危険物処理の心得

2009年 社会 友人A 男と女 社会
危険物処理の心得

危険物を見つけたら、自分で処理してはならない。

友人Aから聞いた話──。
ある日、Aが街を歩いていると、フラフラしている子どもを見かけた。女の子か、男の子か、その区別もつかないほどの幼児である。周囲に親らしき大人は見えない。危なっかしいなと思っていたら、横断歩道によろめいた。あわてて捕まえたけど、その子はポカンとして、親がいないこともわかっていないようだ。
(さーて、どうしよう?)
不幸なことに、Aはヒマだった。

……とまぁ、ここまで話せばオチは読めるだろう。

Aは子どもの親を探してまわった。ほどなく交番が見つかると、ちょうど警官と親がやってきた。ポカンとする子を抱きしめる親を見て、Aは「いいことをした」という充実感にひたった。
かっこよく立ち去ろうとするAを、警官が呼び止めた。
「お名前を」
「いえいえ、名乗るほどの者では……」
「そうではなく、お名前を」
「あぁ、Aです」
「住所と電話番号もお願いします」
「え?」
さすがのAも、感謝の質問でないことに気づいた。
「それと、お勤め先は?」
Aは失業中だった。

「おれは、子どもを助けたんだぜ!
 そのことを、あの親は知りもしないで。
 くそぅ、あのまま放っておけばよかったのかよ!」

憤慨するA──。

画像は、そのとき私が思ったこと。