ネクロノミカン 禁断の異端書 Necronomicon

1993年 外国映画 3ツ星 クトゥルフ神話 ホラー モンスター

原作どおりに作れ、とは言わないが...

H.P.ラヴクラフトの短編3本セット。どれも原型を留めないほどアレンジされているが、おもしろくなったとは言い難い。とはいえ、原作がおもしろいわけでもない。うまくアレンジしてほしいのだが...

序章 / ザ・ライブラリー (Library)

[あらすじ] 1932年、HPLは密教寺院のち家書庫で魔導書「ネクロノミカン」を発見。僧侶の目を盗んで書き写しはじめる。ネクロノミカンが書庫から外されたことで、なにかの封印が解かれてゆく。

[感想] まさかのHPL登場。密教寺院が都市部にあるのは奇妙だが、ロケ地の雰囲気はばっちり。封印解除が機械的なのも新鮮。

壁のなかの鼠 / ザ・ドラウンド (The Drownd)

[あらすじ] 主人公は貴族のエドワード。伯父ジェスロが亡くなり、ニューイングランドの海崖に建つ古いホテルを相続する。伯父の手紙を見つけ、読みはじめる。
60年前、伯父はネクロノミカンを使って死別した妻子を復活させるが、モンスターと化していたため、恐怖と悔恨から崖から身を投げた。
エドワードも婚約者を復活させるが、やはりモンスターと化す。さらにホテルの地下から巨大な怪物が出現。復活した人々は、この怪物の触手に過ぎなかった。
エドワードはホテルのシャンデリアを落として怪物を撃退した。

[感想] 修道院がホテルに。食人が死者復活に。呪われた血筋という要素は省略された。まー、別物だね。序盤に登場する不動産屋の女性がやたら美人で浮いていた。状況説明して、それっきりとは思わなかった。

冷気 / ザ・コールド (The Cold)

[あらすじ] 記者デイルは、40年で11人が殺された事件を調査していた。関係者とおぼしきマデン博士のアパートを訪ね、管理人のエイミーから話を聞く。
22年前、エイミーの母・エミリーがこの家に越してきて、マデン博士と知り合う。博士は当時100歳を超えるはずだが、外見はふつうの初老の紳士だった。ただ特殊な皮膚病にかかっているため、屋敷の中を極度に冷やしていた。
エミリーはマデン博士の秘密を知る。博士は身体を冷やすことと、人間の骨髄液を摂取することで「死という病気」を抑えていた。エミリーは博士と肉体関係をもち、妊娠する。博士を世話する管理人・リナは、エミリーに嫉妬する。あるとき三者の諍いから博士は溶けて死亡。エミリーは撃たれて死亡したが、エイミーが産んだという。
話を聞いていた記者は、エミリーが博士の病気に感染したこと、エイミーこそエミリー本人であると喝破する。しかし記者はコーヒーの薬で昏倒、髄液を抜かれることに。赤ん坊は22年経っても産まれてこない。

[感想] 若い女性を主人公にして、博士と恋仲になるのはよかった。ふたりの女性が赤ん坊を介して仲良くなるのもいい。しかし記者が無防備にやられてしまったのは拍子抜け。むしろ記者は不要だった。熱を帯びた博士の身体が崩れ、眼球がしぼむシーンは印象的。
本作は金子修介が監督、伊藤和典が脚本をつとめている。どういう経緯で日本人スタッフが採用されたのだろう? なんとなく、アニメでやったらおもしろかったと思う。

闇に囁くもの / ウィスパーズ (The Whisper)

[あらすじ] 警察官のサラとポールは犯人を追跡中にパトカーで事故を起こす。サラは不審な老夫婦に救われ、ポールは「ブッチャー」という魔物にさらわれてたらしい。あとは、よくわからない。

[感想] 原作要素が微塵も残ってない。スプラッターの連続で、ストーリーもない。設定もない。わけがわからない。

私が制作した動画。ほぼ原作通り。

エピローグ / ザ・ライブラリー (Library)

[あらすじ] ラヴクラフトはネクロノミカンの魔物に襲われるが、僧侶を身代わりにして脱出した。

[感想] それでいいのか...

駄目ではないが、よくもなかった映像化だった。

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