【ゆっくり文庫】特別編「饅頭より愛をこめて」ショーン・コネリー追悼 007 From Russia with Love (1963)
2020年 ゆっくり文庫 イギリス文学 ドラマ 映画やテレビから
096 8分でボンド映画──
ソ連の女スパイ・タチアナがイギリスへの亡命を希望する。ボンドは罠と知りつつイスタンブールに向かう。その背後には世界的犯罪組織「スペクター」の恐るべき陰謀があった。
きっかけ
文庫サーバ雑談でセブンさんが、「ショーン・コネリー追悼動画を作りましょう」と言い出した。なに言ってんの? 解説や雑談はいいけど、文庫系にできることはない。と思っていたら、みきとさんがノリノリで作り始めてしまい、無視できなくなった。
「ゆっくり文庫祭り:あとがたり」や「7周年記念雑談」の制作がまた伸びてしまった。まったくもう!
ショーン・コネリーの話

ショーン・コネリー
(1930-2020)
ショーン・コネリーと言えば「しぶい老人」を連想する人は多いだろう。私の場合、ヘンリー教授(最後の聖戦)を思い出す。ボンド卒業後、コネリーは若作りする必要がなくなって、剥げて髭を蓄えた老人にイメージチェンジした。この転換は強烈で、「ショーン・コネリーのように老けたい」と願った男の子は多かっただろう。
文庫サーバの雑談でも、ショーン・コネリー=しぶい老人イメージが強かったので、基本の基本、壮年期のコネリー、ジェームズ・ボンドを取り上げようと思った。
構成
はじめはガンバレルオーニングや、いくつかのシーンを再現しようと思い、じっさい作ってみたが物足りない。たとえば『ドクター・ノオ』の冒頭、ボンドが名乗るシーンはかっこいいが、あれは任務に関係なくギャンブルに興じているところだ。ちなみに『スカイフォール』でも、ボンドは00エージェントをやめたのに、命がけのギャンブルを、無意味に楽しんでいる。中毒なのよ。
そうしたツッコミを入れていたら、映画あるあるをダイジェストになった。
『ロシアより愛をこめて』をベースにしているが、ボスとの会食や基地爆破は盛り込みたいので、『ドクター・ノオ』を混ぜた。『ゴールドフィンガー』のボンドカー、オッドジョブも盛り込むつもりだったが、最終版でカットされた。
こうして見ると、ボンド映画は同じパターンの繰り返しなんだよね。無口な暗殺者もいっぱいいるから、どの映画に誰が出て、最後どうなったか、さっぱり覚えていない。覚えてないのに、楽しめている。これぞ娯楽。
- ジェームズ・ボンド
- 殺人許可証
- 殺して軽口
- 00セクション
- マニーペニー
- M
- Q
- フェリックス・ライター
- 観光
- 無口な殺し屋
- 異能生存体
- ボンドガール
- 軽率
- 紳士なボス
- スペクター
- 投獄と拷問
省かれた要素
メモ段階の要素を書き写しておく。ボンドのナチュラル差別は取り上げたかったが、「文庫さんはそーゆー人なんだ」とか「ショーン・コネリーって横暴」って誤解される(決めつけられる)だろうし、ていねいに説明するとテンポが悪くなる。
- 快楽殺人者ではない ... よく殺すが、望んで殺してない。
- 女性差別 ... ひどい男根主義者で、女性に知性や人格を求めていない。
- 下品な名前 ... 英国人の性根を疑うような名前の数々。
- パックス・ブリタニカ ... いつまでも宗主国気取り。
- 外国人差別 ... 有色人種の扱いもひどい。
- 現地妻 ... イギリスの伝統芸。
- 資本主義の象徴 ... 商品名をばんばん出す。
- ヴェスパー ... 注文がうるさいスパイ。
- 身勝手な原作者と権利問題 ... むちゃくちゃ。
- 雑な脚本 ... びっくり重視で、整合性はあとまわし。
- ボンドカー ... 本筋に関係あるカーチェイスはまれ。
- 秘密兵器 ... 与えた影響は大きい。
- いつでもタキシード ... 天知茂の明智小五郎に受け継がれる。
- 定番のオチ ... 救助が来ても乳繰り合う。
ボンドカーと秘密兵器
ボンドカーと秘密兵器は男の子のアコガレだけど、コネリー時代はそれほど派手なガジェットは出ていない。これはこれで好きだけど、ゆっくり再現が難しい。またボンドカーや秘密兵器が活躍するのは本筋に関係ないところばかりで、脇道にそれてしまう。
まぁ、ぶっちゃけると魔理沙が咲夜を倒す方法を思いつけなかった。あとで考えようとカットしておいたら、そのまま完成しちゃったわけ。
※こんなんで咲夜を倒せる?
