ジム・ヘンソンの新ストーリーテラー / ギリシャ神話 (第2期/全4話) The StoryTeller: Greek Myths

1991年 海外ドラマ 2ツ星 ファンタジー:剣と魔法 ファンタジー:童話

コストは高いが、魅力はいまいち。

第2期はギリシャ神話編。ストーリーテラーが交代。語り部と犬はクノッソスの迷宮に迷い込み、そこで見つけた品物にまつわる物語を語る。・・・という体裁なんだけど、うまく活かされてない。第1期のように語り部が物語の中に入っていくこともない。尖った演出も乏しい。第1期に比べ、いろいろ見劣りする。

しかしセット、衣装、小道具、特殊撮影は手間がかかってる。こんだけコストをかけながら、一話しか使えないのはもったいない。
おまけにストーリーが弱い。あっちこっちに話が飛ぶため、メッセージが伝わってこない。「結局、なんの話だったっけ?」と途方に暮れる。もったいない。

テセウスとミノタウロス
THESEUS AND THE MINOTAUR

THESEUS AND THE MINOTAUR

[あらすじ] クノッソスの迷宮に迷い込んだストーリーテラーと犬が、来歴を語る。
アイゲウス王は息子テセウスを捨てた。テセウスは勇敢な青年に成長し、父と再会した。テセウスは生贄を求める怪物・ミノタウロスを成敗するため、クレタに向かった。戻るとき、無事なら白い帆を立てると約束して。ミノスの娘・アリアドネはテセウスに恋をして、迷宮から脱出するための糸の玉を与えた。
テセウスはミノタウロスを殺し、アリアドネを連れて島を出た。結婚の約束をしたが、テセウスはアリアドネをナクソス島に捨てる。ミノタウルスの首を白い帆で包んだため、帰るとき張ることができなかった。父・アイゲウス王は絶望してエーゲ海に身を投げた。

[感想] アリアドネがテセウスをなじり、ミノタウロスの姉ってのは、独自翻案だな。ナクソス島に置き去りにされた説はあるが、呪いの言葉を吐いただろうか? この翻案でアリアドネは情緒不安定で、よくわからない人になってしまった。「アリアドネの糸」もクローズアップされない。
テセウスの来歴も伝説と異なる。ややこしいし、本筋を見失う。ミノタウロス討伐に出生するところから描けばいいのに。あれこれ盛り込みすぎている。
一方で、やはり「テセウスの船」は言及してほしかったと思ったりする。着ぐるみのミノタウルスは、CGにない実体感・迫力があった。

ダイダロスとイカロス
DAEDALUS AND ICARUS

DAEDALUS AND ICARUS

[あらすじ] ダイダロスは職人。不器用な息子イカルスに苛立ち、器用な甥タロスを殺してしまった。ダイダロスとイカルスはクレタ島に逃げ、ミノス王のため、ミノタウロスを収容する迷宮を建設する。ミノス王は秘密を守るため、ダイダロスとイカルスも迷宮に閉じ込めるが、親子は人力飛行機で脱出した。イカロスは太陽に近づきすぎて落下、死亡する。ダイダロスはコルカス王のところに身を寄せるが、ミノス王に見つかってしまう。ダイダロスはミノス王を風呂に熱湯を送り込んで殺害した。

[感想] ダイダロスをあわれに思えないのは、復讐を果たせたからか。彼は復習するため、ミノス王の謎を解いたのか? いろいろ疑問が残る。
イカロスが不器用ってのは、シリーズの翻案らしい。これだと「人間の傲慢さ」や「テクノロジー批判」の意味をもたない。神話は翻案しないほうがいいと思う。

オルフェウスとエウリュデュケー
ORPHEUS AND EURYDICE

ORPHEUS AND EURYDICE

[あらすじ] 音楽家・オルフェウスが愛したエウリュディケーは、毒蛇に噛まれて死んだ。オルフェウスは冥界に向かい、ハデスに彼女の帰還を懇願した。ハデスは決して振り返らないことを条件に認めた。
オルフェウスはエウリュディケーを連れて歩くが、沈黙する妻に心がゆらぎ、ついに振り返ってしまう。とたんエウリュディケーの魂は去って、オルフェウスは独りになった。
オルフェウスは騒音を奏でるようになったため、村人たちに殺された。

[感想] 東南アジア系の顔立ち。エウリュディケーの誕生や、アリスタイオスのイタズラに手間を掛けているが、わかりにくくなっている。ハデスに懇願するため、ふたつの笛を吹くシーンに笑った。竪琴より切迫感はあるな。
ハデス王は威厳があった。ペルセポネの懇願も痛々しい。そのあとの展開はあっさり。エウリュディケーの顔は映されないし、竪琴が星座にになることもなかった。
犬が物語を心配し、天井から竪琴が落ちてくるのはよかった。しかしオルフェウスの顔が表示されるのは奇妙だった。

ペルセウスとメデューサ
PERSEUS AND THE GORGON

PERSEUS AND THE GORGON

[あらすじ] ペルセウスと母ダナエは、「祖父を殺す」という予言を信じた父王アクリシオスによって海に捨てられた。ふたりはポリュデクテース王に救われるが、母親が嫁ぐことに。ペルセウスがメデューサの首を取ってくれば、結婚式はご破算となる。
ペルセウスは神々に導かれ、メデューサの首を切り落とすことに成功。ポリュデクテース王を石に替える。その後、ペルセウスは「祖父を殺さない」と伝えるため、アクリシオスを追うが、アクリシオスは事故で死んでしまった。

[感想] ペルセウスは目的意識が弱く、役割を演じるだけ。最後もハッピーエンドに思えない。さりとてギリシャ神話に忠実というわけでもない。もっと翻案して、英雄性を高めていいのに。

うーむ。

ギリシャ神話のなにを見せたかったのか?
第2期が成功すれば、世界各地の民話を紹介する計画があったらしい。『ストーリーテラー:日本編』とか、見たかったなぁ。

もったいない。

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