[ドラマ] タイムスクープハンター / 特殊な交渉術が気になるぜ

2010年 娯楽 NHK ドラマ 考察
[ドラマ] タイムスクープハンター / 特殊な交渉術が気になるぜ

NHKの『タイムスクープハンター』がおもしろい。

未来のタイムスクープ社からタイムワープで派遣されたジャーナリスト・沢嶋雄一(要潤)による「密着ドキュメント」という設定で、教科書に載らないような過去の人々の姿を描くドキュメンタリー教養番組。

「タイムワープによって取材してきた生の映像、生のドラマ」という設定が秀逸。もちろんタイムワープなんてありえないのだが、それっぽい演出が繰り出されるので、奇妙なリアリティというか、臨場感がある。
毎回なんらかのトラブルがあって、ジャーナリスト自身がドラマに介在するのが見どころ。落盤事故で埋まってしまったり、装置の故障で元の時代に帰れなくなったり、「特殊な交渉術」を使えず囚われたり......。
こうした演出によって、ともすれば単調になりがちな歴史風俗の「紹介」が、擬似的な「体験」となって、感動しながら学習できるのはすばらしい。
歴史の教科書すべてをタイムスクープ社に収録してほしいぜ。

番組冒頭では、決まって下記イントロダクションが入る。

当時の人々にとって、私は時空を超えた存在です。彼らにとって私は宇宙人のような存在です。彼らに接触する際には細心の注意が必要です。私自身の介在によって、この歴史が変わることも有り得るからです。彼らに取材を許してもらう為には、特殊な交渉術を用います。それについては極秘事項のためお見せすることは出来ませんが、今回も無事密着取材することに成功しました。

「特殊な交渉術」を使うところは収録されておらず、ついさっきまで未来人・沢嶋の出現に驚いていた人が、次のシーンでは自然にインタビューに答えている。
彼らの目に未来人・沢嶋は、どのように見えているんだろう? 無視するわけでも、ことさら気にするわけでもなく、身分の高い人も低い人も素直に受け答えしている。
もしタイムスクープハンターが現代にやってきたら、私たちは彼を認識できるだろうか? じつは気づかぬうちに取材されている(インタビューに答えている)かもしれない。

とまぁ、どうでもいいことまで考えてしまうのも、この番組の魅力だ。

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