ラーヤと龍の王国 Raya and the Last Dragon

2021年 外国映画 3ツ星 ファンタジー @ディズニー @ディズニー長編アニメ

簡単に解決できちゃったな。

ディズニー長編アニメ、59作目。
東南アジアの伝統文化をモチーフにしているが、なんとなく日本アニメっぽさを感じる。主人公が美少女で、変わった武器を振り回す。伝説の龍も美少女で、天然系で、ドタバタを繰り広げる。ワールドワイドで見れば、日本と東南アジアは大差ないのか。あるいは私が「東南アジアらしさ」を知らないだけか。

物語のテーマは「信じることの難しさ」。滅びつつある世界で、人間同士が諍いをやめられない状況は、漫画版『風の谷のナウシカ』を彷彿させる。しかし物語の展開は直線的と言うか、単純と言うか、じつに薄っぺらい。5ヶ国の長たちの裏切りは突発的な事故であって、人間の愚かしさを描くに至っていない。ラーヤも人間不信になったと言うが、最後は唐突に一歩踏み出してしまう。そんなんで解決できる世界だったのか? ラーヤが幼いため、世界を理解できてなかったのか?

最後の龍・シスーは、「信じることの難しさ」を掘り下げることに寄与していない。マスコットキャラにしては強すぎる。異種族を交えた意図がわからない。

「悪意はなかった!」
「大事なのは魔力じゃなくて、信じあう心」

ラーヤと仲間たちが、よりそって石になってゆく。音楽が情感を盛り上げる。美しいシーンではあるが、冷めた目で見てしまった。
裏切りの連鎖、果てしない愚かしさを描くと胸が痛くなるが、だからこそ踏み込んでほしかった。

ページ先頭へ