アバター Avatar

2009年 外国映画 3ツ星 SF コールドスリープ 戦争

感覚に訴える、のみ。

 当時、本作は3D(立体)映画の真打ちであった。専用眼鏡をつけることで、映像の奥行きを体感できる。美麗な表現、新たな体験。未来はすべての映画が3D化される、「アバター」がその嚆矢となるはずだった。

 しかし立体映画はは普及しなかった。3Dテレビ、3D映画館も消えれば、本作はふつうの映画に埋没せざるを得ない。なぜなら3Dの美しさ、奥行きを体感してもらうためのシーンが多いからだ。かたやストーリーに奥行きはない。ぺらっぺら。映像体験を主軸に据える映画はすべて、同じ道をたどった。当時の爆発的ヒットだけが、伝説として語り継がれる。

 私はどうか? 当時はすごく興味があって、わざわざ横浜まで本作を見に行こうと思ったが、いろいろあって見送った。真打ちである「アバター」を見送ってしまえば、それ以下の立体映画を見る必要はない。結果的に、ストーリー以外のものに振り回されなくてよかった。
 3Dテレビも購入しようと思った。んで「アバター」を家で観ようと思った。しかしこれも見送られた。かなり悩んだ結果だが、正解だった。

 映画本編については、あまり語ることがない。『ポカホンタス』(1994)の焼き直し。あるいはそれ以下。下半身不随の主人公がナヴィに傾倒すること、いずれ戦争が勃発することは予見できた。なんの興奮もなく、むしろ展じれったいとさえ感じた。
 ナヴィが勝つとは思わなかった。また主人公がアバターでなくなるのも意外だが、これによりSF要素が減って、続編への興味も失せた。

 シーンだけ切り抜くと、いまも圧倒されるが、162分(完全版:178分)をちゃんと見るのは、もうつらい。

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