はない。『ナイルに死す』を作っていたとき、ふと関連性に気づいたのだ。
ツバメは「いいこと」を識別していなかった。だから王子が「悪いこと」をたのんでも、同じように従って、高揚しただろう。ツバメの興味は王子だけ。人間社会はどうでもいい。ツバメは王子を止めるべきだった? 王子は社会よりツバメを省みるべきだった?
ツバメは王子のバラバラにした。王子はツバメを殺した。愛しすぎてしまった。
王子がサイモン、ツバメがジャクリーンと置き換えると、戦慄する。
それから旋風計画さんの『プレザントドリーム』で、『幸福の王子』が翻案されたことがうれしかった。『幸福な王子』は泣ける話で、王子とツバメを全肯定したくなるけど、涙があふれるときこそ冷静になってほしい。
よりよい道はなかったか? そこを考えなければ、悲劇を繰り返すだけだ。
というわけで第二版を作った。
だいたい4日の作業。ファイルは残っているが、セリフの差し替え、新素材や新演出の追加もあって、ほぼ作り直しになったが、初版を作るよりはずっとらくちん。
「第二版より新作を」という意見もあるだろうが、これから【ゆっくり文庫】を見る人に、よりよい動画を届けたい。
そして投稿者に、まだ先があることを示したい。
変更点
セリフ・ナレーションを刈り込んだ。初版は原作を読みながら練り込んだが、第二版は初版を見ながら練り込むので、動画の必要性に集中できたと思う。
むろん、削りすぎ、改悪はあるだろう。そのへんは第3版で修正する。
キャスティング・キャラ素材
「オリエント」は劇団総出演で重いと述べたが、「幸福な王子」も総出演だった。気づいてなかった。変更したキャスティングは3人。
劇作家:天子→パチュリー
鋳造所の親父:パチュリー→ニトリ
結婚したい男:レン→ゆかり
霊夢を出して15名で完結させたかったが、ナレーションに留めた。
本作でもっとも目を引くのは王子・霖之助。文庫式で、よりシャープなイメージに仕上がったと思う。黄金状態を強調するため、色を濃くした。地金状態は「身を削っていること」を示すため、傷をつけた。






背景・演出
背景は初版をなるべく継承した。上下に黒帯をつけたことで、画面がしまったはず。魔理沙ツバメの動きは、8年前はやってられなかった。
魔理沙ツバメは初版より小さくした。王子とツバメだからね。
王子は動かないが、魔理沙ツバメは少しずつ近寄っていく。【ゆっくり文庫】ではよくある演出だが、初版はなかった。この距離感は第二版で見せたいところ。ツバメは王子に近づきすぎた。
※適度な距離感。
※ツバメは近づきすぎた。
※ふたたびの隔絶。
ほわほわ状態
「鬼滅の刃」を見たので、ほわほわ状態を作ってみた。キャラの周囲に光るものが浮いているが、なんであるかはわからない。「呪い」かもしれない。
AviUtlの効果ではなく、透過画像を動かしているだけ。「白い息」と同じ。
素材は【ゆっくり文庫】素材置き場(仮)、キャラ素材→状態演出に置いてある。
※文庫式:ほわほわ状態、顔面蒼白
顔面蒼白
あと顔面蒼白を試してみた。「顔」を透過させないことで、「体」に赤みがあっても加算されない。キャラ素材をいじってる人じゃないと、恩恵がわからないかもしれない。文庫式キャラ素材でずっと悩んでいたところだ。
※文庫式キャラ素材:顔データの重なり
最後のキス
第2版で大きく変わったのは、最後のキスに至る流れ。
最後の力で王子の肩まで飛ぶわけだから、そのまえは台座の下に配置した。ツバメはすでに衰弱している。たのまれたとは言え、王子の装飾、目、皮膚を剥いでしまったから、ツバメは立ち去れなくなった。この時点で死が確定し、衰弱がはじまっていた。
※王子の(見えない)視点
キスを直接描写したくないので、王子の(見えない)視点に切り替える。
見えないから暗い。ツバメがいて、自分が幸福にした人々がいる下界が、やや明るい。光の動きでツバメの命がわかる。その死によって真っ暗になる。
初版より切なさを描けたと思う。
市長と市議
ツバメと王子の切なさを描くと、市長と市議にヘイトが集まるかもしれない。人々を幸福にするのはおまえらの仕事だろうと。しかしツバメと王子がやったホドコシは一時的なもので、政治家の仕事ではない。
と、わかってはいるが、市長(きめぇ丸)にだけ帽子と外套を着せて、「差」を演出した。市議(めーりん)もマフラーをすればただの衣装だけど、差があることで、市長は市議さえ幸福にできてないと意味をもたせた。ヘイトを刺激するのは安直かもしれないが、せっかく作った帽子と外套なので、使ってみた。第3版で変えるかも。
※市長だけ外套を羽織っている。
エンドイメージ
クロージングは初版を踏襲した。閉塞感があったので、抜けのいい青空で閉じることにした。
※幸福なツバメ
雑記
編集後記の下書きばかり増えている。方法を変えないといかん。
初版の編集後記は別に残しておく。このころはなんも書いてなかったね。
さて、投稿ボタンを押そう。
「第2版より新作を」と言われるかな。
(2021/10/02)
15fpsで出力していたことがわかった。ぐああ。