コメンタリー
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幻想郷の安寧を守るため、M(八雲紫)の命令でボンド(霊夢)が活躍するのはどう? |
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それならプレイボーイ・魔理沙でしょ。 |
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魔理沙ボンドなら、Qはニトリだね。 |
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文庫劇団ならパチュリーなんだけど... |
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いやいや、そこはニトリでしょ。 |
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Mとマニー・ペニーは? |
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いいようにして。 |
といった雑談でキャスティングが決まった。
魔理沙ボンドは蝶ネクタイと太い眉で差別化する。コネリー・ボンドの眉、すごいよ。見てみ。
ガンバレルはYMMで作った。血はAviUtlのクロマキーで合成している。YMMでもいろいろできる。
※太眉魔理沙ボンド
シルヴィア・トレンチ(てんこ)はシリーズでも珍しい、同じ役・同じ女優で再演したボンドガール。レギュラーにするアイデアもあったが実現せず。
本作では殺人許可証、殺して軽口、および「あっさり人を殺すボンド」を描くため、射殺された。「姉の仇」を追っていたのはティリー・マスターソン(ゴールドフィンガー)と、女暗殺者はフィオナ(サンダーボール作戦)から。
シルヴィア・トレンチの銃はベレッタM1934。ボンドが『ドクター・ノオ』でMに取り上げられたもの。クロンスティーン/スペクターNo.5(れみりあ)もベレッタをもっている。
007世界では、ベレッタはワルサーPPKに勝てない。
00セクション
マニーペニー(アリス)は即決。報われないところが文庫劇団のアリスっぽい。この、マニーペニーを聖域・母港としたのは映画のアイデアだけど、いいよね。海外ではケダモノ、本国では冷静という、ボンドの二面性がにじむ。
※マニーペニーには手を出さない
私は紅魔館メンバーが好きで、M(れみりあ)、Q(ぱちゅりー)と配役したかったが、うまくいかず、そのまま敵組織にシフトした。パチュリーをボンドガール2号(序盤で殺される)に起用したかったが、紫もやしでセクシーダイナマイトは無理があった。
まぁ、フランもそうだけど。
イスタンブール
「空港に出迎えが来るスパイ」ってのが、すでにジョーク。『ドクター・ノオ』の出迎えは偽物で、ボンドは罠と知りつつ乗り込むが、対策ナシ。『ロシアより愛をこめて』の出迎えは本物で、観客の予想を外してくる。このあたりも好きだけど、マニアックになるので省いた。
※フェリックス・ライターは役に立たない
フェリックスはアメリカのスパイで、ボンドの友人。だから重要な約だろうと思うが、そんなことはまったくない。こういう「関係ありそうでないもの」が多い。
ちなみに『ロシアより愛をこめて』にフェリックスは登場せず、トルコ支局長・ケリム(ペドロ・アルメンダリス)が現地を案内する。ケリムは大家族主義で、息子たちを要職に据えている。ボンドとの掛け合いも楽しかったが、オリエント急行であっけなく殺されてしまう。じつは役者さんが末期がんで、撮影終了直後に拳銃自殺している。レギュラーになってほしい相棒キャラだった。
※ボンドは尾行したり、襲撃されたり、厄介事に首を突っ込むが、本筋に関係しない。
※グラント(ロバート・ショウ)さくや
※このフランは成人です
ボンドガールは容姿で選ばれるから、演技どころか、英語を話せないひとも多い。タチアナ・ロマノヴァ伍長(ダニエラ・ビアンキ)も声は吹き替えられている。
タチアナ(早苗)がNo.3(かなこ)を裏切る構図を考えていたが、グラント(諏訪子)が似合わなかった。フランだと「幼女に手を出す」というイメージもあるが、ま、このフランは成人ということにする。
※無口だけど印象に残る暗殺者・さくや。
クラブ諸島
タチアナの裏切りで、ボンドは敵基地に拉致される。目が覚めるとボスがいて、計画を教えてくれる。映画だと敵側の事情もわかるけど、ほとんどの場合、ボンドはなにも察知していない。にもかかわらず不敵で、敵を挑発するから、すごい。
ブロフェルド(八雲藍)が白猫(ちぇん)を撫でるシーンも考えたが、ボンド視点で乗り切ることにした。
※ボスとの会食は欠かせない
ボンドはすぐ捕まり、すぐ投獄されるが、すぐ逃げ出す。結果としてボンドは敵中枢部で大暴れ。この流れは、どの映画もいい加減。なので私も手を抜いた。
※どの映画でも敵ボスは悲惨。
無口な暗殺者は、自分の腕力を自慢したあと、たいてい敵の武器や仕掛けで死ぬ。ちなみにピラニアのプールに落とされたのはハンス(007は二度死ぬ)。
『ロシアより愛をこめて』でもタチアナが裏切り、自分の上司(スペクターNo.3/ソビエト情報局クレッブ大佐)を撃ち殺す。タチアナ視点でなにが見えて、どう考えたのか、さっぱりわからない。つまり、女の考えや心は重視されない。男(ボンド)に従えばいい。ただし男が守ってくれるとはかぎらない。
※定番の救助オチも省いてしまった。
解説パート
今回は特別編であり、プロットを説明する必要が遭ったため、解説パートをつけた。いくらでも話せるが、トリトメなくなるので切り上げる。
私が作るレビュー動画、雑談動画って、需要あるのかな?
※解説パート
※歴代ボンドざっくり比較
末尾に「ショーン・コネリー追悼企画がはじまった経緯」を追加した。これも重要な情報ではないが、ショーン・コネリーの訃報で投稿者が話し合ったり、こうして動画が作られたことを記録しておきたい。
※だいたいセブンってやつが元凶。
雑感
文庫サーバで雑談したとき、007シリーズ初期作品を見てない人が多いことに驚いた。これほど有名シリーズなら10人中9人は見てると思っていた。と言ったらまた怒られた。
そんなわけで「あるある」をまとめてみた。抜けた要素もあるし、説明不足や不適切な表現もあるだろうが、ま、007シリーズを見るキッカケになれば幸いだ。
007シリーズを「かっこいいスパイ映画」と思ってみると戸惑うが、「変な人のドタバタ」として見れば味わい深い。
これがスパイ、これが紳士、これがダンディズムだ!
というわけで、私の参加作品を投稿しました。「ロシアより愛をこめて」をベースに、ボンド映画「あるある」をまとめたもの。いかがかしら?
— ゆっくり文庫 (@trynext) November 30, 2020
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