主人在宅ストレス症候群のゆくえ

2008年 生活 男と女 社会
主人在宅ストレス症候群のゆくえ

テレビで「主人在宅ストレス症候群」の特集を見た。

定年退職やリストラで主人が家にいることがストレスになり、妻が病気にかかってしまうこと。「亭主、元気で留守がいい」の本気バージョンだな。
結果、主人は家に帰らなくなったり、別々の部屋で暮らすようになる。ストレスになるなら離婚すればいいと思うけど、経済的な事情から離婚はできないし、また離婚できないからこそストレスになるようだ。

テレビでは、ネットカフェに3年も寝泊まりしている38歳のサラリーマンが紹介された。
夫婦喧嘩を娘に見られてしまい、「悪い影響を与えたくないから家に帰らない」という。努力する方向がちがうような気もするが、これが夫婦の折衷なんだろう。

「主人には死ぬまで働いてほしい」と断言する50代の奥さんも映し出された。
それはつまり、主人はもう家に帰ってこないでほしい。定年退職せず、職場で死んでほしいと言っているわけだ。顔も隠さず、切実に訴える奥さんを見ていると、なんだか悲しい気持ちになる。

夫婦は仲良くあるべきだが、そうならない現実もある。
そもそも夫婦の不仲は、ずっと以前からあった問題だ。昔はそれを隠してきたが、最近はあけっぴろげに表現するようになっただけの話。言い換えるなら、最近の夫婦は「仲のいいフリ」をしなくなったわけだ。

夫婦なんて、つきつめれば他人だから、愛想を尽かすこともある。
「それでも仲のいいフリをしましょう」と言う約束が、結婚だろう。ところが昨今の夫婦は不仲を隠さないし、不仲を口にすることで、ますます不仲になっているように見える。

「では、自分の気持ちを押し殺して暮らすことが正しいの?」
と問われると、返答に困る。
ただ、みんながちょっとずつ我慢することによって成り立っていた社会が、少しずつ崩れてきたとは思う。それがいいことなのか、悪いことなのか、今はまだわからない。