【ゆっくり文庫】レアンダー「魔法の指輪」 Der Wunschring (1870) - Richard von Volkmann
2022年 ゆっくり文庫 ドイツ ファンタジー
114 本物の魔法──
ひょんなことから、若い農夫が魔法の指輪を手に入れた。どんな願いも、1つだけ叶えられる。欲しいものはいっぱいあるし、不安も尽きないが、つまらないことに使いたくない。農夫は、人生最悪の日に使うと決めた。しかしその指輪は...
原作について

リヒャルト・レアンダー
(1830-1889)
レアンダーについては解説パートで説明したとおり。フォルクマン拘縮のフォルクマンだったのかー。
制作の経緯
私がこの物語を知ったのは、Marinさんという方のツイートから。
調べてみたらパブリック・ドメインで、おもしろそうだったから、勝手に動画化した。完成後、Marinさんに連絡、動画を見てもらって、エンドカードを描いていただいた。Marinさんは驚いていたが、こんな出来事があってもいいでしょ。
Marinさんには何度かファンアートを描いてもらっている。そのお礼に、という気持ちもあった。
そうそう、今日は職場の本棚で素敵な童話を見つけたんだった
— Marin (@Marin35588330) June 11, 2022
ゆっくり文庫さんのゆっくりたちを配役にして漫画を描いてみたいなぁ...(*´-`)
この絵本です
— Marin (@Marin35588330) June 12, 2022
1ページ目に書いてる文章も好き(*´∀`)♪ https://t.co/2o094Nl2l7 pic.twitter.com/FAnlwMKJBt
なるほど...そういう手段もありますね☺️
— Marin (@Marin35588330) June 14, 2022
...ただワタシの場合は動画を撮る環境が無くていつものようにイラストを描いてTLに載せるだけになりそうです
とりあえず登場人物の夫婦を魔理沙と早苗さんにあてはめて描いたものです pic.twitter.com/zee4X86o4v
コメンタリー
Marinさんの配役は農夫@魔理沙、妻@早苗と配役だったが、私のイメージはめーさくだった。原作より妻の存在感が増しているので、私の動画には咲夜が合うだろう。めーさくコンビは頻出するが、がっつり夫婦って初めての試みじゃないかな?
ファンアートを描いてもらうため、美鈴に麦わら帽子をかぶせる。できるだけ特徴的なアイテムをつけよう。
紅魔館組で揃えるため、鷲@レミリア、長男@フランを決める。金細工職人は悪人だから、パチュリーではなく魔理沙。近ごろ悪役ばっかりだ。長男の妻は『葬られた秘密』を継承して妖夢とした。
背景は『ヘンゼルとグレーテル』『美女と野獣』で使ったMinecraft素材。じつはMinecraftのアカウントが使用できなくなって、ワールドを更新できないのだ。同じ背景の使い回しだが、なんとかなった。
指輪を手に入れて、失う
原作では魔女の導きで木を伐り倒すが、ストーリー上の意味がないためカットした。たとえばパチュリーを配役すると、レミリアを助けるため農夫を派遣したように見えて視聴者が混乱する。鷲はかぶりもので表現。コウモリの翼をつけたかったが、やめておいた。鷲@レミリアは安心できる善ではなく、真意がよくわからないよう演出した。いっぽう農夫@美鈴はのんびり、純朴にしている。
※麦わら帽子の後ろ姿も作った。
原作の金細工職人は農夫を一泊させているが、めどいので手品ですり替え。視聴者は「なんかやった!」とわかるように。
なお、本物の指輪は左に傾いている。
魔法が発動する効果音は『猿の手』と同じ。
※細工職人は死んで、金貨と相続問題が残りました。職人はただ死んだだけでなく、身内に災いのタネを残した。
魔法の指輪は早々に失われた。なにを願っても叶わない。指輪が偽物と知ったとき、農夫は絶望するだろう。と予想してもらえただろうか。
また同時に魔法も疑ってほしい。きちんと使わないと身を滅ぼすのだから、安直なラッキーアイテムではない。
夫婦の語らい
夫婦の語らいはほとんどオリジナル。魔法の指輪という保険を手に入れたことで、農夫は失敗を恐れなくなる。「今年も駄目だ」と嘆くより、「人生最悪じゃない」と前向きになる。妻が、その支えになっている。文庫劇団で、これほど安定した夫婦があっただろうか。
※貧しい家:妻は話を信じていないのか、まるで要求しない。
※新しい家:豊かになっても、ひび割れたティーポットを使っている。
妻@咲夜はジンジャーブレッドをもぐもぐ食べる。食べるところを隠そうとしない。夫婦だから。
ふたりで、おいしいものを、食べる。これこそ幸福ではなかろうか。
君去りし後...
原作の夫婦はそろって死ぬから、死者の復活を悩むことはない。私はそこを描いてみたいと思った。「大丈夫だろう」と思っていたが、セリフは役者に任せた。美鈴が涙を流したとき、この瞬間が死別と気づいた。指輪を使わないと決めることは、思っている以上に重かった。
※妻が命日は、人生最悪の日じゃない。
「髪が白くなった」と言ったが白髪にしなかった。めどい。
だれも試すことなく
長男は指輪の価値を聞いていただろうか? 原作も明記していない。考えてみる。あの農夫の長男なら「試さないかぎり、人生最悪じゃない」とわかったはず。ならば埋めてしまっていい。
※知っていても答えは同じ。
解説パート
『魔法の指輪』は、『フランスでの炉辺夢物語』(Träumereien an französischen Kaminen)に収められた22の童話の一編。代表作ってわけじゃないが、「戦地で軍医が書いたおとぎ話」と思うと感慨深い。
フォルクマンは梅毒に感染し、脊髄癆(せきずいろう)を患い、肺炎で亡くなったが、「運が悪かった」とは思ってないだろう。
なお、Leanderを「リアンダー」と表記する本もあったが、検索総数で「レアンダー」と採用した。
リヒャルト・レアンダー:約 77,200 件
リヒャルト・リアンダー:約 43,800 件
※レアンダーは赤毛で青い目だったらしい。美鈴(赤毛)と咲夜(青い目)を連想する。
雑記
素材があれば、すいすい動画を作れる。