ソング・オブ・ザ・シー 海のうた Song of the Sea

2014年 外国映画 3ツ星 ファンタジー:童話 主人公は子ども

美しいが、遠い。

アイルランドの神話をベースにしたアニメ映画。兄は、フクロウの魔女にさらわれた妹を救うため、不思議な旅に出発する。

映像と音楽が美しい。息づかいが胸に響く。CGのようななめらかさと、手書きの風合い。ジブリ映画に比べると、躍動感がいささか足りない。ファンタジーアニメを見るとき、ジブリっぽさを尺度にするくせがあることに気付かされた。

おおむね好感がもてるんだけど、いまひとつ没入できない「遠さ」がある。知らない外国の神話だからだろうか? いや、本作は神話をベースにした娯楽作品で、神話そのものではない。そう考えると、やはり兄の駆動力が足りない。妹を愛する気持ちは普遍的なものだが、ここまで異質な妹に共感する兄に、観客が共感するのは難しい。

状況がわからない。ハラハラするけど、考えることはできない。お父さんも知らないだけで、隠してるわけでも、誤解しているわけでもない。お父さんも、お母さんも、なんも考えてなかったようだ。それで、子どもたちを愛していると言えるのか? 兄も同じ。だから遠い。

美しいし、愛らしいが、心に残るものはあまりなかった。

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