[レビュー1995年06月02日に発表された 

マディソン郡の橋 The Bridges of Madison County

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更新日:2013年08月11日(日) 17:20 [Edit]

「愛とは期待に応えないことだと知った」

いろいろ考えさせる映画だった。物語として考えるなら、どんな代償を払っても愛する人と結ばれるべきだが、現実はそう簡単じゃない。結局、フランチェスカは平凡な人生を選んだ。冒険したことではなく、冒険しなかったことを誇るなんて奇妙だが、それがどれほど厳しい選択だったかわかる。
迷ったけど、迷いのない人生において、それでも自分がどんな人間だったか知ってほしいと言うフランチェスカの告白は、強く心をゆさぶった。言葉で言い表せない感動があった。

メリル・ストリープの演技がすごい。一夜明けてロバートに絡むシーンと、夫の車のドアノブに手をかけるシーンが印象的だ。女としての情熱と、母親の理性がせめぎ合っている。見てるこっちまで心臓が高鳴るようだった。
細かな演出も冴える。家族の食卓と、ロバートとの食卓は、なにもかもちがっている。音楽とお酒の使い方がうまい。ロバートが迎えに来た日を土砂降りの雨にしたセンスにも驚く。雨だから冒険しなかったわけじゃないが、印象は大きくちがっただろう。

フランチェスカの夫は、妻の秘めたる思いに気づいていながら、それを確かめなかったようだ。夫もまた、冒険しないことを選んでいたわけだ。短い会話に深い愛情と感謝があふれている。泣けてしまった。

それから、National Geographicsのカメラマンにあこがれた。見知らぬ町に、風景が気に入ったという理由だけで宿泊できる仕事なんて、そうあるものじゃない。世界中を飛び回っていても、会社が連絡を仲介してくれるようだ。もちろん、失うものも多いのだろうけど、話だけ聞くといいなぁって思えてしまう。

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