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[レビュー1986年03月26日に発表された 

めぞん一刻 (全96話)

Maison Ikkoku

もどかしくないところが、もどかしい

原作ではにぎやかな宴会シーンも、アニメ化すると白々しい印象になる。マンガのコマを飛び出す「どんちゃん」の擬音が、どうにも表現できなかった。難しいなぁ。一方、アニメの響子さんはときおり、ものすごい美人になる。第14話『やったね五代君!響子さんと初デート』では、もうメロメロ。ここでキスできない五代に、怒っていいやら、ほっとしていいやら、複雑な気持ちだった(当時私は15歳)。

私は原作を連載中から読んでいたが、中盤あたりからテンションが下がっていった。響子さんと五代の関係が、プラトニックなまま完全固定されてしまったからだ。こずえや三鷹さんといったサブキャラも、見えない柵があるように、一線を越えてくることはない。なにが起ころうと安心して見ていられるわけだ。
アニメは、原作以上にソフトで、ブレがない。原作を読んでいる人には完全な予定調和であって、そこに興奮はなかった。

「もどかしさ」を楽しむためには、「あやうさ」がなければならない。響子さんには、気持ちが昂ぶると唇を許してしまう「あやうさ」があった。あの感覚をアニメで再現するのは、無理だったのかもしれない。

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