エルフ 〜サンタの国からやってきた〜 Elf

2003年 外国映画 3ツ星 コメディ 異世界に召還

よくある物語のパターンを茶化したコメディ。

サンタに拾われ、エルフの国で育てられた人間バディは、本当の親を求めて人間界にやってきた。成人男性でありながら常識のないバディは、あちこちで騒動を巻き起こす。なんやかんやあってバディは本当の親と和解。嫁さんもらってエルフの国に帰るのだった。めでたしめでたし。

くっだらないコメディ映画だけど、本気で作ってる。
バディに特殊能力やピュアなハートがあれば、なんぼでも「いい話」にできるのに、そうしなかった。最初から最後まで役に立たない。人生の真実を口にすることもない。駄目で、邪魔で、迷惑なやつ。バディは知恵遅れの成人男性でしかない。

エルフの国も楽園ではなく、バディを邪険に扱っていた。遠回しな言い方が現代風。エルフは与えることが当然だから、「ブラックリスト」を神の鉄槌のように扱うのがおかしかった。クライマックス、「サンタは見るものじゃない、信じるものだ」とか言っておきながら、テレビで証拠を示し、飛ぶ姿を見せないとパワー上昇しない。びっくりするほど夢がない。

一方で、主人公補正は山盛り。ヒロインと出会って、親しくなって、いきなりキス。みんなの前で歌って盛り上げる。頑固な父親は唐突に改心する。これらは物語の強制力によるもので、主人公の才覚や努力は関係しない。夢のない世界で、怒涛のご都合展開。そのバランスがおかしかった。

制作理念が通底する作品として、『トップをねらえ!』を挙げたい。それっぽいセリフ、構図、シーンが連続するが、怒涛のご都合展開でしかない。こういう「よくある物語のパターンを茶化したコメディ」を、なんと呼べばいいのかね。

私も不満はセントラルパーク警備隊の出番が少なかったこと。ブラックリストに名前を書かれた恨みから、どうして警備隊に入ったのか? ふだんはなにしてるのか? 知りたい。『ホーボー・ウィズ・ショットガン』の地獄の使者くらい活躍してほしかった。

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