「だばぁ」を知らない子どもたちへ
2015年 科技 オタク文化
再販されたペヤング焼きそばを買ったら、だばぁ防止フィルムがついていた。
ここで歴史を振り返ろう。カップ焼きそばを湯切りするとき、
- フタがきちんと閉まってなかった
- 熱くてフタをしっかり押さえてなかった
- よく湯を切ろうと上下に振った
などの不注意があるとフタが開いて、麺が流し台にこぼれおちることがある。この悲劇を「だばぁ」と呼ぶ。その後、UFO(日清食品)、一平ちゃん(明星食品)、やきそば弁当(東洋水産)は、湯切り用の穴があいたフィルムがついた構造に改良。よって「だばぁ」は、「ペヤングだばぁ」と呼ばれるようになった。
※典型的な「だばぁ」
「だばぁ」は知恵か経験で回避できる。多くの人は失敗を認めないから、「だばぁ」は知能が低いためのミスの典型とされ、イラストやネットスラング、ボーカロイドの歌などとなって、広く認知された。
だれもが「あるある」と省みつつ、「ないない」と否定するところに、絶妙なおかしさがあった。
※「だばぁ」するアホな娘(Me)
※ウルトラゾーン第08話アイキャッチ「だばぁ」するジラース
一方、「ペヤングだばぁ防止用ミクさん」といったグッズも発売された。
「ペヤングだばぁ」は日本人の87%が経験する、ありふれた悲劇として親しまれた。
ところがペヤング異物混入事件(2014年12月)後に再販(2015年6月)された際、他社製品と同じ「だばぁ防止フィルム」を採用された。
これにより「だばぁ」は過去のものとなってしまった。
これからの子どもたちに「だばぁ」の話をしても、「なにそれ?」「へー、昔の人は苦労したんだねー」「あはは、そんなミスしないよ」と言われてしまう時代に突入したのだ! なんてこった!
湯切りフィルムは便利だった。
ちから加減も、火傷の心配もなく、しっかり湯切りできる。
なんの緊張感もない。
おいおい、こんな便利じゃ、脳が退化するぞ!
日本人は「だばぁ」から知恵とやさしさを学ぶんじゃないか?
最近の若いもんは「だばぁ」を知らないから、つけあがっとるんじゃないか?
などと考えてしまうのは、私が老いた証拠だろうな。