風人物語 (全13話) Fujin Monogatari / Windy Tales

2004年 アニメ 2ツ星 学校 日常を描く 超能力 @押井守

期待したものではなかった

あらすじ

ナオは空を撮ってばかりいる中学生。ある日、学校の屋上で空飛ぶ猫を見かけ、驚いて落っこちてしまう。しかしナオは風に守られるように着して、怪我はなかった。先生や両親はナオが自殺しようとしたと大騒ぎするが、ナオは自分が見た猫や風のことは黙っていた。

ナオたちのモノの見方や言葉づかい、細かな習慣が、とても中学生らしくて、こそばゆい気持ちになる。彼女たちは、タネがわかった手品を見るような目で、世の中を見ているようだ。無力感と万能感に翻弄される年ごろ。いいなぁ。そんな彼女たちは、タネのわからない力によってなにを学び、なにを失うだろう? これからはじまるジュブナイルへの期待感が高まる。

──が、そういう作品ではなかった。
風使いとはなんなのか? なにと戦っているのか? どうして猫が飛べるのか? 大気先生が涼子にだけ風の使い方を教えたわけは? 大気先生と雪緒の過去は? そうした謎を気にする人は、見ちゃいけなかった。
終わってみれば、他愛のない少女たちの日常を描いただけ。それが悪いわけじゃないし、ありきたりのジュブナイルではないとも言える。しかし私は不満だった。「風使い」というファンタジー要素を加えたなら、それを活かすべきだ。力を得たことで変わったとしても、変わらなかったとしても!

本作は、第1回アニメ企画大賞を受賞した大鳥南の企画・原案をベースにしているそうだ。できあがった作品を見るかぎり、「企画」に魅力があったとは思えない。絵柄と作風は魅力的だが、それはアニメ化によって生じたもの。オリジナルの企画と作品は別物なんだろうか?

しかしまぁ、きらいではない。「風使い」というファンタジー要素がなかったら、もっと好きになっていただろう。
印象に残ったのは第5話「保健室物語」。アニメとしては単調だが、熱にうなされた少女が耳にする異国の話はおもしろかった。第6話「缶けり」は、『アニマトリックス』(2003)の「Beyond」のような期待感があった。第11話「オーディション顛末記」のようなエピソードも好き。全編この調子でよかったのだ。

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