推定無罪 Presumed Innocent

1990年 外国映画 3ツ星 法廷

推定の域を超えると、テーマがゆらぐ

検察は被告人を有罪にするプロだから、自分が有罪をまぬがれるためにはどうすればいいかも熟知している。自分を苦しめた辣腕弁護士に弁護を依頼し、証拠や証言、そして陪審員の印象を1つずつ崩していく。もはやそこに真実はなく、生々しいテクニックが応酬されているだけ。じつに生々しい。

被告人(ラスティ)だけでなく、被害者(キャロリン)も検察の人間だ。しかも、そーとーな性悪女だと判明する。しかし法廷では、彼女の素性は取りざたされず、振り回された男たちが、自己保身のために奔走するばかり。これまた生々しい。法廷は、死者のためにあるわけじゃないのね。

法廷の主役は弁護士なので、主人公の影は薄い。「証言させろ」と迫るハリソン・フォードは、「出番をくれ」と言っているみたい。まぁ、そんな駄目っぷりもよかったけどね。

しかしラストはいただけない。真実がわかってしまえば、推定無罪にならない。最後の最後で、ふつーの法廷ドラマになってしまった。有罪をまぬがれた検察は、家庭でも検察になりえるのか、そこを知りたかった。

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