Curve (10分) Curve

2016年 外国映画 4ツ星 ホラー 短編映画

この後味よ。

ストーリー

主人公は女性。気がつくと、コンクリートの谷に引っかかっていた。ゆるやかなカーブに、摩擦だけで留まっている。ダムのようだが、なんの施設かわからない。
手の擦り傷があるが、血が凝固している(長い時間、ここにいたようだ)。姿勢を直したいが、少しでも動くとずり落ちてしまう。谷底は暗く、覗き見ることもできない。手の痛みをこらえ、少しずつ姿勢を直そうとする。ふと、対面のカーブにも血の手形が見えた。まだ凝固していない(ついさっきまで人がいた)。雨がふってきた。主人公はネックレスを手に巻いて、ふたたび姿勢を直そうとする。
コンクリートの谷は無人になった。

主人公はだれで、ここがどこで、なにが起こったのか? さっぱりわからない。私は「わかる」物語が好きだが、本作は「わからない」ことが強く感情を刺激する。主人公はスニーカーを履いていた。ジョギング中に事故があったのか、あるいは誘拐されたか? 対面の手形。そこに居た人物はだれで、主人公に声をかけたのか? 手形が増えたのは目の錯覚か、それともここは実在しない空間なのか?

カーブは子宮がモチーフで、冒頭に見えた波は生まれてくることの暗示・・・という解釈も成り立つ。対面の手形は、双子の片割れ。雨は破水。そう考えるのもおもしろいが、飛躍している。無人のカーブが不吉に見えることも、誕生のイメージではない。さりとて、よりよい解釈もない。

なんなのだろう?

あれこれ考えてしまう。してやられた。

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