レビュー  2013年10月08日  に発表された 

BEYOND: Two Souls (PS3)
BEYOND: Two Souls

2ツ星

未来を選択できないアドベンチャー

『HEAVY RAIN -心の軋むとき-』(2010)を制作したQuantic Dreamの最新作だから、グラフィックはすごい。感情移入させる仕掛けも洗練された。しかし終わってみれば一本道。監督の倫理観を押し付けられたようで萎えた。

ストーリー(時系列順に結末まで)

 特殊能力をもって生まれたジョディ・ホームズの、8歳から21歳まで15年間の物語。

 ジョディは「エイデン」という霊体とつながっていた。エイデンは眼に見えないが、不思議な能力と独立した意志をもっていた。ふたつの魂が見えない鎖でつながれているようなものだ。
 エイデンはジョディに好意的だが、ジョディは特殊能力のせいで警戒されたり、恐れられることもあって、複雑な感情を抱いていた。ジョディの能力は政府の知るところとなり、研究機関に引き取られる。さらに軍事利用のためCIAで訓練を受けた。そうした中、ネイサン(科学者)やコール(助手)、ライアン(教官)と親しくなる。

 ジョディの能力は高く評価されるが、道具として使われることに反発し、脱走する。ホームレスとして各地をさまようが、政府に見つかり、自由と引き換えに潜入ミッションを引き受ける。
 ジョディは任務に成功するが、政府高官は約束を破ってジョディを拘束。時を同じくしてネイサンがインフラワールドを暴走させる。救出されたジョディはライアン、コールの協力を得てこれを封じるが、重症を負う。

 近い将来、5度目のゲートが開いたとき、世界は滅びる。

  1. 07歳 My Imaginary Friend... ... 友達ができず、父親に疎まれる。
  2. 07歳 First Interview ... ネイサンがジョディの力を知る。
  3. 08歳 Alone ... 両親と別れ、研究所に引き取られる。
  4. 08歳 The Experiment ... 実験で悪ふざけ。
  5. 08歳 First Night ... モンスターに襲われる。
  6. 09歳 Night Session ... ネイサンの妻子が事故死する。
  7. 09歳 Hauntings ... ネイサンの妻子の霊を呼び寄せる。
  8. 14歳 The Party ... パーティで友人たちを恐怖させる。
  9. 16歳 Like Other Girls ... バーで乱闘、死者が出る。
  10. 17歳 The Condenser ... コンデンサーが暴走する。
  11. 18歳 Separation ... CIAへ所属替え。
  12. 18歳 Welcome to the CIA ... エージェントとして訓練を受ける。
  13. 19歳 The Embassy ... 大使館での情報収集ミッション。
  14. 21歳 The Mission ... 亡国にて暗殺ミッション。
  15. 21歳 Hunted ... CIAから脱走する。
  16. 22歳 Broken ... 逃亡中に警官に保護される。
  17. 21歳 Homeless ... ホームレスとして生活する。
  18. 22歳 Navajo ... インフラワールドの脅威を知る。
  19. 20歳 The Dinner ... ライアンと夕食を食べる。
  20. 24歳 Old Friends ... コールと再会する。
  21. 24歳 Norah ... 母親と再会する。
  22. 24歳 Briefing ... 政府と取引して潜入工作を引き受ける。
  23. 24歳 Dragon's Hideout ... エイデンと切断されるが、基地を破壊する。
  24. 24歳 Black Sun ... ネイサンがインフラワールドを暴走させる。

不満1.ジョディを操作したくない

 エイデンとジョディを交互に操作すると、どっちにも感情移入できなくなる。エイデンのみ操作して、ジョディはAI制御にしてほしかった。物語の主人公はジョディだが、プレイヤーと主人公が同一でなくていい。むしろその方がジョディの人生を客観的に楽しめたはず。

不満2.選択が未来を左右しない

 マルチエンディングだが、リンゴとミカンはどっちが好きくらいの差しかなかった。どうしようと破滅的未来を変えられないのはやるせない。せっかく超能力を題材にしているのだから、使い方で分岐してほしかった。

A.能力を使いすぎる
  1. A1.生き残り、欲しいものを手にする。
  2. A2.恐怖心が芽生え、裏切られる。
B.能力を使わなすぎる
  1. B1.パワーが足りず、大切な人を失う。
  2. B2.知り合った人たちに支えられる。

 たとえば、コールに憑依すると、拭いがたい恐怖を植え付けることになる。表面上は親しく振る舞うが、最後の最後で裏切られる。このくらいの変化があっていいはず。

 それからエイデンが別人格なのだから、ふたりの信頼関係で分岐させてもいい。たとえば抑制フィールドでエイデンを切り離せるとしたら? エイデンがいなければジョディは自由になるが、エージェントとしての価値はなくなる。切るかどうかはジョディの判断だから、プレイヤー(エイデン)はそれでも彼女を救う(つきまとう)か、捨てる(身を引く)か選ぶことになる。
 場面によって意味が変わるから、エンディングの種類も増えそうだ。

不満3.キャラクターが安っぽい

 キャラクターの思考が直線的でつまらない。

ライアン - 甘っちょろいエージェント

 ライアンは本気でジョディを愛していたようだが、CIAの訓練指揮官なんだから実利で考えるべき。互いに利用することが当然で、善悪や真実は二の次という現実を示してほしかった。

ネイサン - 純朴な科学者

 ネイサンも底意がないことに驚く。ジョディはネイサンを独占するため妻子の死を願ったとか、ネイサンはジョディを死んだ娘の代用品として見ているとか、そんな暗黒面を見たかった。

ホームレス - 理想的な人物ばかり

 ホームレスが善良なのも拍子抜けだ。わずかな金のために仲間を裏切ったり、教養が足りないことでピンチになるなど、マイナス面も描いてほしい。貧しいものが清らかな心をもち、政府高官が狡猾なのは、幼稚すぎる。  ラスト、ホームレスたちはテレビを見てたけど、あれを社会復帰と言うのだろうか?

ナバホ族 - なんのため出した?

 まったく不要。

政府 - 知能が低い

 超能力を軍事活用するのは当然だが、同じような能力者が見つかっておらず、制御できないのに実戦投入するのは不可解だ。裏切り防止のため、リモコン爆弾を埋め込むくらいの知恵はほしかった。インフラワールドに執着する理由もわからない。核開発競争になぞらえ、「アメリカが開発しなければ他国に出し抜かれる」くらいの説明はあるべき。

まとめ

 『BEYOND: Two Souls』はアクションよりストーリー重視のゲームである。わざわざチキンカレーを調理することで没入感を高めているが、なにを選択しても未来が変わらないので萎える。『Heavy Rain』と同じで、一周目はおもしろいが、二周目以降はつらい。何度も遊んで、いろんな人生を見せてほしかった。

 初見のインパクトは強いが、それだけ。数年経てば忘れてしまうだろう。

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