ロード・オブ・ザ・リングの終わり方のどこが悪い?
2013年 娯楽 考察Hollywood.com が選出した「最悪の映画エンディング」トップ10によると、不名誉なトップは『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(04)だった。
「最悪の映画エンディング」トップ10発表 超大作・ヒット作がズラリ
例えば1位に選ばれた『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』。「もういい加減に終わってくれ」というエンディングに問題があるのだとか。フロドとサムが滅びの山から帰還できたところで終わるかと思えば、アラゴルンが中つ国の王になりアルウェンを妃に迎える。そしてフロドが旅の体験談を執筆し始めて終わるかと思えば、書きかけの書物をサムに託して、ガンダルフらと共に再び旅へ...と、映画のエンディングこそが終わりなき旅に思えるようだ。
「最悪の映画エンディング」トップ10発表 超大作・ヒット作がズラリ
ちょいと振り返ろう。
- アラゴルンはサウロンの注意をそらすため、全滅するとわかっているのに部隊を突っ込ませた。信じられない暴挙だが、彼らが作ったスキが逆転の好機となる。
- サムの反対を押し切って、フロドはゴラムに情けをかけた。それは指輪所有者同士の共感もあっただろう。その情けが、最後の最後でフロドを救う。
- ガンダルフは滅びの山に3羽の大鷲を遣わした。なぜ3羽か? フロドとサムだけでなく、ゴラムも救おうとしたからだ。
- 戴冠したアラゴルンは、ホビットたちこそ真の英雄だと感謝し、あろうことか膝をついた。王にならい、人々もひざまずく。無能、無力と笑われた小人たちが、世界を救ったのだ。
- しかしフロドの傷は癒えず、ヴァリノールへ旅立つことになる。定命のフロドにとっては、死を意味する。フロドは世界を救ったが、幸福になれなかった。
- フロドは子がなく、血筋も途絶えた。残されたのは、物語だけ。
このエンディングの、どこが悪かったのか?
勝利して、酔っ払って、美女にチューして終わればいいのか?
アラゴルンとアルウェンの悲しい未来を予想できないのか?
イシルドゥアの末路を忘れたのか?
勝利しても、栄光を得られない。それでも戦うだけの価値が、この世界にあるだろうか? そこが繰り返し問われる物語だった。長いし、ややこしいけど、ふるえるほど感動したのに!
ピザとお皿の区別もつかないような連中は、映画館に来るな。しかしこういう人たちが大量に押し寄せるからこそ、超大作を制作できる。そして、映画はどんどん単純化する。
あーあ。